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相互の敬意が時代を支える

更新日:2010年08月03日

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※月刊ベンチャー・リンクバックナンバー(2010年6月号)よりお届けいたします。
 


 

さかもと未明氏 顔写真

 
バックナンバー
 
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思うところがあって、社員と雇用者の関係について振り返ってみた。漫画家として人を初めて雇ったのは25歳の時だろうか。デビューして1年。業界に誰も知り合いがなく、通っていたレンタルビデオ店で、アルバイトをしていた美大生の女の子に「消しゴムをかけたりしてくれるだけでいいから」と話しかけて来てもらったのが最初だ。

それは労使の関係とは程遠いものだった。ただ継続して頼みたかったので、世のアルバイトの時給よりは高くなるように、気をつかったことを覚えている。

その後、都内に引越しをして漫画関係者の知り合いに恵まれ、技術のある人たちとの付き合いができた。ただ当時は漫画業界は活況で、アシスタントが足りなかったため、居着いてもらうのは本当に大変だった。

一番よいのは、小さい頃から一緒に描いている「戦友」のような友人がいること。中小企業を支える妻や家族、友人のような存在だろうか。

そんな人間がいなければ、敬意を抱いてもらえるだけの技能を持っていたり、活躍する出版社へのコネクションが魅力だったり、給料がよかったり、職場の雰囲気が楽しかったりなど、アシスタントのために満たさなければならない要件が出てくる。それらがないと、有能なアシスタントは出て行ってしまう。

アシスタントに集団で逃げ出されてしまったり、労働争議のようなものが起こったりと、作家としてのプライドに関わるようなこともたくさんあった。

次第に私は「作品の質云々よりも、どうアシスタントを雇っていくか」という「経営」に追われるようになった。アシスタントには感謝しつつも、彼女たちと戦わなくてはならない事態も生じるようになったのだ。

その頃から仕事の質が下がったり、無茶な分量を引き受けたりと、迷走が始まった。

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著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『未明日記ハイパー』(芳文社)など