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相互の敬意が時代を支える

更新日:2010年08月03日

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※月刊ベンチャー・リンクバックナンバー(2010年6月号)よりお届けいたします。
 

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 そんな私の生活を楽にしてくれたのは、「チーフ」との出会いである。本当に心込めて手伝ってくれる彼女に、私は初めてアシスタントとしての信頼を覚えた。だから「チーフ」と呼ばせてもらうようになった。

 彼女が間に入り、私はほかのアシスタントとは距離感を持つ。こうして職場は落ち着いた。そんな中で学んだことは、小手先のマネジメントのテクニック(社員をチームに分けて競争させる、社長と社員の間にクッション役を置き、距離感を演出することで、縦の関係を明確にし、不満をぶつけられないようにするなど)も必要だが、愛情を持って応援してくれ、社員たちからも守ってくれる「戦友」なしに仕事は回らないということだった。  
 やがて私が病気になり、不況もあって仕事がなくなった時、助けてくれたのもやはり「チーフ」だった。「先生、私は夫がいるので、私をリストラして、メインの子を1人しっかりと月給で抱えてください。みんなに半端をすると、みんながいなくなります」

 私は何という得がたい仕事仲間を得たのだろう。20年間、夢中で経営してきて得た最高の財産は彼女との関わりであり、彼女が残してくれた「新しいチーフ」である。彼女らとの関係は、互いが独立したアーティストとして、対価を支払いながら助けてもらうという、やや私が優位の「共同事業者」といったものに変化した。うんと年下の若者に、今私は頭を下げて仕事を頼む。彼らはそれを誇りに思ってよく働いてくれ、私は今の関係が気に入っている。

 高度経済成長が可能にした「発注者と下請け」といった、縦型の社会は急速に瓦解しつつある。これからの低成長の時代は、低賃金の労働にも納得して請け負い合う、相互の敬意によって支えられるのではないだろうか。

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著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『未明日記ハイパー』(芳文社)など