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シンガポールの「食卓」に見る日本の食の進化形
B STYLE16月号より

更新日:2005年10月15日

日本以上に少子化が進むシンガポールでは、「夫婦と子ども世帯」であっても、3食とも外食もしくは中食という人が珍しくない。少子高齢化が進む日本における「食卓」の今後を考える際、シンガポールの食事情を参考にしてはどうだろうか。


■手頃の値段でおいしいフードコートが「食卓」

地元料理店の集まるフードコート「ホーカーセンター」がシンガポール人の食卓
地元料理店の集まるフードコート「ホーカーセンター」がシンガポール人の食卓

シンガポールで通訳派遣の仕事をしている杉田佳世さん(30歳)は、シンガポールに移り住んで3カ月。シンガポール人夫婦2人で暮らす公営住宅の1部屋を間借りしている。
シンガポールのいいところは「S(シンガポール)$1〜3(※)の安さで気軽に外で朝食をとることができる」ことだという杉田さん。

シンガポールで働く人たちは、朝食を家で食べることはほとんどない。会社に行く途中で、お粥、ビーフン、切り売りしている果物などを食べる。ホーカーセンターという地元料理などのお店が集まっているフードコートが、いわばシンガポール人の食卓なのだ。
街の至る所にあるホーカーセンターは、料金が手頃でおいしいとあって昼夜を問わずお客で賑わっている。
杉田さんも愛用していて「昼食を会社近くのホーカーセンターで同僚と食べ、夜はホーカーセンターでご飯と惣菜をテイクアウトして家で食べる」こともあるという。
「地元の麺料理から日本料理までいろいろ揃っていて、S$5もあればお腹いっぱいになる」のが愛用する理由だ。



■家族揃っての夕食が団欒という発想はない?

写真提供:シンガポール政府観光局
写真提供:シンガポール政府観光局

「一緒に暮らしているご夫婦もホーカーセンターで惣菜を買ってきて家で食べています。シンガポールに住んでいる人たちの多くは、めったに料理をしない」という。
女性の就業率がアジアのなかでも高いといわれるシンガポールでは共働き家庭も多い。
「忙しい合間を縫って家庭で料理を作らなくても、安く外食ができるので経済的な負担とならない」ことが外食に依存する背景としてあるようだ。

シンガポールに暮らして3カ月、杉田さんは驚くべき光景に出会った。「私が一緒に暮らしているご夫婦はよくお孫さんを預かります。1度預かると、1週間は預かりっぱなしで、親は引き取りにきたり、毎晩子どもの顔を見に寄ったりということはしないんですよ」
そんなシンガポールの家族のあり方を、杉田さんは次のように語る。「夕飯時に食卓を囲んで1日の出来事を話すという家族の団欒の場としての食卓という概念が、シンガポールにはないのではないでしょうか。1日の終わりに食卓を囲むことではなく、週末に家族でショッピング、外食を楽しみ一緒にいることがコミュニケーションの場になっているのでは?」

日本でも、家族揃って食事をとるより、バラバラにとる傾向が強くなってきている。
また、コンビニや総菜店で買ってきたものを家で食べる中食が、当たり前になってきている。子どものいる専業主婦でも、手作りの料理と一緒に、買ってきた惣菜を並べることは珍しくない。
1人、2人分の料理をするより経済的だし、家族それぞれの好みに合ったいろいろな種類のものを食べられるからだ。

思い起こせば、少し前の日本では、お茶は急須にお茶の葉を入れて飲むもので、ペットボトル入りのお茶はなかった。しかし、いま、急須よりペットボトルのお茶のほうが普通になっている。いま、親から子へと料理を教える機会も減り、包丁やまな板、急須のない家も少なくない。
料理もかつての裁縫のように「家では作らないのが当たり前」になりつつあるのだろう。

※S$1=66.58円(9/26現在)

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。