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数字が語るこの市場の深層
アジアで自動車の需要がゴム市場の動向も左右

更新日:2012年10月24日

自動車のタイヤや靴の底など、ゴム製品は私たちの身の回りにたくさんある。目立つことなく私たちの暮らしを支えてくれるゴム製品。そんなゴム製品市場の動向を探る。
 

震災後の落ち込みから回復

輪ゴムや消しゴムなど、家庭で使う小さな日用品のほか、履き物やタイヤなど、日常のいたるところにゴムは利用されている。

工場のベルトコンベアに使われるゴムベルトや、機械に付けられたゴムホースなど、ゴムは工業利用されることも多い。家庭だけでなく、企業の活動も支えている。

普段はあまり気付くことがないが、ゴム製品は私たちの生活に密接にかかわっている。それだけに、ゴム製品市場は景気の影響を受けやすくなる。人々の消費動向や企業活動の変化が、すぐに市場の動きとして表れるのだ。

実際、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災の影響も市場に反映されている。

経済産業省によると、日本国内でのゴムの消費量は、2010年には143万8900トンとなった。リーマンショックの影響で落ち込んだ2009年に比べると、前年比120.3%。20%以上の伸びとなった。(図表1)

震災後の低迷からは回復

しかし、翌年3月に震災が発生すると、伸びの勢いはとまった。2011年の消費量は144万5300トンで、前年比は100.4%の見込みとなった。それまでの伸びを失い、前年の水準で停滞している。

この背景として、震災後の消費自粛で国内の自動車販売台数が減り、タイヤの需要も落ち込んだことが挙げられる。年後半には、タイで起こった大洪水の影響で、自動車の輸出台数が減少したことも一因になっている。

ただ、年後半にはタイヤの需要は回復を始めた。その上、震災被害を受けなかった西日本の工場などでは、工場の稼働が上がり、ベルトコンベアのゴムベルトの需要が増えた。こうした影響を受けて、ゴム市場は震災後の落ち込みを回復しつつある。

2012年には、146万8800トンの消費量が予想されており、わずか106%ではあるが前年比プラスになる見込みだ。

自動車タイヤが市場を牽引


ひと口にゴムと言っても、ゴムにはさまざまな種類や用途がある。だが、日本ゴム工業会の統計資料では、大きく分類すると「タイヤ」「工業用品」「その他」に分けられる(図表2)。中でも、最も大きな割合を占めているのがタイヤだ。

ゴム消費の主力は自動車のタイヤ

2011年の消費見込みによると、タイヤ類は119万9540ンになる。ゴム製品全体が144万5300トンなので、市場の8割以上がタイヤ類なのだ。

このタイヤ類は、さらに「自動車タイヤ」と「タイヤ用練生地」に分けられる。中でも「自動車タイヤ」の割合が大きく、118万6360トンある。一方のタイヤ用練生地は、9890トンに過ぎない。タイヤ類の9割以上を自動車タイヤが占めているのだ。

その結果、自動車タイヤの需要が、市場全体に大きな影響を及ぼすことがわかる。自動車の販売台数や輸出台数が、ゴム市場に関係してくるのはこのためだ。

これに対し、工業用品類は22万9050トンだ。市場全体の15%ほどなので全体への影響は少ない。また主要な工業用品である「ゴムベルト」は2万7700トン、「ゴムホース」は3万5290トンしかない。いずれも市場を牽引するほどの影響は出ないのだ。

2012年の消費予想は、工業用品類が24万7250トンで、前年比107.9%。ただタイヤ類は120万4640ンで、前年比100.4%だ。いずれもプラスの予想だが、タイヤ類の伸びが弱いので全体も抑えられてしまうのだ。

アジアのためのタイヤづくり


その一方、日本自動車タイヤ協会によると、2012年の四輪車(オートバイなど二輪車を除く四輪車のみ)の生産台数は増加しそうだ。2011年は829万5000台で、震災などの影響により、前年比86.1%に減少したが、2012年は957万5000台の生産が予想され、前年比115.4%になるという(図表3)

震災の低迷からは回復

これには、急速な経済発展を遂げるアジアへの期待がある。実際、アジアへの自動車輸出量は今後も拡大を続けそうだ。特に成長が著しいのが中国とインドだと言われ、この2カ国だけで約25億人の人口を擁する。世界全体の3分の1以上を占めていることになる。

だがそれらの国では、まだ先進国並みに自動車が普及しているとはいえない。欧米や日本と同じ程度に、アジアの各家庭にも自動車が行き渡るまでは販売余地があると言えるのだ。

言い換えれば、アジアで自動車の需要がある限り、タイヤの生産量も増加する。その結果、ゴムも必要とされ、ゴム市場も上向くことになるということだ。アジアへの輸出が今後、ゴム市場の動向も左右しそうだ。

2012年は内需も上向き

またゴムの需要が見込めるのは海外だけではない。2012年には国内の景気もやや上向きそうだ。

2012年度の主要経済指標の対前年度増減率によると、政府が発表した主要な経済指標すべてで前年度比プラスの見通しが出ている(図表4)

主な経済指標はプラスの予想

実質国内総生産(GDP)は2.2%、実質民間最終消費は1.1%、実質民間企業設備投資は5.1%、鉱工業生産指数は6.1%と、それぞれ前年比で増加する予想だ。

また民間調査機関による調査の平均値でも、GDPは20.%、実質民間最終消費は0.8%、実質民間企業設備投資は3.5%、鉱工業生産指数は5.2%と、すべてプラスの見通しだ。

もっとも厳しい予想に当たる最小値だけを見ても、実質民間企業設備投資の0.2%マイナスで、微減に過ぎない。政府も民間調査機関も2012年の見通しは悪くないようだ。

リーマンショックや震災などで、消費低迷の影響を立て続けに受けてきたゴム製品市場だが、今後は徐々に回復が見込めそうだ。