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祭りに見る人間の底力

更新日:2011年09月07日

※月刊WizBizバックナンバー(2011年8月号)よりお届けいたします。
 


 

さかもと未明氏 顔写真

 
バックナンバー
 
ボランティアが熱い
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2011年6月8日
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2011年5月18日
仕事を失って見えた「初志貫徹」の道
2011年4月6日
裸の心で得る縁
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私見、後継者問題
2011年02月09日
「らしさ」を超えて
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われらが父祖に学ぶ
2010年11月16日
順境の時にできること
2010年11月16日
毀誉褒貶と苦難のとき
2010年10月19日
決断するために
2010年09月22日
師と出会う
2010年08月24日
相互の敬意が時代を支える
2010年08月03日
 
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  東京都では例年より1カ月遅れとなる8月27日に、墨田川の花火大会を開催することが決まったそうだ。自粛ムードも、気遣いとしては当然といえるが、それだけでは復興への活力が失われてしまう。夏祭りなど、各地でさまざまな催しが開催される運びになりつつあることを、実にうれしく思う。

   特に気になったのが仙台で初めて行われる「東北六魂祭」だ。仙台の七夕、秋田の竿灯まつりなど、東北で行われる祭りを、仙台に集結するのだそうだ。

   被災地での開催は難しいことも多いだろうから、素晴らしい企画だと思った。しかも、そんな困難な日常を乗り越えて祭りを行うところに、人間の底力を感じる。ぜひとも成功して欲しいし、できることなら見てみたい。

   祭りとは一体何だろう。それは、日常から隔てられた、特別な空間だ。生者が死者を思う時でもあり、豊穣や平和を願う時でもある。日々の憂さや不公平を忘れて、祭りの中では皆等しく、ただの“小さき人”になる。それはまた神に出会う時でもあろう。

   祭りとは決して娯楽ではない。神事なのである。このような時だからこそ、私たちは祭りをしなくてはならないのではないだろうか。それはきっと慰霊ともなり得るはずだ。そう思う。

   しかし、祭りができればそれでいいというわけではない。私たちは、これからもっと長い時間を、復興に尽力し、生きていかなくてはならない。祭りで感じた思いを、また次の祭りの時まで保たねばならないのだ。

   私は最近、生活を根本的に変えようと思い、身の回りの品の処分をはじめている。

   電気を使わない生活を心がけることは勿論重要だ。だが、節電や節約を楽しむ、新しいライフスタイルをつくることも大切なのではないかと考えるようになった。それはすなわち、自分なりのファッションをつくることでもある。そして、身の回りにいる若い人たちに、ずいぶんアイディアをもらっている。

   今どきの若者は地味であっても、自分なりの強い美意識を持っている。「質素でも和風」とか、「着飾るよりも芸術にいそしむ」とかいう具合だ。

   最近、アシスタントの一人に「和傘を分けてほしい」と言われた。どうするのかと聞いたら、「日傘にもなるし、自分のファッションスタイルに取り入れて使いたい」と言う。その日の彼女のファッションは、Tシャツにジーンズ。それに花下駄を合わせていた。それがなんともおしゃれなのである。

   最近の若者は欲がないとか、上昇志向がないとかよく言われるが、決してそんなことはないと私は感じる。今までのように、外国文化への憧れや、モノを持つことへの欲望が薄れただけで、彼らは、これからの日本の変化に対応できる柔軟さを備えている。

   実際、彼らの携帯電話やパソコンを使いこなす能力といったら、舌をまくほどだ。

   これからの日本は、衰退していくのではなく、豊かさを超えた新しい文化を創り出す過渡期に入ったのだ。震災はそれを加速させたが、豊かさの飽和と文化の転換は、すでに起こっていたのではなかろうか。そんな時期に原子力が限界を露呈したのは、実に示唆に満ちていると思う。

   被災地とこれからの日本に対して、私たちはそれぞれができることを継続していかなくてはならない。

   私はまず、若者にならって和風カジュアルに挑戦し、可能な範囲で休日は消費を心がけ、祭りにもたくさん行こうと思っている。

   たとえ手持ちの現金が減ろうとも、一人ひとりがそんな「新しい習慣」をはじめたら、それがきっと日本を元気にするはずなのだ。

著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『神様は、いじわる』(文藝春秋)など

さかもと未明の和みカフェ?
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