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師と出会う

更新日:2010年08月24日

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※月刊ベンチャー・リンクバックナンバー(2010年7月号)よりお届けいたします。
 


 

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「大人になってから、どう学んでいったらいいんでしょう? 経営に携わるような人にとって、師にあたるような人を得ることは本当に難しいと思うのです」

最近そんな風にある人から問われた。とても私などにお答えできる問いではないと思った。ただ、私はこれまでいろいろな局面で、師に恵まれてきた。そんなお話ならできるかと思い、筆を取らせていだたく。

まず漫画では、槇村さとる先生という、女性漫画家のトップとして走り続けてきた方に出会うことができ、道を開いてもらった。

ずいぶん前から槇村先生とは面識があった。しかし自分の力不足から、何も相談できずにいた。私がやっと「先生が描いておいでの雑誌の編集の方を紹介していただけないでしょうか?」とお願いできたのは、実に知り合って十年以上がたった、三年前のこと。

それまでの私は、自分の力不足に悩み、「今の自分ではとても槇村先生が活躍されている土俵に上がれない」と自覚していたのであろう。先生が毎年開催されるパーティーに顔を出して、編集者と名刺を交換しても、自分から「作品を見てください」とはとてもいいだせなかった。そのくせ、心のどこかで「どうして私は声を掛けてもらえないのかしら。何が悪いのかしら」などと思い悩んだ。

ただ、やはりこのときに何をしてもうまくいかなかったろう。そうして私は、四年前の発病でやっと、表現できる時間の限りを自覚した。

「なんとしても食らいついて、企画を通すまで戦ってみたい。自分に足りないものがあるなら、それを補うために、どんな努力でもしよう」──。この真剣な思いがあったから、槇村先生に乾坤一擲の相談に行けたのである。

先生は私の真剣さをすぐに汲んで、翌週に編集者と打ち合わせをさせてくれた。真剣になれたから、真剣に応えてもらえた。いいかえれば漫画を書き出して20年もたってやっと、私は恥も外聞もなく、愚直に漫画に向き合う覚悟を持てたということだと思う。

そのときに槇村先生が応えてくれたこと、以前から先生との出会いを与えてくれた天の采配にどれだけ感謝したかわからない。だがどれだけ素晴らしい出会いに恵まれても、自分に心の準備ができていなければ、その出会いは活かせないのである。

「弟子に心の準備ができたときに師は向こうからやってくる」とは道教の教えだが、まさしく師との出会いは自分次第だと痛感させられた。

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著者クレジット

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『未明日記ハイパー』(芳文社)など