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JAL経営危機に考える「身の丈」の重要性

更新日:2010年03月17日

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日本航空(JAL)の経営危機を見ると、そのあまりに巨額の赤字や、問題を放置してきた杜撰な経営に強い衝撃を受ける。

問題の一つである企業年金の見直しには抵抗する向きがあるようだが、倒産に近い現実を前に、そんな主張をできる感覚に驚く。とはいえ、不良債権処理がそうだったように、今回も彼ら大企業の失敗がわたしたちの負担になるのだろう。

かつてJALがどれほど憧れの企業だったか。スチュワーデスやパイロットの集まる合コンがあるというだけで若者は色めきたった。寮から出勤するスチュワーデスが「タクシーは一人一台でないとイヤ」などという「お姫様ストライキ」が話題になるなど、破格の待遇で知られていた。JAL社員の知人は「老後は海外でゴルフをして暮らす」と、バラ色の老後計画を口にしていたものだ。

人間、周囲がそういう雰囲気になれば、過剰な贅沢も当然のことと受け止めてしまう。「自分たちは誰もが憧れる企業に勤めるエリート。人命を預かる仕事をしているのだし、よい仕事をするためによい条件で働くのは当たり前」──。そんな思い込みや思考停止が経営危機の一因になったのではないか。地方空港で赤字路線を増やし続けたのも、「国の政策だから何とかなる」と、根拠なく皆が思い込んだ。何と危険なことか。人命を預かっても厳しい条件で働く人はいくらでもいる。

エリートが束になって何をしていたんだろうと疑問が浮かぶ。「積み立てていたものだ」という声は理解できるが、月額50万円の年金がないと暮らせないとの言い分に素直に同意できる人は少ないだろう。エリートとは経済観念がなくて図々しい人々のことではないかという気すらする。

しかし、わたしたちは冷静にこの事態から何かを学ぶ必要があろう。無論JALを責めることはたやすい。公的資金を使って救済することにも憤りはある。私はあえて別のことを言いたい。すなわち「エリート集団がつくる大企業が国の後ろ盾を得たところで、この程度なのだ」ということだ。大企業なんて恐れることはないのである。

一方、エリート集団を持たず、国の大きな支援もなく戦わなくてはならない立場の人間、すなわち中小企業──私のような漫画家も含めて──は日々の生活や老後のリスクをすべて自分で回避していかねばならない。困っても誰も助けてはくれない。融資なんてもとより受けられない。それでも、きちんと収支を計算して生きていけば、逆に何とかなる。私はそんな思いでいたい。これだけお上や大企業がいい加減な仕事をしているのであれば、まっとうに利益を出し続けられれば、小さくともそれは貴重な成果なのだ。

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著者プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『未明日記ハイパー』(芳文社)など