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親子の問題と価値観の相違

更新日:2010年06月08日

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※月刊ベンチャー・リンクバックナンバー(2010年4月号)よりお届けいたします。
 

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 私たちの親の世代(60〜70歳代)は、戦後一番苦労してきたのではないか。子ども時代を戦火の中で過ごし、それこそ馬車馬のように働き、高度成長を支えた。

 家族とのコミュニケーションをとる暇なんてなかった。私たちは、そんな親の勤労の恩恵を受け、大学教育や、贅沢を楽しむことも学んでしまった。そして自分たちが大人になった今、豊かさの喜びを親にも体験させたいと思う。

 だが親たちはそれを体質的に受け入れないのだ。彼らの世代の頑張りによって獲得された豊かさが、皮肉にも私たちと親たちの言葉を伝わらなくしていた。ある高さ以上には決してならないバベルの塔の物語みたいに。

「そんな贅沢をするより、今からでも地道に所帯を持つ気はないのか? 今のままでは無縁仏だぞ、まったく情ない」

 親孝行をほめられるどころか、「親の墓には絶対入らない、散骨にする」と、私が啖呵を切るまで話はこじれた。もちろん親は私を心配しているのだろう。けれど愛情があるほど言葉は残酷になる。そして親たちに一番大切なことが、私たちの世代には何の意味も持たないことが浮き彫りになってしまう。

「質素な生活で家庭を持つことが一番大切」「日ごろは喧嘩をしても、夫婦でいつか同じ墓に入る」といったことは、私たちには最優先事項ではない。それがさらに親を傷つける。

 中小企業の跡継ぎ問題などは、そういう世代間の価値観の相違が生む齟齬を反映するから、より難しいのだと思う。親子の間には互いに甘えもあるからこそ、他人以上に言葉が伝わらない。

 ただ、親をそのまま捨てたくはない。あらゆる意味でこの国は発展から足踏みもしくは、発展的縮小が必要な時期にあるのだろう。経済成長が生んだ絆の喪失を埋め合わすことなしにはこの国の美しい未来はない。そう思わずにいられない。

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著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『未明日記ハイパー』(芳文社)など