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世界に通じる日本の可能性
さかもと未明の言わずにはいられない

更新日:2012年02月08日

※月刊WizBizバックナンバー(2012年1月号)よりお届けいたします。
 


 

さかもと未明氏 顔写真

 
バックナンバー
 
いざという時にどう備えるか
2012年1月11日
リーダーシップとは
2011年11月30日
セルフモチベーション
2011年11月2日
彼岸に思う
2011年10月5日
祭りに見る人間の底力
2011年9月7日
ボランティアが熱い
2011年8月3日
無自覚な享受から脱する時
2011年7月6日
大震災に思う──“真っ当”な国になるために
2011年6月8日
好意を受ける難しさ
2011年5月18日
仕事を失って見えた「初志貫徹」の道
2011年4月6日
裸の心で得る縁
2011年03月09日
私見、後継者問題
2011年02月09日
「らしさ」を超えて
2011年01月05日
われらが父祖に学ぶ
2010年11月16日
順境の時にできること
2010年11月16日
毀誉褒貶と苦難のとき
2010年10月19日
 
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2011年10月31日、世界人口が70億人を突破したというニュースを聞いた。この日生まれた赤ちゃんはすべて70億人目とされ、希望者には国連人口基金から認定証が送られるという。

命の誕生は素晴らしいことだ。だが、急激な人口増加は、さまざまな問題を引き起こすだろうと思わずにいられない。食糧難は差し迫った現実であり、世界では今日の食事にも事欠く人が大勢いる。

でも、それは決して他人事ではない。不景気や震災の影響で、企業は力を失い、あるいは斃れ、国内の雇用は減少する一方だ。そのうえ、生き残っている日本企業は、安くて優秀な人材を求めて、海外のリクルーティングを強化していると聞く。結果、最近の新卒の若者たちは、就職のために海外へ行き、そこでの現地採用を視野に入れた就職活動をしているのだという。

貿易自由化を目指す経済的枠組みであるTPPへの参加を待たずして、すでに「仕事」の国境は崩れている。日本人が経済的優位性を武器にして、アジアを中心とする海外で、企業のトップとして働けた時代はとうに終わった。これからの日本人は、一労働者として、諸外国の人材と闘いうるバリューを身につけていかなくては生き残れないだろう。

しかし、そう思って暗澹としたその年末に、私は日本人の可能性を目にすることができた。それは、評議委員として参加させていただいた、社会貢献支援財団のパーティーでのことだ。その財団では、毎年市井の社会活動家を見つけて表彰している。そこで表彰された、海外の災害孤児の面倒を見たり、日本の外国人労働者のための学校を運営したりする人を間近に見、私は感動せずにはいられなかった。まさに「世界に誇れる日本人」がそこにいたのである。

彼らのような人がいる限り、「日本が経済的に優位でなくなりつつあるからといって、絶望することはない」と思った。彼ら自身も決して裕福なわけではない。それでも、自分にできる手助けをしたいと、他者に手を差し伸べている。だからこそ、人に感動を与えるのだと感じた。

かつて日本は、開発途上国へ多くのODAをばらまいた。多額の資金や技術の供与をしたにもかかわらず尊敬されなかったのは、それが、上からの目線で行われたからだろう。困難にある人々への共感が足りなかったのではないだろうか。

けれど、今の日本人がしている社会活動は、これとは違うと私は思う。自国も被災地となり、苦しい状況にある中で、それでも世界の人々のために尽力できる日本人は、きっと世界の共感を得ることができるだろう。

ただ、それを黙々と行うだけでは、だめだ。「日本人の行いなのだ」と、きちんと記憶してもらうこと。いずれ海外の孤児たちが大きくなった時に、親日家になってもらうことが、未来の日本の世界での居場所を担保してくれるからだ。

計算高いようだが、親切にするだけで終わっては、すぐに忘れられてしまう。お金を出しただけでは尊敬が買えないように、ただ善意を差し出すだけでは、この世界を蝕む飢えや貧困に、飲み込まれてしまうだろう。善行を続けるためにこそ、その支援が国益につながるよう考えていくことが大切なのである。

「世界」はもはや、明るい可能性として広がってはいない。自国を滅ぼす巨大な津波として、私たちの国に向かってきている。しかし、それは日本だけではない。世界中の人がさらされている危機なのだ。

これからの日本は、決して特別安全な国ではない。しかし、富で着飾るのでなく、誇りや知力、他者への配慮などで輝く日本人になれば、必ず世界で通用するはずだ。そんな日本人が増えた時、経済においても再びこの国は蘇るだろうと、私は信じる。

著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1 .3』(講談社)、『神様は、いじわる』(文藝春秋)など