経営者の味方「社長・経営者のための経営課題解決メディア WizBiz」

WizBiz:HOME >  ビジネスマガジン >  市場分析  >  カー用品業界  詳細

熱戦 業態の垣根を越えて競争激化
カー用品業界
ベンチャー・リンク2008年1月号

更新日:2008年02月21日

  • 最初へ
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 次へ
  • 最後へ

自動車販売まで扱うトータル型と取扱品限定の専門特化型に二極化


 
カー用品店とディーラーが互いの領域に踏み込み競争激化

カー用品業界は今まさに過渡期に差しかかっている。国内の新車販売台数の減少を受け、カー用品の市場規模も伸び悩んでいるのだ。日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会がまとめた乗用車と軽自動車の新車販売台数を見ると、2005年から前年割れで推移しており、06年は515万7654台。07年上半期(4〜9月)は前年同期比7%減の224万7745台と、縮小に歯止めがかからない。

カー用品出荷市場規模の推移


この傾向について、カーアフターマーケットの専門誌『A.M NETWORK』の貴堂 郁(きどういく)編集長は次のように分析する。

「落ち込み要因としては若年層の車離れが大きい。自動車を維持するには保険代、駐車場代、税金、車検代、燃料費などお金がかかるうえ、車を持つことが以前ほどステータスシンボル(社会的地位の象徴)ではなくなっているのでしょう。車が売れなくなれば、必然的にカー用品の売り上げも減少してきます」

業界の動向に詳しい矢野経済研究所が調べたカー用品市場規模の推移を見ると、05年に1兆2840億円で前年比6%増となったものの、06年は1兆2810億円と減少し、07年は1兆2710億円程度となる見込みだ。さらに08年以降、前年比2〜3%の割合で減少すると推測されている。

カー用品の売り上げに影響するのは自動車の販売台数減少だけではない。人気車種の変化や自動車ディーラーの顧客囲い込みも大きく響いている。
「今の人気車種はミニバン型。内外装に手を加えて独自色を出して楽しむようなスポーツカータイプは生産されなくなってきています。しかも新車購入時にオーディオやカーナビが標準装備されている車種も少なくありません。つまり、カー用品店で購入していたものが、ディーラーで間に合うようになっているのです」(貴堂編集長)

主要販売チャンネル別販売金額シェア


ディーラーがアフターマーケット事業を強化したのも、新車の国内販売が低迷していることに起因する。用品販売や保険市場に踏み込み、顧客の囲い込みを図っているのだ。この状況を受けて、カー用品店各社も手をこまぬいているわけではない。車検や整備などのメンテナンス事業を始めるなど、ディーラーと同様に、アフターマーケット全般を扱う業態にシフトする傾向が見られる。

矢野経済研究所の自動車部アフターマーケットチームリーダーである松本才喜(さいき)氏は、カー用品店の車検・メンテナンス事業についてこう予測する。
「車検が必要な車は年間に約3000万台です。04年に当社が調査した1店舗当たりの車検取扱台数から推定すると、整備工場扱いが60%、ディーラーが30%、ガソリンスタンドが3%、カー用品店は1%程度。そのうちディーラーは新車の車検中心で、その獲得率は70%に上りますが、購入して5年後になると50%に減少します。

この傾向から、カー用品店は中古車車検を中心にシェア10%程度までは伸びるのではないかと見ています」さらに自動車販売まで扱うカー用品店も登場している。つまり、カー用品店、自動車ディーラー、中古車販売店といった業態の垣根がなくなり、縮小傾向にある市場を多業態で奪い合う構図が生まれているのだ。

G-7グループは、06年10月に大型複合施設「モータウン土山」を開業。「車生活のトータルサポート」を目指す。
G-7グループは、06年10月に大型複合施設「モータウン土山」を開業。「車生活のトータルサポート」を目指す。

総合的に車生活を支援し固定客獲得を図る大手

1947年に自動車部品の卸販売として創業したオートバックスセブン(東京都江東区)は、現在、5業態の店舗展開をしている。総合カー用品店の先駆けとなった「オートバックス」、寒冷地のメンテナンスに特化した「オートハローズ」、300〜700坪の広大な売り場面積を持つ「スーパーオートバックス」、中古カー用品の「走り屋天国セコハン市場」、セルフ式ガソリンスタンドを核にカー用品販売やメンテナンスを行なう「オートバックスエクスプレス」だ。
カー用品店別売上高シェア


同社の07年3月期の連結売上高は2425億3200万円。業界内の売上高シェアは56%と圧倒的強さを誇るが、96年以降の業績は横ばいが続いている。業績向上への打開策として掲げたのは「トータルカーライフ戦略」。なかでも新機軸となるのが中古車の買取・販売事業と車検・整備事業だ。現在は車販売が114億円、車検事業は91億円と全売上高の7%程度にすぎないが、今後の重点事業と位置づけている。

07年の自動車販売台数1万5400台、車検実施台数28万5000台を、09年にはそれぞれ3万台、57万台に引き上げるとしている。カー用品事業からカーアフターマーケット、車販売までを取り扱い、業界をけん引する目論見だ。

こうした戦略は、オートバックスのフランチャイズチェーン(FC)店を運営する企業でも展開している。オートバックスは直営175店のほか、FC353店を国内で展開。なかでも最大の売上高を誇るのがG-7ホールディングス(兵庫県神戸市)の事業子会社オートセブンで、76年にFCに加盟し、兵庫県を中心に「オートバックス」「スーパーオートバックス」「走り屋天国セコハン市場」など49店を運営している。

G-7ホールディングスの07年3月期の連結売上高は595億6600万円で、そのうちオートバックス事業は248億5700万円と、全体の41.73%を占める。

「FCの場合、知名度の高いオートバックスブランドを生かした店舗展開ができ、商品仕入れの規模の大きさによるメリットも追求できます。今後はカー用品だけでなく車販売、車検サービスなどお客様の車生活全般をサポートできる店舗を作っていく方針です」

G-7ホールディングス経営戦略部経営企画室係長の今井聡氏はこう説明する。G-7グループが並行して手がける新車・中古車の販売・買取事業は、07年3月期で売上高40億2900万円となり、前年同期比25%増と順調に伸びている。

また、同グループは「車生活のトータルサポート」を実現する事業方針の一環として、06年10月に大型複合施設「モータウン土山」を開業した。これは「約5年前から店舗の移転新築に伴い、大型化、複合化を進めてきた」(今井係長)もののひとつで、カー用品や新車を販売するほか、車検・板金・整備のためのメンテナンス設備や、洗車・コーティング施設とセルフ式ガソリンスタンドなどを併設した車関連を中心とする大型複合施設となっている。今後も既存店の改装、車検やメンテナンスなどのサービス強化を進めていく考えだ。

イエローハット、ジェームス、オートウェーブなど、ほかのカー用品大手もオートバックスと同様に車検・メンテナンス、新車販売へと拡大路線をとっている。「自動車購入を足がかりにカーナビ、オーディオなどの購入や取り付け、定期的なメンテナンス、車検などで固定客を獲得しようという狙い」(A・M NETWORK貴堂編集長)のようだ。
中古市場で先鞭をつけたアップガレージ。設立から1年かけて中古品の査定システムなどを開発し、FCの買取マニュアルを作成した。
中古市場で先鞭をつけたアップガレージ。設立から1年かけて中古品の査定システムなどを開発し、FCの買取マニュアルを作成した。


 

  • 最初へ
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 次へ
  • 最後へ