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数字が語る この市場の深層
不況や核家族化が追い風に「缶詰・びん詰・レトルト市場」

更新日:2010年11月02日

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 多くの家庭で買い置きされている缶詰やびん詰、そしてレトルト食品。これらは身近な加工食品だが、最近、その需要にこれまでとは違う動きがあるという。
 


完成された商品が苦境に

人類の歴史が始まって以来、食物を貯蔵することは重要な生活の営みの一つだった。そのため貯蔵法にはいろいろな工夫が施され、今日まで発展してきた。

そんな中、缶詰やびん詰は形をほとんど変えずに私たちの身近に存在してきた。なぜなら味や栄養、安全性の面から見て、優れた保存法だからだ。加えて、経済性、利便性の面から見ても完成度の高い商品といわれている。これらの理由から、日本でも戦後、堅調に需要を伸ばしてきた。

ところが、日本缶詰協会(東京都千代田区)の金村宣昭氏によると、そんな缶詰やびん詰が「ここ数年で徐々に需要が減ってきている」という。

これには輸入の増減が大きく関係している。アメリカ、イタリア、タイ、中国、スペイン、フランス、フィリピン、ギリシャ、インドネシア、南アフリカ、オランダ、そして日本。缶詰はこれらの国で世界中の生産量の9割をカバーしているのだ。

そして日本では輸入品の缶詰を飲食店や洋菓子店で大量に消費している。日本では採れない野菜やフルーツの輸入缶詰が、洋食やスイーツの食材として使えるからだ。輸入品の缶詰は、日本の飲食業界に浸透しているのだ。

国内で消費される缶詰やびん詰は、2008年では107万トンと算出される。その内、輸入量は70万1128トンになる(表1)。ほぼ7割が輸入品なのだ。国産は輸入のほぼ2分の1の量しかない。このため缶詰やびん詰の消費量は「輸入の増減が大きく影響する」と金村氏は語る。

缶詰・びん詰の輸入数量

中国が輸入のカギを握る

それを踏まえて、表1の輸入量を年別に追っていくと、1999年の72万1221トンから2006年の82万2832トンまでは順調に伸びている。

しかしこの輸入量が2007年を機に突然、減少に転じている。2008年には10万トン近く減り、70万1128トンまで急落した。

これは中国製品の安全性が揺らいだことが原因だ。中国産の生姜やホウレン草などから基準値を超える農薬が検出された事件は記憶に新しい。中国は日本に近く、大量の農産物を低コストで生産している。そのため日本は缶詰やびん詰の輸入先としても中国に依存している。

さらに、缶詰やびん詰としてそのまま利用するだけではない。日本に輸入された缶詰などは原料として再加工され、新たに国内加工品としてリパックされることも多い。「そのため、輸入先の農産物の安全性には企業は敏感になる」と、金村氏は輸入による販売量の急変を解説する。

加えて、下の表2を見てみよう。これは国内生産された缶詰・びん詰の総量を記したものだ。

缶詰・びん詰の国内生産量


1999年には55万1736トンあったが、2000年には53万6031トンに減少。2001年には47万1534トンに減り、50万トンの大台を割った。さらに2006年にはついに40万トンを下回り、39万4482トンに減った。その後も微減が続き、2008年は36万9250トン。過去10年間で3割以上も減少している。
成長株レトルトの猛追

 

この背景には「レトルト食品の普及がある」と金村氏は指摘する。実際、レトルト食品の総生産量は、1999年には24万5592トンに過ぎなかった(表3)。しかし、2000年には26万5329トン、2002年には28万321トンと徐々に増加。2004年には30万431トンまで増え、30万トンの大台に乗った。その後もさらに増加は続き、2008年には32万187トンとなっている。缶詰やびん詰とは逆に、この10年間で3割以上も市場を拡大させているのだ。

レトルト食品の国内生産量

レトルト食品の歴史は、1968年に、一般向けレトルト食品として、大塚食品がレトルトのカレー「ボンカレー」を発売したことに始まる。

缶詰やびん詰に比べて重くなく、携帯しやすい。また簡単に開封できて、食後には包装容器を小さく折りたためてゴミを減らせることも普及を後押しとなった。

さらに「包装技術の発達により種類豊富なレトルト食品が出回るようになった。消費者の選択肢が増えた」(金村氏)こともある。

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