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リーダーシップとは
さかもと未明の言わずにはいられない

更新日:2011年11月30日

※月刊WizBizバックナンバー(2011年11月号)よりお届けいたします。
 


 

さかもと未明氏 顔写真

 
バックナンバー
 
セルフモチベーション
2011年11月2日
彼岸に思う
2011年10月5日
祭りに見る人間の底力
2011年9月7日
ボランティアが熱い
2011年8月3日
無自覚な享受から脱する時
2011年7月6日
大震災に思う──“真っ当”な国になるために
2011年6月8日
好意を受ける難しさ
2011年5月18日
仕事を失って見えた「初志貫徹」の道
2011年4月6日
裸の心で得る縁
2011年03月09日
私見、後継者問題
2011年02月09日
「らしさ」を超えて
2011年01月05日
われらが父祖に学ぶ
2010年11月16日
順境の時にできること
2010年11月16日
毀誉褒貶と苦難のとき
2010年10月19日
決断するために
2010年09月22日
師と出会う
2010年08月24日
相互の敬意が時代を支える
2010年08月03日
 
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少し前の話になるが、鉢呂吉雄元経産大臣が失言問題で引責辞任した。一国の大臣という責任ある立場でありながら、あまりにも配慮のない「放射能つけちゃうぞ」という発言。「失言」というけれど、心から被災地のことを思いやっていれば、出るはずのない言葉だったのではないか。人間、いかに立派な役職に任ぜられても、それに相応しい内面を伴っていなければ、思いがけずほころびが出るのだと思い知らされた。

しかし、万一自分が何か責任ある立場に立たされた時、「その任を全うできるに足る人間性を備えているか」と自問すれば、それははなはだ不安だ。少しでも成長したい、他者を慮 れるようにしたいと思ってはいる。けれども、完全無欠に「いざという時」を乗り切れる自信などまるでない。他者を批判するほどに、自分の足元が危うくなるのだという気持ちが膨らんでいく。連日の報道を見ながら、実は多くの人がそう思っているのではないだろうか。

国家存亡の危機を迎え、「強いリーダー」を求める一方で、リーダーたらんとする人が名乗りをあげれば、些末な「不祥事」をことさらにつついて叩き潰す。冒頭の大臣のような、あまりに粗忽なふるまいは問題外だが、大きな傷もないかわりに、毒にも薬にもならないような人間しか重責につけない。そんな世相では、この国の舵取りは不能に陥ってしまう気がする。マスコミは、ヒステリックに人の小さな傷をあげつらうことばかりしているように思えてならないのだ。

それは、誰もが「自分には重責は回ってこない」と思っているからなのではないだろうか。天下国家の舵取りなど、自分にはできそうもない。でも、凡庸な人間の言うことはききたくない。だから清廉で完璧な人間でなければ許せなくなり、人の足を引っ張るだけの報道が繰り返されるのではないか。

しかし、私もそうだが、完全無欠の人間などいるわけがない。重責を負う人はそれ相応の人間性を備えるべきだが、最初から全てを備えているわけではない。さまざまな訓練や経験、与えられる信望へ報いようという責任感などによって、育てられるのではないかと思う。日本国民それぞれが、「もし自分がこの国を背負うなら」という気持ちでいれば、その責を負う人をただ責めるのでなく、己の力不足を日々顧み、支え合えるはずではないのか。

国の舵取りには遠くても、家庭、地域のグループ、会社の組織の中では、誰もが「リーダー」になる可能性はある。私たちは地位ある人を無責任にただあげつらう。だが、まずは、自身の品性やリーダーシップを顧みることが必要なのだと思う。

しかし、それを全うできる人は少ないだろうというのが私の感想だ。

最近は、親を尊敬できないからなのか、働かない若者が多いという。さらに、夫婦や男女が、互いを非難するような発言ばかりが耳につく。自身の生活がうまくいかない腹いせに、権力者を地に引きずりおろして悦に入っているのだとしたら、それほど国益を損ねることはない。

「修身斉家治国平天下」という言葉がある。天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、次に家庭をととのえ、その次に国家を治め、そして天下を平和にすべきであるという意だ。

この言葉のとおり、まずは自分の身を顧み、各々がリーダーシップを発揮できるよう、品位を磨く努力をしなくてはいけないと思う。われわれがこうした品性を身につけた時にこそ、待望するリーダーが現れるのではないだろうか。

政治は民衆の写し鏡であるはずだ。われわれこそが自身を磨き、子どもたちに人の道を伝えつつ、この国を担うリーダーをつくっていこう。

著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『神様は、いじわる』(文藝春秋)など