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ティディベアが東京観光?―ぬいぐるみ専門の旅行会社
株式会社 ウナギトラベル

更新日:2014年12月17日

東京に変わった名前の旅行会社が登場した。その名も「ウナギトラベル」。変わっているのは名前だけではない。サービスそのものがユニークなのだ。
 


 
「お客さんごとに異なる想いに応えた演出を心がけたい。そのためには、コミュニケーションが欠かせない」と語る東 園絵氏
「お客さんごとに異なる想いに応えた演出を心がけたい。そのためには、コミュニケーションが欠かせない」と語る東 園絵氏
 
 
旅行中の食事のようすもツイッターやFacebookで紹介
旅行中の食事のようすもツイッターやFacebookで紹介。持ち主は、それを読んで楽しむ
 
 
旅行社と提携して運営する「ウナギバス」は、1度に20体を連れていけるため、事業効率が高まる
旅行社と提携して運営する「ウナギバス」は、1度に20体を連れていけるため、事業効率が高まる
 
 
 
 
 
 
 

ぬいぐるみのための旅行を企画

明治神宮を散策して皇居を眺めたら、東京駅をバックに写真撮影。浅草でもんじゃ焼きを食べた後、スカイツリーを見上げながら雷門を通り抜け、最後は、東京タワーの展望台から東京の街並を見下ろす――。ウナギトラベルの「東京ツアー」(3700円)の内容だ。どこにでもありそうな東京観光ツアーだが、このツアーがユニークなのは、参加者が全員、“ぬいぐるみ”だということ。ウナギトラベルは、“ぬいぐるみ専門の旅行会社”なのだ。

サービスの利用方法を説明すると、まず、同社のウェブサイトで申し込み・代金決済をしたら、ツアーに参加するぬいぐるみをウナギトラベルに送る。ちなみに、参加資格は、体重300グラムまでで、「ふくよかなお客様は、申し訳ありません」とのこと。

集まったぬいぐるみは、6,7体ずつウナギトラベルの経営者、東園絵氏が引率して観光地を巡る。東氏は、ツアー中のぬいぐるみたちの写真を撮影し、ツイッターやFacebookで公開、ぬいぐるみの持ち主たちは、それを見て楽しむ。ツアー終了後は、プリントした写真と画像データの入ったCD-ROMがぬいぐるみとともに持ち主に返送される。

ツアーには、「東京ツアー」のほか、「鎌倉ツアー」(4500円)、「横浜ツアー」(4200円)などがある。また、2015年1月には3泊5日の「ハワイツアー」(14800円)も予定している。さらに、旅行会社と提携して三重県や京都などを巡る「ウナギバス」という別ブランドのツアーも実施している。

依頼主の想いに応えた演出

「お金をかけてぬいぐるみを旅行に出す人がいるのか?」と疑問に思う人もいるだろうが、実は、毎月約50件の申し込みがあり、リピーターも多いという。しかも、利用者の2割は海外からの“訪日客”だといい、ウナギトラベルは、国際的にも知られた旅行社なのだ。

人気の秘密は、ぬいぐるみが旅行するというアイディア自体の面白さにもあるが、それだけではないようだ。

例えば、あるアメリカ人の依頼主は、日本語の勉強を始めた11歳の息子の学習意欲を更に高めたいと、息子のマンモスのぬいぐるみをツアーに参加させた。そこで東氏は、ツアーの写真のほか、滞在中、毎日、そのマンモスが1つずつ日本語を小さな黒板に書いて勉強しているようすを演出し、その写真をFacebookにアップした。すると、自分のぬいぐるみが、旅行だけでなく、日本語の勉強もしているようすに触発された少年は、それまで以上に熱心に日本語を勉強するようになった。おまけに、これを機に、日本熱が一層高まり、とうとう、家族で来日まで果たしてしまったという。

一方、ある日本人の女性は、病気のため自力で歩けず、日光にも当たれないことから、自分の代わりにいろいろ経験して欲しいと、ぬいぐるみを旅に出した。そこで、東氏は、ぬいぐるみが階段を登ったり、日光浴をしたりする演出を施した写真をFacebookにアップしたところ、その女性はとても喜んだという。

つまりこのツアーが人気なのは、ぬいぐるみの旅を通じて持ち主が前向きになれたり、幸せな気分になれたりするところにもあるようだ。

こうした感動を生みだせる理由は、ウナギトラベルが、依頼主1人ひとりの要望に細やかに対応したサービスを行なっているところにある。

「ぬいぐるみに旅行させる人の想いは千差万別で、単に面白そうだからという人もあれば、子どもの教育のため、あるいは、病気の自分ができないことをして欲しいという人もあります。そこで事前にアンケートを行ない、ぬいぐるみに対しどのような想いを持っているか、ツアーで何がしたいのかといったことを確認しています。ツアー参加を決めた背景や依頼主の想いをあらかじめ理解していれば、どんな演出をした写真なら喜んでもらえるかという想像もしやすくなります」(東氏)

ぬいぐるみを介して広がるコミュニケーション

このツアーのもうひとつの魅力は、ぬいぐるみを介して、持ち主同士のコミュニケーションが拡がることだ。

1回のツアーでは、6、7体のぬいぐるみをまとめて連れて行き、そのぬいぐるみたちが一緒に食事をしたり、観光したりするようすを写真に撮影する。

写真は、1体を単独で撮影するより、複数のぬいぐるみを一緒に撮影するほうが、ストーリー性が高まる。そして、そうした写真をFacebookにアップすれば、ぬいぐるみの持ち主同士が、サイト上にコメントを書き合い、交流が深まる。中には、ツアー終了後もそうした交流が続くケースもある。

例えば、同じツアーにぬいぐるみを参加させたアメリカ人とフランス人は、ツアー終了後、今度はお互いの国にぬいぐるみを訪問させ合った。さらに、そのやりとりを見ていた友人が、ウナギトラベルのツアーをプレゼントし、再び来日することが決まったという。

また、東日本大震災を機に引きこもってしまった女性は、Facebookのサイトで他の持ち主たちと交流するなかで、「自分は人と交流することが好きだったのだ」ということを思い出し、それを機に、社会復帰を果たしたという。

「ウナギトラベルが提供するのは旅行ですが、お客さんの目的は、観光よりも、コミュニケーションにあると思います。単にぬいぐるみを預かって、その写真撮って送るだけなら、もう一度利用しようとは思わないでしょう。ぬいぐるみを介して、私や他の持ち主とのコミュニケーションが生まれる。それが楽しくて何度も参加してくれるのです」(東氏)

うなぎのぬいぐるみのブログから事業を構想


東氏が、ぬいぐるみ専門の旅行会社を始めたのは、自分でぬいぐるみをつくったことがきっかけだ。

「うなぎを食べるのが好きなこともあり、うなぎのぬいぐるみを作り、そのぬいぐるみが語る形式でブログを始めたところ、友達たちがそれを楽しんで読んでくれ、出張にそのぬいぐるみを連れて行き、写真を撮って送ってくれるようになったのです。その写真を見た時、見知らぬ街でも、自分のぬいぐるみが写っていることで身近に感じられ、“自分の代わりにぬいぐるみを旅させたら、面白いのではないか”と思ったのが始まりです」

当初は、東京観光に関心を持つのは外国人だろうと考え、海外をターゲットに事業を始めたが、利用者が少なかったため、日本人向けに転換した。身近なところから参加者を増やしていったところ、2013年3月にNHKで採り上げられ、利用者が全国に広がった。さらに、読売新聞の英語版で紹介され、その読者が発信した情報を元に、米国のABCニュースやYAHOOなどでも採り上げられた結果、海外の利用者も増えた。

ぬいぐるみ専門旅行のプラットフォームをつくりたい

現在、ウナギトラベルは、東氏一人で運営しているため、1カ月に実施できるツアーは、最高10回程度に留まっている。今後、さらに事業を拡大していくためには、この回数を増やす必要があり、そのためには、業務の効率化が重要だと東氏は、言う。

「現在、ぬいぐるみの受け取り日を限定するなど、ツアー以外の業務の効率化を進めています。また、ウナギバスの事業は、旅行会社がツアーを行なうため、私が動く必要がなく、また、1回に連れて行くぬいぐるみの数も20体と多いため、利益率も高くなります。今後、こちらの事業が拡大すれば、収益も安定してくると思います」(東氏)

また、東氏は、今後、ぬいぐるみ専門旅行のワールドワイドのプラットフォームを作ることも考えている。

「ウナギトラベルのようなサービスは、海外でも始まっています。そうした世界各地の人々が連携すれば、サービスの幅が拡がるため、運営者にとっても、お客さんにとっても望ましいでしょう」(東氏)

“ぬいぐるみだけの世界一周旅行”。そんなサービスが登場する日も、遠くないのかもしれない。

会社概要

株式会社 ウナギトラベル
住所:東京都港区赤坂4-9-25 5F Htach
URL:http://unagi-travel.com/