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カタログ通販業界
ベンチャー・リンク2007年10月号

更新日:2007年11月22日

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インターネットの台頭で新分野の開拓がカギに


 
家庭のIT化が進み販売手法が変わる

通信技術の発達による販売手法の多様化が、カタログ通信販売業界に大きな転換を迫っている。インターネットの普及により、自宅に居ながらにして欲しい商品を購入できる手軽さが、カタログ以外からも得られるようになったためだ。

通販業界に詳しい富士経済(東京都中央区)の栗田洋一郎・第二事業部主任はこう話す。
「インターネット通販の伸びは著しく、今年度にも市場規模がカタログ通販を超えると予想されています。ただ、これは商品の注文媒体と支払い方法で区分した場合のことで、両者を厳密に分類するのは難しいのが実情です。例えば、カタログで見た商品をインターネット経由で注文したものもインターネット通販の利用に含まれます。いずれにせよ、インターネットは今後ますます通販業界の主流となっていくでしょう」

日本通信販売協会がまとめた2006年の利用実態調査でも、インターネット通販利用者は45.5%に達している。通販の利用経験のない人を含め「利用予定がある」「予定はないが利用してもよい」の回答が合わせて約9割に上る。インターネット利用者がますます増えていくことは間違いない。

ネットとカタログの併用で相乗効果を狙う

通販業界は現在、市場規模が3兆円以上で右肩上がりの成長を続けている。店舗に足を運ぶ必要がなく、好きな時間に、街の小売店と同等、時にはそれ以上に付加価値のある商品を比較、検討して注文できる利点が幅広い顧客層から支持を得ている。






その通販業界を長く牽引してきた業態が、カタログ通販。利用者に無料で届けられるカタログには、各社が趣向を凝らして集めた衣料品や家庭用品など、さまざまな商品が掲載され、育児や家事で外出する時間の取れない主婦層を中心に定着している。

このカタログ通販業界において、首位の座を競い合っているのがベルメゾンブランドで知られる千趣会(大阪市北区)とニッセン(京都市南区)だ。2強の地位を現在まで維持してきた一因として、インターネット通販分野への早期の取り組みがある。ともに00年頃からシステムとサービスの強化、独自商品の開発などを行ない、今日ではインターネットが売り上げの30.5%を占める。

ニッセンホールディングス経営企画室の小田一宏氏はこう話す。「通販業界の市場規模が膨らんでいるなかで、カタログ通販は逆に縮小しているのが現状です。これに対し、インターネット通販は大きく伸びており、今後もインターネットでの売り上げ規模拡大を図っていきます」






一方、千趣会総務・IR広報部の土井佐季氏はこう説明する。「インターネットを注文手段の1つとして捉えるのではなく、カタログを補完し、新たな客層を開拓し、ブランド力をつける事業として取り組んでいます。さまざまな販売手法を使って相乗効果を上げたいと考えています」

この2強を追いかけるベルーナ(埼玉県上尾市)は、カタログ事業の再編などに注力していたことでインターネットへの対応で後れを取り、売り上げに占める割合は10%に満たない。そこで06年には100人以上の事業体制を築いてインターネット販売の地盤固めを行なった。同社経営企画室の中西信昭氏は「商品検索から注文までインターネット上で完結する販売手法を早期に構築し、収益性を高めていきたい」としている。

ニッセンの生活総合カタログ。ファッションから家具インテリア、生活雑貨まで、幅広い品ぞろえを誇る





カタログ通販にはないインターネット通販の利点として、システム導入後の事業継続コストの安さに加え、商品展開のスピードがある。一般にカタログは企画に1年、制作に半年かかるため、流行を即座にとらえて商品展開するには不向きだ。発刊サイクルも多くて年4回が限度。

しかも、暖冬や冷夏といった天候不順や、売れ筋商品の読み違いなどのリスクもある。その点、インターネットなら仕入れた商品をすぐさま掲載できる。例えば、エクササイズのDVDが話題になれば、該当商品や健康関連商品の特集ページを設けて販売することが可能だ。

独自企画のコレクションを毎月届けて生活提案
20代から30代の女性向けアパレル商品をメーンにするフェリシモ(神戸市中央区)は、ここ数年で急成長を遂げている。「haco.」を始めとするカタログは、写真の構図や起用するモデル、誌面構成など一般ファッション誌に近い体裁をとっているのが特徴だ。開発商品は雑誌やテレビなど各種メディアへの貸し出しも行なっており、アパレルブランドと同じ手法でブランド力の強化を図っている。さらにユニークなのが、商品の販売方法。単品で販売するのではなく、複数の色柄で展開された一連の「コレクション」を希望する期間、毎月1回届けるシステムだ。

フェリシモ経営企画部の吉川公二氏はこう語る。「着慣れない色の洋服も、着てみると実は意外と似合うと発見することがありますよね。コレクション単位で販売するのは、商品単品では得られない多様なライフスタイルを楽しんでもらいたいからです。フェリシモ独自の商品とシステムを気に入ってくれる方が増え、年間購入回数が増加し、直近の売上高は前年比2.3%で伸びています」他社にはないこの販売方法は、今後も拡充していく方針という。では、カタログからインターネットへと全面的に移行していくのか。各社ともそうは見ていない。カタログ通販は伸びが見込めないとはいえ、市場規模はここ10年近く1.7兆円前後の横ばいで推移しており、利用者数が安定しているのも確かだ。パソコンの画面で見るよりも、カタログの誌面をじっくりと見て商品を選びたいという人も少なくない。

また、カタログ通販の大手には、インターネット通販専業の新興勢力にはないブランド力がある。通販は実物を確認できないため、商品の信頼性と安心感が重視される。加えて、長年にわたってブランド力に磨きをかけてきた各社は、顧客層ごとの訴求方法を熟知している。

千趣会の「私たちの暮らす服」は主に30代女性を対象にしたファッション・服飾雑貨のカタログ。






こうしたことから、インターネット通販へと完全に転換を図るのではなく、あくまでカタログを主力に据えて事業展開を進める傾向が見られる。インターネットという新たな販売手法を確保して新規顧客を獲得。カタログとの複合利用による相乗効果を期待し、時代の変化に対応していこうという構えだ。

ベルーナの主力カタログは、30〜60代女性を対象にしたファッション、服飾雑貨、小物などを掲載。お買い得感のある商品が並ぶ。インターネット販売にも力を入れ、100人以上の体制で一貫販売の手法構築に取り組んでいる。


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