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危機のときこそ「遁走」できる気持ちのゆとりを

更新日:2009年11月25日

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※月刊ベンチャー・リンクバックナンバー(2009年9月号)よりお届けいたします。


 

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自殺者数が増加しているという。今日も電車で移動の際、人身事故でダイヤが乱れていた。こんなときはつい「仕事や事業で疲れた男性が飛び込み自殺を図ったのだろうか」と思ってしまう。
男性が死を考えるほど追い詰められたとき、それに気付けば周囲は通院などを促すかもしれない。しかし当人は「いっぱいいっぱい」を隠してしまうのだろう。

家族に対する責任、男としての矜持が、弱い自分をさらけ出して助けを求めることを躊躇わせるのかもしれない。

さらにこの不況の中、社員を休ませたいと経営者が思っても、今船をこぐ手を止めたら、おそらくほとんどの企業は沈んでしまうのだろう。そんな状況で「無理しなくたっていいではないか」などとはとても言えない。

われわれは、死なないようにあらゆるリスク管理を行いつつ、やはり過酷な労働をする以外ないのである。こんな状況では、私は「ユーモア」が必要不可欠だと思っている。しかし、日本人はこの能力に欠ける点では「世界で指折り」なのだ。

そして、おそらく世界で一番生真面目なのも日本人だろう。この気質が戦後の復興など、幾多の奇跡を可能にしたものの、今では日本人を苦しめてもいる。

たとえば「規格通りの良質な製品」をつくることは日本人の得意とするところだが、人生設計や家庭生活にもそれを求め過ぎるきらいがある。だから「平均的」な生活ができなくなることに過度の恐怖や罪悪感を覚えるのだ。そういった部分が日本人を追い詰めていることは、自覚していいだろう。

先般、若い男性向け週刊誌に、インドで高名だという日本人僧侶の人生相談が載っていた。なるほどと思ったのは「人間は何も持たなくても生きられる」「日本には労働者がいなくて驚いた。みんな背広を着て、きれいな身なりで働いている」といった言葉だ。

まったくそのような「豊かさ」「平均的中間層」が許されたことが今の日本の弱さになったのかもしれない。日本人はリストラだけで絶望できる。しかし、広い世界では、仕事もなく家もなく、路上で暮らす人々がいくらでもいて、そんなことは死ぬ理由にはならないのである。

死にたいくらいに追い詰められたら、しばらくなにもかもうっちゃって、逃げてしまえば良いではないか。家庭はともかく、会社の貴方の場所などすぐ埋まる。

「俺がいなくては立ち行かないプロジェクト」など、ことの本質を見れば、じつはないのである。

自分が「危険水域」にきたと思うとき、まず男は周りにそれを伝える相手を持てるといい。もし「もう少し頑張れ」などと言われたら、すぐ温泉地に失踪するなり、インド行きの航空券を買いに行くべきだ。元気になったら「なーんちゃって」と帰ってくれば良い。それで家庭が崩壊するならそれまでだ。

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プロフィール

1965年神奈川県生まれ。玉川大学文学部卒。商社OLを経て1989年に漫画家デビュー。レディースコミック誌を中心に活躍、2000年には作家としての活動も開始。作品は硬軟問わず幅広い。著書に『マンガ ローマ帝国の歴史1〜3』(講談社)、『未明日記ハイパー』(芳文社)など