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数字が語るこの市場の深層
今や日常的になった感がある昨今のスープ市場

更新日:2012年08月29日

簡単な調理で手軽に食べることができるカップスープ。そんなスープを口にするのは、忙しい主婦やサラリーマンにとって、今や日常的になった感がある。昨今のスープ市場の動向を探る。
 

食費が削られても増え続けるスープの需要

お湯を注ぐだけですぐに食べられる粉末状の乾燥スープ、いわゆる“カップスープ”が人気である。

近年の不況で消費者が食品の購入を手控える中、スープの消費量は順調に伸びている(グラフ1)

食費が減る中でスープ購入額は増加

家計調査によると、一世帯当たりの年間の食料消費支出額は、2000年の97万4000円から10年の88万5000円へとゆるやかに下降しているのがわかる。比べて、乾燥スープの支出額は、00年には2077円だったのが10年には2403円となり約15%伸びている。消費意欲が減少する中でも、乾燥スープの需要は確実に広がっているといえる。

日本では、近年、味噌汁だけでなく、ポタージュやコンソメスープなども食事の際、日常的に飲まれるようになった。また、少し前まで会社のオフィスでは、サラリーマンが飲む温かい飲み物といえばコーヒーが一般的だった。だが近年はカップスープを飲む若いサラリーマンやOLの姿が広く見られるようになった。

この背景には、素材の旨味や食感を残したまま乾燥させられるようになるなど、スープメーカーによる加工技術の進歩がある。市販のスープは、味や舌触りが向上し、種類も豊富になっている。

また、不況の影響も大きい。若いサラリーマンやOLを中心に、昼食時に外食するのをやめる傾向がある。会社のオフィスでお湯を注ぎ、お弁当とカップスープで食事を済ませることが珍しくなくなってきている。

冬場の定番飲料でコーヒーやココアに次ぐ

スープのような飲み物は、季節によって売れ筋が変わる。スープは“温かい飲み物”としてのイメージが強く、寒い季節に需要が特に高まる。冬場に好まれる温かい飲み物の代表として、コーヒーやココアと比較してみよう。

月別支出金額指数で見ると、年平均を100ポイントとする場合、冬場の11月から2月に160ポイント前後で推移するココアが最も消費されている。12月にはコーヒーもココアに迫るほど消費量が急激に伸びている。これらココアやコーヒーの伸び率には及ばないが、スープも10月から2月にかけての寒い時期に、100ポイントを超えて消費量を伸ばしており、ココアやコーヒーと同様の動きを見せているのがわかる(グラフ2)。これはスープが温かい飲み物の代表として認められた証拠といえる。

ココアと同じく冬場に需要が増加

近年、温かいスープは身体にやさしい飲み物として注目を集めている。とくに女性を中心に健康食として、冬場にスープを飲む習慣が根付いてきている。

冷え症になりやすい女性をターゲットにした生姜入りスープなど、性別や年齢の好みに合わせたスープも開発され、各メーカーによるラインナップの充実が、スープ全体の需要を底上げしている。

“温かい飲み物”として子どもからお年寄りまで

年齢別にココア、コーヒー、スープの支出金額をみると、コーヒーは年齢を追うごとに急激に支出額が増え、50〜59歳の層の5800円をピークに減少に転じる。それに比べ、スープは29歳以下から70歳以上まで、すべての世代で2000〜3000円前後を示している。支出金額ではコーヒーに及ばないものの、ココアと比べると圧倒的に消費量が多く、幅広い世代に好まれているのがわかる(グラフ3)

すべての世代で幅広く購入される

スープは、野菜や鳥、魚貝を煮詰めてつくるため栄養価が高く、子どもやひとり暮らしのお年寄りでも咀そしゃく嚼を心配せずに栄養を摂ることができる。こうした特長から、スープを飲むことで食事代わりにする人も増えている。食事代わりになる飲料という認識が消費者に受け入れられ、スープの役割はこれまで以上に高まっている。

ポタージュだけでなく世界のレシピへ種類が広がる

このように幅広い層での需要が増しているスープだが、その生産実績はどのように推移しているのだろうか。スープの種類別に、生産量と生産額の変化を見てみよう(グラフ4)

生産量は横ばいで生産額は連年増加

乾燥スープの代表例として、ポタージュとコンソメスープがある。生産量で見ると、ポタージュは2002年に1万7727トンが生産されており、04年に2万973トンへと増産されたが、06年には1万8458トンへと微減している。コンソメスープも同様で、02年に9121トン生産されていたが、04年に1万404トンに増え、その後の06年には1万40トンへと微減している。

その結果、スープ全体の生産量は、02年の11万1552トン、04年の11万927トン、06年の11万4324トンと、ほぼ横ばいで推移。

その一方で、生産額で見ると、ポタージュは02年の約306億円から06年の345億円へと増加。コンソメも02年の約143億円から06年の157億円へと増加している。その上、ポタージュやコンソメ以外の“その他のスープ”の生産額は、02年の約366億円から04年には414億円へと増え、06年には542億円へとさらに増加している。

この結果、すべてのスープの生産額の合計は、02年の816億4800万円から06年には1045億7300万円へとなった。実に1000億円台に乗せる水準へと大きく生産額を伸ばしている。

この背景には、単価の高いスープが消費者に購入されている事実がある。近年、ふかひれスープやブイヤベースなど、一般的に飲まれるスープの種類が増えている。また、海外の珍しいスープへの需要も高まりつつある。たとえば韓国のサムゲタンやイタリアのミネストローネ、ロシアのボルシチ、スペインのガスパチョなどは身近なスープになっている。

こうした今まで日本人に知られていなかったスープも市販され、手軽に食べられるようになってきた。海外に行かないでも各国の珍しいスープを飲める楽しさが、スープの付加価値になっている。消費者の幅が広がったことで、スープ市場は不況の中でも消費が落ちない市場となっている。