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数字が語る この市場の深層
7兆円にもおよぶ介護ビジネス市場

更新日:2010年08月31日

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 2007年に「超高齢社会」(※1)を迎えた日本。確実に介護を必要とする人の数は増え続けている。それをにらんで大手企業が介護サービス事業に進出する例も目立つようになった。その未来図とは。
 

 そして「通所系・訪問系」の介護サービス事業所の数も次第に増加している。2010年に65歳以上の単独世帯が世帯主65歳以上の世帯に占める割合は約3割(グラフ3)と予測されている。1人暮らしの老人が確実に増えるわけだ。孤独な老人が施設に入れないにしろ、入らないにしろ、通って、もしくは訪問されて受ける介護サービスが求められる。今後も事業所数は増加していくだろう。

 介護保険施設には、介護度が高い人、つまり状態の悪い人から優先的に入所できるのが一般的だ。このまま人口に占める高齢者率に合わせて、居住系サービスや、通所系・訪問系の介護サービス事業者が増えていくのが、現実的な未来図になる。

世帯主65歳以上の世帯

新たな事業スキームが必要

 ビジネスとして考えれば、7兆円にも及ぶ介護市場。ただし吉池氏は、「ビジネスとしての面白みは少ないが、安定したビジネス」と表現する。

 面白みがないのは経営努力が収益に直結しにくいからだ。介護保険制度では、利用者負担は1割で、それ以外は公費から50%、保険料から50%が出される(表4:要介護者の入所時の自己負担額)。

1人当たり平均利用料

 介護サービス事業者の収入となる介護報酬単価は3年ごとに精査され、事業者がもうかる傾向にあれば、単価が落される。このため、「大してもうかるビジネスではない」(吉池氏)のだ。

 介護保険制度を維持するために、「国は事業者の経営状況を見ながら、介護報酬単価を決めていく」(吉池氏)わけだ。

 昔から、特別養護老人ホームは、いわゆる地元の名士≠ェ社会福祉法人を設立して建てたところも多く、低所得層の要介護者が入所していた。もともともうかるスキームではない。

 そんな市場にワタミやベネッセのような大手企業が参入しつつある現状は、喜ぶべきことかもしれない。複数の法人が競争に参加することで、「サービスの質の向上効果」(吉池氏)がある。

 しかし「もう少しビジネスのうまみが得られる事業スキームを国も事業者も考えないと、今後の拡大は難しい」(吉池氏)だろう。

 経営努力が収益に結び付き、より自由に事業拡大ができるような市場をつくらないと、増大するニーズに対応できるだけの新規参入は見込めない。

 日本の地域経済に地元の名士≠ヘまだ残っているだろうか。利益のみならず、志を持って介護事業に取り組む人材はいるだろうか。

 微妙に右肩上がりの市場規模を示すグラフは、日本人に理想の介護事業のあり方を問うている。

※「1 超高齢社会」……65歳以上の人口が総人口に占める割合が21%を超えた社会
※「2 要支援」……日常生活の一部に介護が必要だが、介護サービスを適応に利用すれば心身の機能の維持・改善が見込める状態


月刊ベンチャー・リンクバックナンバー(2010年5月号)よりお届けいたします。

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