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毀誉褒貶と苦難のとき

更新日:2010年10月19日

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※月刊WizBizバックナンバー(2010年9月号)よりお届けいたします。
 


 

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人生に毀誉褒貶(きよほうへん)は付き物といえど、その凄まじさを久しぶりに目の当たりにして、ぞっとしてしまった。ワールドカップ南アフリカ大会前後の日本代表・岡田監督をめぐるマスコミ報道のことである。

しかしそんな風に世の視線に耐えなければ、世界の大舞台を踏むこともできないのだろう。私はサッカーがわからない。だから試合自体を見守ったわけではない。ただ、黙々と仕事に集中し、選手を守ろうとする監督の振る舞いには大きく勇気づけられた。

岡田監督ほどの大変さではないが、私なりに人生の浮き沈みと周囲の目に悩んだことはある。

今だからいえるが、膠原病を発症し、体がどんどん動かなくなった頃のことだ。仕事はなくなり、人は周りからいなくなり、どれだけ泣いたか知れない。

親切にはしてくれるのだが、「お体に障るといけないので」と社交の誘いもなくなる。実際もし誘われても体が許さず、人ごみやリゾートにはとても出かけられなかった。仕事も頂けなくなる。電話もファックスも鳴らない自宅で、一人寝ていたときは、寂しさで気が変になりそうだった。

それでも「ひがむまい。素直な気持ちでお願いに上がろう」と、あちこち営業に歩いた。その時に会った、ある方の言葉は忘れることができない。その方は、私がいわゆる「売れた」状態だった時、何かと引き立てて下さった。

「あなたはひとかどの人になるから応援したい。何があってもあなたの味方だから、困ったときは必ず相談して下さい」と言ってくれたのである。資産家でたくさんの芸能人などを応援しているとのことだった。

しかし、私が「今までがんばってきましたが、今度ばかりは困りました。一度相談に乗って下さい」と連絡してもなしのつぶて。知り合いの会合でたまたま隣り合わせたとき、目をそらして彼は言った。

「人間、いいときには人がいくらでも寄ってくる。悪いときは全部逃げていく、不運や病気に見舞われる人に近づくと損をするからね。覚えておきなさい」

つまり「君とはもう会わないよ」ということなのだった。私の心は引き裂かれた。でも私は死ぬことはできなかった。何とか生き延びたかったし、まだ取り組みたい表現の仕事もある。

 マスコミの評価という暴風雨とも戦えたのだと思う。守るべき「愛しい身内」はどんな鎧よりも私たちを強くする。身内を愛し、愛され、守ってきた岡田監督の素晴らしさに、私たちも学ぼうではないか。

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著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『神様は、いじわる』(文藝春秋)など