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数字が語るこの市場の深層
ネット配信の普及で、揺れる音楽業界とレンタルビデオ市場

更新日:2013年03月13日

インターネットの普及で音楽・映像レンタル市場が岐路に立っている。昨年10月、改正著作権法の施行で違法ダウンロードに罰則が科されることになったが、セールス分も含めた音楽ソフト市場自体が1998年以降、3分の1近く縮減しており、同法改正を訴えてきた音楽業界の思惑通りに回復につながるかは微妙だ。また映画などを自宅で楽しめる有料動画配信サービスがスマートフォン(スマホ)普及を背景に市場が拡大。レンタルビデオ店は生き残り策に知恵を絞る必要がある。
 

ソフト市場全体〜映像は堅調、音楽は低迷

まずレンタル市場の動向を知る前提として、セールスも含めた映像や音楽のソフト市場全体の推移を振り返ってみる(グラフ1)。日本映像ソフト協会の調査では、販売・レンタル用のDVDとブルーレイを合わせた「ビデオソフト」市場は5,021億円(2011年)。2007年頃までは6,000億台で推移していたのが近年は落ち込みが激しい。一方、日本レコード協会の調査では、CDや音楽ビデオ等の「音楽ソフト」市場も減少傾向にあった。しかし2012年は3,108億円と、1998年にピーク(6,074億円)に達して以来、14年ぶりにプラスに転じた。その理由は後述する。

ソフト市場規模では、音楽が14年ぶりの拡大

低迷するレンタル市場

次にレンタル市場の動きを見ていく。映像については前述のビデオソフト市場のうち、レンタル出荷分が手掛かりになる(グラフ2)。2005〜08年は3,500億円前後で推移していたが、09年は前年を1割超下回る3,067億円まで低減。その後も下げ止まりが見られず、2011年は2,542億円まで減った。一方、音楽のレンタル店の数は年々緩やかな衰退傾向。全国の店舗数は08年に3,000店を割り込み、11年は2,790店、昨年は2,770店で推移した。映像、音楽のレンタル周りのデータからは、業界が長期低落傾向にあえいでいることがうかがえる。

長期低落傾向にあえぐレンタル市場

音楽配信市場

レンタル市場低迷の背景にあるのは、インターネットの普及だ。ネット上に大量に出回る著作権違反の音楽や映像コンテンツを無料で視聴する「タダ乗り」ユーザーが増えたことが影響したと言われる。「違法ダウンロードの被害額は6,683億円」(日本レコード協会調査)などと主張する音楽業界の後押しもあって改正著作権法が昨年10月に施行。違法コンテンツをダウンロードする利用者にも刑事罰が適用されることになった。ただ、CDが最も売れた1998年でも市場が6,000億円だったのに被害額がそれを上回るという業界の試算については疑問の声もあるように、違法コンテンツばかりが原因とは言い難い。

「着うた」等の有料音楽配信の市場を見てみると、モバイルが落ち込んだ影響で2010年以降に縮小した中でも、インターネット・ダウンロードでの売り上げは着実に伸びている(グラフ3)。スマートフォンの普及がその背景にあり、今後は正規配信のコンテンツ配信市場が伸びていくことが予想される。

着実な伸びを見せるインターネット・ダウンロード売上

有料動画配信

映像も有料動画配信(VOD:Video On Demand)市場が近年着実に伸びており、5年後には現在の1.5倍近い1,368億円まで拡大すると予想される(グラフ4)。経営難に陥っていた古参のGyaO!がヤフー傘下に入って復調。複数の大手電機メーカーが出資するアクトビラ、CS放送から派生したスカパー!オンデマンド、さらには外資のHuluも参入するなど続々と新しいサービスが生まれている。VODのメリットは、自宅に居ながら映像を楽しめる点だ。スマートフォンやタブレット型端末の普及で今後も活況を呈するとみられるだけに、レンタル業界は、ネットで注文してDVDを配達、視聴後に郵送で返却する「宅配レンタル」を拡充するなど対抗策を打ち出している。

成長が予想される動画配信市場

カギはミドル?


人口減少や新たな競合の登場など厳しい経営環境下のレンタル業界としては「ミドル層」の取り込みに活路を見出したいところだ。ここで思い出したいのが冒頭で触れた、音楽ソフト市場の14年ぶりの増加だ。人気グループ「AKB48」が新曲の歌唱メンバーを選ぶ「総選挙」の投票券をCDでセット販売するなど今までにない仕掛けが奏功したこともあるが、音楽業界では、山下達郎さんや松任谷由美さんら大物歌手のベスト盤が相次いで発売され「ミドル層」を中心にヒットしたことも指摘されている。

実際、年代別の音楽利用動向を見ても、50代男性はアルバム、シングルのセールス、レンタル、有料配信のほぼすべてのセグメントで2012年実績は前年を上回っており、オールドファンの音楽回帰を裏付けている(グラフ5)。ミドル層の中には未だにレコード盤を大切にしている人も居て、若い世代よりもネットで音楽を楽しむスタイルには馴染みにくいだろう。TSUTAYAは、中高年をターゲットにした店舗づくりを進めているように、映像レンタルとの「回遊性」を目指したマーケティングは一つの打開策になりそうだ。

オールドファンの音楽回帰