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数字が語るこの市場の深層
めまぐるしく変化する携帯電話市場の今を探る

更新日:2012年05月23日

もはや一人一台は持っていると言っても過言ではない携帯電話。「スマートフォン」(※1)という新しい携帯端末も出現し、市場は活況を呈している。めまぐるしく変化する携帯電話市場の今を探る。
 


国内出荷台数のピークは2007年度

1990年代に、多くの人に使われるようになった携帯電話。最初は、通話機能が付いているだけであった。次第に電子メールの送受信ができるようになり、ついには、カメラ機能、音楽プレーヤー機能、電子マネー決済機能が付き、テレビまでもが見られるようになった。

多機能化が進み、人々の生活の必需品となりつつある携帯電話だが、ここ数年の国内携帯電話市場はどのようになっているだろうか?

日本国内の携帯電話総出荷台数推移を見てみよう。(グラフ1)

携帯電話総出荷台数は2008年度に大きく落ち込む

2007年度の国内総出荷台数は、5076万台で前年度比2.9%増であった。携帯電話の総出荷台数は、日本の総人口のおよそ半分に迫るほどになっている。

携帯電話は、1990年代半ばに通信方式がアナログからデジタルに変わり、メールの送受信や着信音に好みのメロディを付けることができるようになった。また、90年代後半には、インターネットへの接続が可能になるとともに通信速度も向上し、ウェブの閲覧や画像の送受信が可能になった。「急速に多機能化が進み非常に便利になったため、瞬く間に普及し、出荷台数は、年間5000万台までいった」とMM総研の横田英明取締役研究部長は言う。

ところが、08年度、09年度になると出荷台数は大きく落ちこんでいる(グラフ1)。09年度の出荷台数は3444万台と、07年度と比べると32.2%もの減少となった。

要因は、07年に総務省が、携帯電話販売店への販売奨励金制度に規制をかけたことによる。

販売奨励金制度は、各通信事業会社が、契約ごとに販売奨励金を販売店に支払っていた制度だ。これにより販売店は、0円などの安い価格で携帯電話を販売することができたのだが、規制によりそれができなくなった。「携帯電話が安く買えなくなったため、いままで頻繁に買い換えていた人が、買い控えるようになった」と横田氏は語る。

急速に拡大するスマートフォン市場

このように、08年度から出荷台数を大きく減少させた携帯電話市場。

しかし、同年、携帯電話市場に衝撃が走った。パソコンのMac(マック)シリーズを製造販売しているアップル社が、パソコン機能を付加させた携帯電話iPhone(アイフォーン)3G(※2)をソフトバンクから発売したからだ。

パソコンと同等の機能を持つスマートフォンのiPhoneは、これまでの携帯電話と違い、画面をタッチすることでさまざまな機能が使える。また、アプリ(アプリケーションソフトウェアの略)を使用して、メールや音楽プレーヤーはもちろん、ゲームやワープロ機能なども使用できる。

iPhoneは、発売以来世界中で爆発的に売れ、その後、他社も追随してスマートフォンを商品化することになった。

ここで、国内のスマートフォン出荷台数推移を見てみよう。(グラフ2)

スマートフォン出荷台数は2011年に入り急速の増加

ソフトバンクが、アップル社のiPhone3Gを発売した08年度は、まだ110万台の出荷台数で、全携帯電話出荷台数に占める割合は、3.1%であった。しかし、10年度は、855万台と08年度に比べ8倍の出荷台数となっている。全携帯電話出荷台数に占める割合は、22.7%にもなった。急激な市場拡大である。

これは、iPhone3Gの販売増加に加え、09年にiPhone3GSという新商品が発売されたことに主な要因がある。iPhoneユーザーは、機能がよりよくなった新商品へ買い替え、また、iPhoneを持っている友達に借りたりして、そのよさを知った人がiPhoneを買い始めるようになった。

さらに、ソフトバンクが実施したさまざまな割引制度により、iPhoneの価格が抑えられたこともスマートフォンの市場拡大に寄与している。「この頃から、スマートフォンを持っている人を周りで見るようになり、より身近なものとなった」と横田氏は語る。

10年に入ると、スマートフォンの販売に後れを取っていたNTTドコモとKDDIが、続々と市場に参入。また、アップル社も最新機種iPhone4を市場投入させ、「スマートフォン戦争」が始まった。

11年度のスマートフォンの出荷台数は、10年度比172.5%増の2330万台、全携帯電話出荷台数に占める割合は、56%と半分を超える見通しだ。(MM総研調べ)。

横田氏は、「このまま現在の推移で進めば、スマートフォンの出荷台数は、15年度には全携帯電話出荷台数の70%までになるだろう」と分析している。

基本ソフトはGoogleのAndroidが圧倒的


携帯電話の通信事業者への加入契約数は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社で契約数の9割以上を占める。(グラフ3)

通信事業者別契約数構成比はNTTドコモが首位は変わらず

ここ数年は、ソフトバンクが、スマートフォンの先行発売で上位2社を追い上げている形になっている。

次に、スマートフォンのさまざまな機能を動かす基本ソフトの、11年度上期のメーカー別出荷台数割合をみてみよう。(グラフ4)

基本ソフトはAndroidが大半をしめる

全出荷台数の約80%を占めるのは、NTTドコモやKDDIから発売されているスマートフォンに使われているAndroidである。iOS(アップル社製)は、iPhoneの基本ソフトで、iPhone以外のスマートフォンには使われていないため、シェアは少ない。

KDDIからも11年10月にiPhone4Sが発売された。そして、12年にはiPhone5が発売される予定である。しかし、「まだAndroidの勢いは止まらない」と横田氏は推測する。

15年には、全携帯電話の70%まで出荷台数が増加すると予測されるスマートフォン。今後は、携帯端末機器市場だけでなく、機器のカバーやアクセサリーなどの周辺器具市場、アプリ市場、通信回線市場も拡大していくに違いない。

※1 スマートフォンとは、通話機能やメール機能が付いた通常の携帯電話に、パソコンと同等の機能を付加した携帯端末のことをいう。

※2 3Gとは、第3世代移動通信システムのことであり、第2世代よりも高速なデータ通信や、テレビ電話などのマルチメディアサービスの利用が可能となった。