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NYから
マンハッタンで野菜を作ろう!屋上水耕栽培を推進するNYSW
取材・文/手代木麻生

更新日:2007年11月08日

アメリカ全土では住宅の価格が下がっているのに、マンハッタンだけは例外。野菜を作る場所などあろうはずがないのだが、それがあった。マンハッタンに林立する高層ビルの屋上はほとんど手つかずの未開の地だった。


都会で行なう理想的な農業のかたち

この5月、ニューヨークのハドソン川にユニークなボートがお目見えした。ニューヨーク・サン・ワークス(NYSW)という非営利団体が主宰する、「サイエンス・バージ(科学のはしけ)」と名つけられたボートだ。ボートの上にはグリーンハウス、ソーラーパネル、ウインドタービンが設置されており、グリーンハウスの中ではマンハッタンの摩天楼をバックに、トマトやレタス、ピーマンなどが水耕栽培ですくすくと育っている。

ハドソン川に浮かぶ「サイエンス・バージ」
ハドソン川に浮かぶ「サイエンス・バージ」

「サイエンス・バージ」の使命は、野菜がどのように栽培されるか知らないニューヨーク市民に、サステイナブル・アグリカルチャー(継続可能な農業)のモデルを公開して、農業の大切さや農業と環境問題、エネルギー問題などとの関連を理解する機会を提供しようというもの。

このモデルがなぜ優れているかというと、トマトの収穫で比較した場合、ふつうの畑の7分の1の面積で同じ量を収穫できる。水(雨水を利用)は4分の1ですみ、水耕栽培なので土は必要ない。グリーンハウス栽培なので、温暖な土地でなくても、太陽さえあれば1年中野菜を収穫できる。殺虫剤などの農薬も使用しないのでもちろん安全だ。

環境問題にも配慮したモデル

グリーンハウスは電力がかかるが、ソーラーパネルとウインドタービンなどのクリーンエネルギーで電力をまかなうので、初期投資にはお金がかかるものの、現在のニューヨークの電気料金で試算した場合、7年ほどで元が取れるという。

水耕栽培で育つ野菜
水耕栽培で育つ野菜

ニューヨーカーの間ではオーガニック食品や食物の安全性などに関心をもつ人が増えているが、安心して食べられる農作物を手に入れるためには、小規模農業従事者を支えることが必要で、そうなると環境問題にも無関心ではいられなくなってくる。以前レポートしたCSA活動がここ1、2年で急速に広がっているのも、こうした背景があってのことだ。

NYSWの担当者は、「数年前にこうしたプロジェクトをスタートしても関心をもってもらえなかったと思うが、今は農業や環境問題に対して市民の関心が高まっているので、このサイエンス・バージにも関心を示す人が多い」と話す。天気のいい週末には、たまたま近くを通りかかった人たちが見学に訪れたり、ニューヨークの学校からも、教師に引率されて、生徒たちが環境教育の授業の一環として見学にやってくる。


アイデア次第で大きなビジネスチャンス

NYSWのもうひとつの興味深いアプローチは、マンハッタンの屋上を利用しての水耕栽培の推進活動だ。NYSWの試算によると、マンハッタン中のビルの屋上で、水耕栽培で野菜を作れば、ニューヨーク市民に供給できるだけの野菜を収穫することが可能だという。

しかも、見事に産直となるので、屋上の使用料が高ければ話は違ってくるが、新鮮な野菜が、運送料がかからない分低価格で供給できるという大きなメリットがある。また、遠隔地から野菜を運んでくる必要がなくなれば、排気ガスも削減でき、地球温暖化の緩和にもつながる。

スタッフから水耕栽培について説明を受けるニューヨーク市民
スタッフから水耕栽培について説明を受けるニューヨーク市民

NYSWのもとには、このユニークなアイデアに関心を示すデベロッパーやホテル、学校などから問い合わせが相次いでいる。アパートの住民のためのコミュニティーガーデンに屋上を利用できないかという問い合わせも。遠くドバイからもコンタクトがあった。土地は少ないがビルはたくさんあるドバイの企業が興味を示すのも当然かもしれない。具体的にプランがスタートした事例はまだだが、屋上を利用した水耕栽培には、大きなビジネスチャンスが潜んでいそうだ。

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。