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数字が語る この市場の深層
新築不動産市場
月刊ベンチャー・リンク2009年7月号掲載

更新日:2009年09月29日

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ミニバブル崩壊の様相を見せる日本の不動産市場。要因は米国を起点とする金融危機だけでなく、ほかにも日本固有の悪要因が折り重なっている。今後の動向を探った。


視界に捉えたトンネルの出口

新築不動産市場はどん底の状況を脱し、ようやくほのかな薄日が差し込みつつあるようだ。不動産経済研究所(東京都新宿区)によると、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)では新築マンションの契約率が4月まで5カ月連続で前年を上回った。販売在庫も4カ月連続で減少している。

需給バランスの改善を受けて、月を追って供給量の前年同月比での減少率も縮まり、4月はついに8.5%減と一ケタ減まで改善した(図1)。同社企画調査部の松田忠司氏によれば、「モデルルームへの来場者数も増えており、5月の新規の発売戸数は2007年8月以来、1年9か月ぶりに前年同月を超える見通し」だという。

首都圏月別供給戸数増減率

この2年間近く、新規マンション市場は、ほとんど呪われた市場だったと言ってよい。振り返れば首都圏の新築マンション市場は05年まで年間8万戸の大量供給が続き、市場はわが世の春を謳歌していた。この頃には“売り惜しみ”という、今では信じがたい言葉すらささやかれたものだ。

トリプルパンチでノックダウン

しかしその後、市場はスパイラル的な下降局面に突入し、08年には発売戸数がついに4万戸台にまで減少(図2)。ちなみに08年の首都圏の減少率は前年比28.3%減だが、全国計でも同26.7%減少しており、日本全国に共通した傾向であることが読み取れる。

新築マンション販売戸数

「供給減少の最初のきっかけになったのが、07年までの急速な価格上昇。庶民には手の届かないところまで価格が上昇してしまい、顧客離れを招いた」(松田氏)。資材価格の上昇などもあり、価格については08年まで、なお緩やかながら上昇が続いていた(図3)。もちろん価格変動は市場の自然な調整であり、誰を責めることもできない。

首都圏マンション価格

ただし、07年には同時に建築基準法の改正で着工戸数が減少した。これは完全な人災と呼んでよい。昨年にはそこに金融危機の津波が来襲、市場はトリプルパンチを受けた形で完全にノックダウンした。08年9月には供給量が同53.3%も減ったのだから、その下降速度はただ事ではない。

それにしても不動産市況の好不調の波は短く、局面の展開が非常に速い。「購入者のマインドに左右されやすいうえに、価格が手の届かないところまで上昇してしまうと、給与が上がらない限り買えないものは買えない」(松田氏)。

ちなみに4月の新築マンション平均価格は3953万円で、平米単価は60.4万円。ここへきて、市況は底を打ったと言えるのだろうか? 「バブルが壊れて景気が悪いといわれてた1990年代も、マンションの売れ行き自体は悪くなかった。景気は悪くても、これだけ価格が下がると、“お買い得感”があるのは確か。これまで購入を控えていた層が戻ってきている。不動産はもはや完全な市況商品になったと言える」(松田氏)。

 

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