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セルフモチベーション
さかもと未明の言わずにはいられない

更新日:2011年11月02日

※月刊WizBizバックナンバー(2011年10月号)よりお届けいたします。


 

さかもと未明氏 顔写真

 
バックナンバー
 
彼岸に思う
2011年10月5日
祭りに見る人間の底力
2011年9月7日
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2011年8月3日
無自覚な享受から脱する時
2011年7月6日
大震災に思う──“真っ当”な国になるために
2011年6月8日
好意を受ける難しさ
2011年5月18日
仕事を失って見えた「初志貫徹」の道
2011年4月6日
裸の心で得る縁
2011年03月09日
私見、後継者問題
2011年02月09日
「らしさ」を超えて
2011年01月05日
われらが父祖に学ぶ
2010年11月16日
順境の時にできること
2010年11月16日
毀誉褒貶と苦難のとき
2010年10月19日
決断するために
2010年09月22日
師と出会う
2010年08月24日
相互の敬意が時代を支える
2010年08月03日
 
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どうしても仕事をする気にならないことがある。疲れている時もあるし、目的がわからなくなる時もある。

私のような原稿書き.は、どのように原稿をまとめていいかという案がまとまらない時、どんなに長時間机に向かっていても、いい原稿はできない。

そんな時、私はまず寝てしまう。二時間で済むこともあるし、一昼夜かかることもあるが、不思議と、心身がリセットされて、新しい案が浮かんで来たりするものだ。

こうした体験をした時から、私はやる気が起きない時は、無理に仕事をしないことにしている。もちろん締切が迫っていて、「どうしてもやらないといけない」場合には、何が何でも机に向かうが、そうなってしまうと、やる気云々がどうというよりも、「やらねばならない」という気持ちしかない。

モチベーションに陰りがでた時は、完全にオーバーワークで休養が必要か、または仕事にちょっとした余裕が出てきた時なのだろうと思う。

かつて経営者の友人に言われたことがある。

「人を使う立場になったら、疲れるまで決して働いてはいけないよ。経営者の責務は、正しい判断をして人を動かすことだ。決して、消耗するまで働くことではない。十分な休養をいつもとって、自分を最良の状態に保っておきなさい」

見識ある意見だと思い、可能な限りで私もそれを心がけたいと思ってきた。でも、社長以下数名という中小企業では、なかなか難しいことだろう。社長が一番働いてみせないと、人を動かすことができないという面もあるからだ。

それでも、だんだんと自分なりに気分転換をすることができるようになってくる。社長はやはりリーダーでなくてはならず、社員と同じ目線や生活をしていてはだめなのである。
私の場合は、同じような経営者やフリーの人たちとの交流を図るようにした。殊に年長の経営者に多く出会えたことは、勉強になった。

しかし、それもある時また限界にくる。いくら経営者が成功の秘訣を説いてくれても、業種や規模、そして時代が違えば、マネをしたところで通用しないことに気づかされるのである。

結局は自分で考え、自分の力で利益が出るよう、工夫していくしかない。「一人だ」ということに向き合わざるをえないことが、すなわちセルフモチベーションとの戦いなのだと思う。

こうして考えてみると、私はあらゆる努力をしてきたように思う。体力は気力だと、ジョギングも二十年欠かさなかったし、自分を追い込もうと高額な買い物をしたこともあれば、ヨガで瞑想をし、原稿を書き始めた時の初志を思い出す努力などもした。

しかし、やがてそれらも持病の発症で難しくなった。

私は気分転換の方法を歌や将棋といった趣味に切り替えた。仕事以外の世界を持つことなしには、とても治療しながらの仕事はできなかった気がする。

体力も落ちていく中で、最後に私を支えたものは、実に逆説的だが、「やめてしまってもいいじゃないか」という価値観だった。体力的にも気力的にも「もうだめだ」、と思った時、私は「今書いているものを仕上げたらやめよう。だからそれまで頑張ろう」と思うことにした。

しかし、不思議なもので、それが終わる頃には、また次の仕事が舞い込み、その頃には気力も戻ってきているのである。

人間、完全な「引退」を決め込むほどには、長年続けた仕事を思いきることはできないものだ。最後にはこんなモチベーションのつくり方があっていいのではないだろうか。

著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『神様は、いじわる』(文藝春秋)など