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独立のコストを考えてみる

更新日:2010年02月17日

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※月刊ベンチャー・リンクバックナンバー(2009年12月号)よりお届けいたします。
 


 

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先日、鳩山首相がASEAN首脳と会談した。そのとき首相は、自らが提案する東アジア共同体に関し、「鳩山政権の外交は日米同盟を基軸にする」として、米国関与の必要性を語った。だがこれに対しては一部の国から「ASEANと日本、中国、韓国が主導すべき」との意見が出た。もっともである。

そもそも東アジア共同体構想はなんのためなのか、EUや、米ロ中に対抗するものとして、アジアの国々が一つになり、世界のパワーバランスを健全にしようという動きではないのか。それに米国を誘っては、本末転倒、東アジア共同体をつくる意味がない。

そんな態度の日本に『同盟を』といわれるアジア諸国にしたら、まるでおずおずと妻の顔色を伺う男に口説かれているようで、興ざめ甚だしいのではないか。そんな相手と関係を結んだとしても、妻(米国)の言葉一つで逃げ帰ってしまいそうだ。

同じころに話題になった、岡田氏の「日中韓共通の歴史教科書を目指すべき」という見解にも驚いた。

もちろん三国の間で歴史認識の問題にそれなりの一致を見れば、一つの成果になるだろう。だが戦争を含めた過去の歴史には、互いに譲れないものもあろう。

そんな複雑なものを一つにまとめようというのは、あまりにも子どもじみた理想主義だ。そんな歴史認識は、それぞれの大儀を踏みにじるものでしかないだろう。

評論の仕事を引き受けたとき、私は編集者にこういわれた。

「自分の意見を原稿の形で発表するのは、非常に大変なことです。ウチの雑誌で意見を発表してしまうと、書けなくなる雑誌ができてしまいます。それでもよろしいですか?」
私は答えた。「自分と相容れない誰か.を明確にしない限り、意見は持てません。自分の立場を明白にして初めて味方もできると思っています」。

編集者は「その通りです」といって私にページを与えてくれた。それから10年。この感覚に間違いはなかったと痛感している。

とはいえこんな風に立場を色分けして生きていくことをすべてにしたくない。国籍や立場が違えども結べる信頼関係は絶対にあると思いたい。

しかし、である。「みんな均等に仲良くしようね」などというスタンスでは、国際社会で国益を削られていくばかりである。

ともに武器を持って戦えるという覚悟なしには、同盟国もできはしないだろう。これはビジネスの現場でも同じことではないだろうか。

国家間であれ、夫婦関係や、社長と社員の関係であれ、それぞれが独立性を保ち、譲れないものを表明するとき、当然ながら諍いは起きてしまうものだ。

だがそういった諍いを拒まない姿勢があってこそ独立が保障されるのである。何の諍いもない平和や安定が訪れるのだとすれば、弱い方が独立を放棄して、強い方に吸収されたときである。

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プロフィール

さかもと未明
1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て89年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『未明日記ハイパー』(芳文社)など