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<熱戦>数年は市場拡大傾向の見込み
保育サービス業界
ベンチャー・リンク2008年3月号

更新日:2008年04月24日

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施設不足と規制緩和により異業種からの参入が相次ぐ


ピジョンが運営する保育所。現在、8つの認可・認証保育所を運営する。
ピジョンが運営する保育所。現在、8つの認可・認証保育所を運営する。

自治体の民間委託で伸びるベネッセスタイルケア

2000年に保育所の設置認可が規制緩和され、保育サービス業界は大きく変わった。それまで保育所を設置できるのは地方自治体と社会福祉法人に限定されていたが、一定の基準を満たせばNPO(民間非営利団体)や学校法人、株式会社などの参入が可能になったのだ。

民間事業者が保育所を設置できるようになったことで、1つの転換期を迎えた。厚生労働省発表の保育所数の推移を見ると、規制緩和により民間事業者の参入が相次いだことで明らかな変化が生じたことが分かる。減少を続けていた保育所数が00年の2万2195カ所を境に増加に転じ、07年には2万2848カ所に達した。

市場規模も拡大している。矢野経済研究所の調べによると、06年度の市場規模は約3400億円と前年比6.3%増。07年度は3600億円に達すると予測される。同研究所生活産業調査本部の大貫留美子さんが市場拡大の背景を解説する。
「保育サービスが伸びている理由は大きく2つ考えられます。1つが法整備。1994年のエンゼルプランで保育サービスの拡充が促進され、00年の規制緩和で民間参入が可能になるなど、国を挙げて保育サービスを充実させる動きがあります。2つ目は根強い利用者ニーズ。保育所に入所できずにいる待機児童数は1万7900人ですから、施設数は依然として不足しています。今後も数年間は、市場の拡大傾向が続くと見ています」

託児・保育所市場規模推移


法制面では、03年に「次世代育成支援推進法(次世代法)」が成立した。社員数が301人以上の企業に対し、育児休業制度の促進のほか、事業所内保育所の設置といった独自計画を策定するよう義務付ける内容だ。これを受けて、「大手企業を中心に事業所内保育所設置の動きが見られる」(大貫さん)という。

そもそも保育所には、大きく分けて認可保育所と認可外保育所がある。認可保育所は国が許可した施設で、国や地方自治体から補助金が交付される。認可保育所はさらに、地方自治体が運営する「公設公営」、自治体所有の施設で民間が運営する「公設民営」、民間が施設を所有して運営する「民設民営」の3つに分類される。一方、認可外保育所は、地方自治体から補助金を受けている「準認可保育所」と、まったく受けていない保育所に分けられる。準認可保育所としては東京都が認めた「認証保育所」などがある。

これらのうち、増えているのは公設民営型だ。大貫さんは「公設公営ではまかないきれない自治体が民間企業に委託する傾向が見られる」としたうえで、サービス、保育時間などが自治体と同じ基準で、委託金を受け取るために安定した運営ができる点にメリットがあると解説する。

この公設民営型により業務を拡大したのがベネッセスタイルケア(東京都渋谷区)だ。教育事業のベネッセコーポレーションを母体に、主に介護・保育サービスを展開する同社は、94年から駅型保育所をはじめとする「ベネッセチャイルドケアセンター」の運営を開始。
01年には、全国初の公設民営保育所「三鷹市立東台保育園」(東京都三鷹市)の運営を受託した。

これを足がかりに神奈川県横須賀市、東京都文京区、埼玉県和光市、千葉県浦安市などからも受託し、現在では関東近辺に11カ所の運営を手がける。
「同社は00年の認可保育所事業の規制緩和と同時に、いち早く公設民営型の運営に軸足を移して成功しています」(大貫さん)

育児用品トップのピジョンが国立病院の院内保育を一括受注

仕事と子育ての両立のために事業所内保育所を望む声は高まるばかりだが、これは一般企業だけの話ではない。病院や大学が保育所を設ける事例も出てきた。
「病院では、看護師、女性医師の不足が深刻となり、人材確保が喫緊の課題となっているためです。夜勤もある職種ですから、院内に保育所があれば子供が生まれてからも働き続
けやすくなります。

大学の場合は、社会人大学生の支援策など、学生募集の呼び水の1つとして設置するケースが見受けられます」(大貫さん)
病院内保育所については04年、独立行政法人となった国立病院機構の院内保育所116カ所(当時)の運営をピジョン(東京都中央区)が一括受託したことが話題となった。
育児用品トップメーカーの同社が保育事業に進出したのは93年、茨城県つくばみらい市の常総研究所内に保育施設「ピジョンランド」を併設したのが始まりだ。

02年からは、日本郵船、マツダ、日立製作所、トヨタ自動車など大手企業の保育施設の運営を請け負い、現在、病院内保育所123カ所、事業所内保育所17カ所を運営している。同社は99年にピジョンハーツを設立し、保育サービス、保育・託児施設の受託運営、ベビーシッターサービスなどを移管。グループでの保育事業の売り上げは48億円(07年1月期)と業界トップとなった。

ピジョンハーツの赤松栄治社長が同社の強みを説明する。「育児用品のメーカーとして乳幼児の研究をしてきたので、独自のアプローチができます。例えば人材育成面。07年にはピジョングループの保育事業に携わるスタッフ約500人を対象にしたピジョンハーツオープンカレッジという研修制度をスタートしました。ほ乳びんなどの開発担当者が、乳幼児の口腔の発達や食事について講義しています。今後もモノづくりで培った発達段階に関する知識を伝えていきたいと考えています」

新しい分野にも手を広げた。06年10月に「ブリリアンキッズインターナショナルプリスクール」を東京・池袋に開設、英語圏の外国人がプログラムを担当し、就学前の子供が本格的な英会話に接しながら過ごせる。赤松社長は「教育に重点を置いた施設です。今後もブリリアンキッズを増やしていきたいですね」と意気込む。

「ブリリアンキッズインターナショナルプリスクール」はピジョンハーツが開設。就園前の幼児や幼稚園児たちが英語に囲まれた環境で過ごす。
「ブリリアンキッズインターナショナルプリスクール」はピジョンハーツが開設。就園前の幼児や幼稚園児たちが英語に囲まれた環境で過ごす。

 

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