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インドを語る
中小企業にも魅力あふれる巨大市場 インド
島田卓 インド・ビジネス・センター代表取締役社長/B STYLE22月号より(2006年10月15日発行)

更新日:2006年10月15日

インドは、中小企業にとっても魅力あふれる巨大市場だという。
何がインドの魅力なのか?また、インドでビジネスを行う上で気をつけるべき点は何なのか?専門家にうかがった。


■毎年1200万人ずつ増えている労働力

しまだすぐる<br />1948年生まれ。明治大学商学部卒業後、東京銀行入行。本店営業部、ロサンゼルス支店、大阪支店などを経て91年ニューデリー支店次長。アジア・オセアニア部次長の後、97年に退社し(株)インド・ビジネス・センターを設立。インド・ビジネスに関する第一人者。中小企業基盤整備機構中小企業国際化支援アドバイザー、岐阜県女子大学南アシア研究センター客員教授。
しまだすぐる
1948年生まれ。明治大学商学部卒業後、東京銀行入行。本店営業部、ロサンゼルス支店、大阪支店などを経て91年ニューデリー支店次長。アジア・オセアニア部次長の後、97年に退社し(株)インド・ビジネス・センターを設立。インド・ビジネスに関する第一人者。中小企業基盤整備機構中小企業国際化支援アドバイザー、岐阜県女子大学南アシア研究センター客員教授。

現在、インドには日本の約300社以上の企業が進出している。その中でも成功しているのはスズキやホンダをはじめとする大手自動車・二輪車メーカーとそれに付随する中小の部品メーカーである。文化の違う異国でのビジネスということで、試行錯誤を続けた結果の成功といえるだろう。

当初、中小企業が進出するのは難しいといわれていたが、徐々に状況は変化してきている。JETRO(日本貿易振興機構)がインドに出先機関を設けているほか、中小企業基盤整備機構(中小機構)が中小企業のインド進出について調査・研究を始めているので、いろいろな情報が集まってくるだろう。日本は少子高齢化時代を迎え、労働力の低下が叫ばれている。労働力が豊富なインドは魅力的な国といえるだろう。

インドは毎年1200万人の労働人口が生まれてくる。これは、マレーシアの人口の約6割。2年でマレーシアの人口を上回る人たちが就労する勘定になる。インドはITに強いといっても就労人口は毎年15万人に満たない。それ以外の労働力をどうしていくのか、インド政府も頭を痛めている状態である。中小企業が進出する際には、これらの労働力を活かすことを考えるべきだ。

では、どの分野が伸びていくのか。これには十分な調査と研究が必要だ。インド市場のどの部分に入って成功をおさめていくかは、相手のニーズがあってこそ。“この川に魚がいるかいないか”は、自力で情報を集めなければ成功は望めない。
インド政府は、日本の中小製造業のノウハウが喉から手が出るくらい欲しがっている。しかし、インド市場に出る際には何が特効薬になるのか、短期で効くものは何か、長期で効くものは何か、これらを念入りに調べ上げてから進出しなければならない。


■二輪車はホンダ1社で日本全体の3.6倍を製造

インドの欠点として、インフラが整っていないことがよく指摘される。確かに世界的なレベルに達していないことは事実である。しかし、現在のインドのインフラで製造業が成り立たないかというと、答えは否である。日本での二輪車の販売台数は、ホンダ、スズキ、ヤマハの大手メーカーを合わせても約75万台。それに比べてインドはどうだろう。ホンダ1社だけで290万台。日本全体の3.6倍も作っている。四輪車でもスズキが国内生産80万台(国内60万台、輸出20万台)だが、インド生産は現在50万台で、毎年10〜20万台ずつ増えており、100万台を目指している。インフラが整備されていないのでインドは製造業に向かないとは、言い切れない。

ヒーロー・ホンダのバイクの販売台数は、年間290万台
ヒーロー・ホンダのバイクの販売台数は、年間290万台

一方、自動車などの大手企業だけがインドで伸びているのかというと、そうともいえない。アメリカの繊維業界ではインド産が主力になっている。中国に生産シフトした日本の繊維各社は、人件費の上昇などを敬遠して、ベトナムに拠点を移す動きが顕在化しているが、インドも候補地として検討してみるべきだろう。

 
■日本の経営理念をそのまま持ち込んではいけない

日本は、成熟した社会といえるが、インドはまだまだ若く熱気のある社会といえる。何しろ5憶〜6億人の若年層がいる社会である。さまざまな分野の市場が育っていくのはまちがいない。

二輪車や自動車のほか、家電・オーディオも成長分野だろう。ある程度まで経済力が付いてくれば、住宅やそれに付随する業界にも期待ができる。医療関係もいいだろう。アメリカの医療機関では終業時にインドにレントゲン写真をインターネットで送り、インド人医師に所見を書いてもらい、その結果をインターネットで翌朝届けるというサービスを行なっている。

中小企業の中には、日本にはない身分制度の「カースト制度」について、不安を持つ企業もあるかもしれないが、仕事をしていくうえでは実質的な問題はないといってもいい。インド人は日本人に紳士的だが、郷に入っては郷に従えで、インドではインドの慣習に従うべきだ。日本の経営の延長線上で行なうと反発を受ける危険性を秘めている。ある企業の日本人幹部は、現地の社員をなぐって、労働組合まで巻き込んだ大問題になってしまったという例もある。相手にも敬意を持って付き合っていくことが大切になってくる。
ともあれ、大量の労働力を有するインドが中国に代わって、世界の工場になっていく日も近いだろう。

左/主要国の二輪車生産台数 右/主要国の二輪車販売台数

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

備考

しまだ すぐる
1948年生まれ。明治大学商学部卒業後、東京銀行入行。本店営業部、ロサンゼルス支店、大阪支店などを経て91年ニューデリー支店次長。アシア・オセアニア部次長の後、97年に退社し(株)インド・ビシネス・センターを設立。インド・ビジネスに関する第一人者。中小企業基盤整備機構中小企業国際化支援アドバイザー、岐阜県女子大学南アジア研究センター客員教授。