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外食
食生活も変化している
信州大学経営大学院教授 茂木信太郎氏/B STYLE16月号より(2005年10月15日発行)

更新日:2005年10月15日

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家族構成や世帯員数が変わるとともに、食生活も変化している。「2人家族なので、食べきりサイズが欲しい」「家で食べたいが、手間はかけたくない」変わる食生活のニーズに対応しているのは、じつは「ノンフードビジネス」だという。その実情を茂木氏にうかがった。


 
■フードビジネス競合の本丸は異業種・異業態
 
フード市場は、成熟市場である。市場成長期ならば、競合相手は、同業種であり、よく見える。
しかしながら、市場成熟期となると、競合相手は、直接には見えないことも多い。
既に旧聞に属するかもしれないが、かつて2000年2月にマクドナルドが半額バーガーキャンペーンを開始したときには、その年末からセブン‐イレブンをはじめとして、コンビニエンスストア業界でも、100円おにぎりの開発と販売や、事実上のディスカウントキャンペーンが導入されることになった。これこそ「外食」のファストフードと「中食商品」メインのコンビニエンスストアの競合が、実証された例である。
このように、成熟したフード市場において、競合は異業種・異業態だと考えねばならないであろう。

■新市場に対応した品揃え「ノンフードビジネス」
 
スーパーマーケットは、いうまでもなく、食料品が主力の取扱商品なので、「フードビジネス」と呼んで間違いない。では、スーパーマーケットにとって、もっとも気になる競合相手はどこであろうか?それは、ドラッグストアとホームセンターである。

ドラッグストアとホームセンターは、流通業界では「ノンフードビジネス」と呼ばれて括られる。「フードビジネス」の競合相手が「ノンフードビジネス」だというと、矛盾した表現だ。なんだかややこしい。

政府の公的な統計に「商業統計」がある。国勢調査の商業版としてよく知られ、また、関係者においてもっともよく使われている統計である。この統計結果を眺めていて、数年前にドラッグストアとホームセンターの店舗の急激な増大という事実に目が留まったことを覚えている。ちょうど、全国で大型店が軒並み業績を悪化させていたときであり、そごう、ダイエー、西友などの固有名詞が連日新聞の紙面を飾っていたころだ。
流通業界の全体としての販売不振が喧伝されているなかで、急成長する業態があるというのは、注目すべきところである。私は、これら「ノンフードビジネス」の様子を折に触れて窺うようになった。

そして、ある日、有力ドラックストアチェーン企業の決算内容を見て、愕然とした。
「医薬品」「化粧品」「雑貨」「食品」という商品区分別の売上構成比をみると、「医薬品」と「化粧品」を合計した売上構成比はたった2割強ほどで、「雑貨」が3分の1強ほど、そして、「食品」が4割強であるのだ。
売上構成比で5割に満たないので、公的統計では「飲食料品小売業」という格付けはもらえないが、いわゆる大型スーパー(GMS)の食料品の売上構成が3〜4割程度であるので、それ以上に食料品店(=スーパーマーケット)に近いということだ。

当時、連載していた雑誌の「フード」というコラム欄に、さっそくこの事実を取り上げた。そこで、「ノンフードビジネス」で扱われている食品群を観察して、また、発見があった。その品揃えに、大いに特徴があったのである。(注1)
その特徴を、具体的に述べると、(1)いわゆる健康食品、(2)ペットフード、(3)菓子などの加工食品や飲料の品揃えが豊富で、(4)弁当箱や食卓周り用品、(5)洗剤など台所用品の品揃えも厚く、ホームセンターにいたっては、(6)バーベキューセットやガステーブルまである。
つまり、スーパーマーケットとは、その品揃えにおいて一部で直接に競合しているのであり、のみならず(1)健康食品などは、スーパーマーケットでは到底叶わぬ豊富な品揃えをしているのである。(1)健康食品や(2)ペットフードなどは、急成長している分野である。

スーパーマーケットは、家庭の台所を担う業態であると自己規定していて、生鮮食料品の品揃えでは、他の業態を寄せ付けない。しかしながら、生鮮食料品以外の食品分野では、むしろ、「ノンフードビジネス」業態のほうが、新しい市場動向に敏感に対応した品揃えを実現していると評すことになろう。
このように成熟市場においては、競合の本丸は、異業種・異業態にあると認識しなくてはならない。そうであるならば、新しい事業発想の芽も、異業種・異業態間での反発と融合を繰り返しながら、発見され辿り着くものだとみることができるのである。

 

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