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大震災に思う──“真っ当”な国になるために

更新日:2011年06月08日

※月刊WizBizバックナンバー(2011年5月号)よりお届けいたします。
 


 

さかもと未明氏 顔写真

 
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大変な災害が起きた。私はたまたま命をつながせていただいたが、同じ時間、一瞬で津波にのまれたり、瓦礫の中に埋もれたりして命を失った方々がいる。私たち残された者は、全力で被災された方々のために生きなくてはならない。

現時点では第二の戦後とでもいうべき惨状にあるが、一人でも多くの方が助かるよう、プロフェッショナルな救助と支援が望まれる。

こんな時、一番力となるのはもちろん自衛隊だ。だがわが国はその自衛隊をどれほど冷遇し、これまで多くのくびきに縛り付けてきたことだろう。

今回、原発周辺の住民救助に向かう際も、情報不足の中での任務だったと聞く。わが国はいい加減にそういった状況を、改めていかねばなるまい。

それにしても住民の安全に対する対応がお粗末すぎる。なぜすぐに非常事態宣言を出し、避難勧告を出さないのか。被曝した可能性のある住民を「強制的に検査することはできない」などと他人事のような発言が飛び出すのか。

この国は、小さなパニックを怖れ、いつも被害を大きくしているような気がする。

菅首相がほとんど姿を現さず、枝野官房長官ばかりが不眠不休で記者会見を続けるのも異常だ。こういう時こそ首相が自ら国民に説明し、勇気づけるべきではないのか。イタリアでは枝野官房長官を「総理大臣」と報道したというが、笑えない話だ。

そんな状況で、天皇陛下のビデオメッセージがどれほど心に響いたことか。陛下がその中で言及された、民度の高さを私たちは誇っていいと思う。

私は地震発生時、都内のホテルに泊まっていた。揺れが収まってからロビーに出ると、従業員はわが身を省みず、宿泊客の安全確保に動いていた。宿泊客も、誰一人叫んだり取り乱したりせず、互いに椅子を譲り合っていた。

翌日、普段からボランティアに熱心な友人を訪ねると、すでに現地入りの準備を始め、多くの支援も集まっているという。被災者の様子を見ても、被災しながらもなおほかの人をいたわるコメントばかりである。この国には心ある人々がこれだけいるのだ。なのになぜ今まで、あまたの腐敗や不正が許されたのか。

チュニジアに端を発した北アフリカ・中東の政変を見て、「日本でもなぜ暴動が起こらないのか」と私は思った。ひどい政治ではあるけれど、まあまあの生活ができてしまう。そのぎりぎりの水準を為政者が知り尽くしているのだろうかとすら考えた。

だが一夜にして「生きるか死ぬか」の状況となった。今まで日本は「有事になることはありえない」「それだけはあってはならない」と、あるべき国の形と対面することから逃げ続けてきた。

しかし戦争が起きないかわりに、天災という「有事」が起きたのである。この国では、実はすでに内戦に近い状態が、“偽の平和”の皮膜で覆われていた。そこでごまかされていたことを、今正さなければ、国を、苦しんでいる人々を救うことはできないだろう。

自衛隊、原発の問題はもとより、被災者の住居、医療、食物の確保、子どもたちの教育、資産を失った方々の老後と年金の整備。産業の復興。この有事に、己の言葉さえ国民に投げかけられないような総理大臣をつくらないためには、首相公選制の検討も急務だろう。

一夜にして有事となったように、その気になれば、一夜にしてこの国が“真っ当”になれないはずがない。今こそ国民があるべき国の形を求め、そして被災者の方に最善の支援を行おう。

本気なら必ずできるはずだ。

著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『神様は、いじわる』(文藝春秋)など

さかもと未明の和みカフェ?
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