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数字が語るこの市場の深層
シェアが拡大している寿司の外食市場

更新日:2013年09月25日

日本食が海外で見直されてきている今日、国内では寿司の外食市場が安定的に推移し、外食市場全体の中でのシェアが拡大してきている。この寿司の外食市場の動きの背景にあるものは何かを、統計データを基に分析してみた。
 

堅調に推移する寿司の外食需要

食の安全・安心財団の公表資料によれば、寿司の外食市場規模は、1980年には9千億円程度だったが、1990年には1.4兆円を超えるまでに急拡大し、1991年から1998年までは1.5兆円台という高水準で推移していた(グラフ1)。同市場規模は、1999年から2001年にかけて縮小したものの、2001年から今日に至るまでは、1.3兆円前後で推移している。また、外食産業全体に占める寿司の外食市場規模のシェアは、2003年以降ゆっくりと拡大してきている。

寿司の外食市場規模は堅調に推移

寿司は、日本人にとって馴染みの深いメニューであるが、自宅で調理する機会は少ない。とくに握り寿司に関しては、そもそも調理技術を持つ人が少ない。このような特性から、寿司の外食依存度は本来高いものと考えられる。

寿司の外食需要特性

総務省統計局「家計調査」によれば、家計が寿司の外食にかける金額は、2012年実績で年間13,094円(2人以上世帯平均)だった。この金額を月別に見ると、1月と8月にピークがあり、2月に深いボトムがある(グラフ2)。家計の寿司の外食費が最も高い8月(1,497円)と2月(895円)の間の支出額の乖離は1.67倍である。一方、外食費全体の最大の乖離は8月(15,291円)と2月(11,342円)の間の1.35倍であることから、寿司の外食消費支出の季節変動は比較的大きいといえる。

寿司の外食消費支出の季節変動の大きさ

寿司の外食消費支出は、季節変動だけでなく地域差も大きい。家計1世帯あたりの寿司の外食消費支出額は、おおむね東日本で高く、中国地方以西で低い(グラフ3)。家計の寿司の外食への年間消費支出額が最も高いのは東海地方(17,170円)であり、最も低い沖縄県(4,725円)と比較するとその金額の乖離は3.63倍である。外食全体への年間消費支出額の最大の乖離が東海地方(182,954円)と東北地方(116,369円)の間の1.57倍であることと比べると、寿司の外食消費の地域差はきわめて大きいと考えられる。

寿司の外食消費支出の地域差の大きさ

寿司の外食需要が堅調な理由


地域差はあれども、寿司の外食市場規模の堅調な推移、外食市場全体に占めるシェアの拡大という事実に変わりは無いだろう。

寿司の外食消費支出の所得弾力性の小ささ

グラフ4は、家計の所得階層別に家計1世帯あたりの外食消費支出額を見たものである。外食全体、寿司の外食ともに、所得が高いほど支出が多く、“奢侈品”としての特性を有するが、家計の所得階層の差(年収336万円未満〜年収810万円以上)に伴う年間消費支出額の乖離は、外食全体(83,508円〜253,337円)で3.03倍、寿司の外食(9,241円〜18,918円)で2.05倍である。つまり、寿司の外食需要の所得弾力性は外食全体のそれよりも小さく、「所得水準の変化が寿司の外食消費に与える影響は小さい」といえる。

実は、これらの特性こそが、グラフ1で見た寿司の外食市場規模推移の背景にあると考えられる。

「好況期には、“奢侈品”としての特性を発揮して大きく市場を拡大させ、不況期には、安価な商品が数多く開発されるなどして、それが消費者の支持を得て市場を下支えする。消費者は収入が減っても寿司の外食への支出を大きく減らすことはない。」

このような構造が寿司の外食市場にはあると考えられる。
人口減少という点は懸念材料ではあるが、日本人の嗜好が今後も変わらないかぎり、寿司の外食市場が大きく衰退することはないだろう。