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住宅リフォーム業界
ベンチャー・リンク2008年5月号

更新日:2008年07月03日

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新築が伸び悩むなか、「住生活基本法」が公布され、建物の長寿命化、環境意識の高まりも重なり、リフォーム事業に追い風が吹いている。
リフォーム需要の中心層となっているのは、団塊の世代だ。


 
自社物件購入者の囲い込みで事業強化を図る大手メーカー

住宅メーカー各社が、これまで新築に比べて利益が少ないと見てきたリフォーム事業に力を入れ始めている。その要因の1つが2007年6月に施行された「改正建築基準法」だ。耐震強度偽装事件に端を発する法改正により、新築住宅の審査が厳格化して着工に歯止めがかかり、新築住宅販売が伸び悩む状況が起きている。07年の年間着工戸数は前年比17.8%減の約106万戸で、40年ぶりの低水準にまで落ち込んだ。また06年6月には、住宅の品質向上などを定めた「住生活基本法」が公布され、建物の長寿命化、環境意識の高まりも重なり、リフォーム事業に追い風が吹いている。

リフォーム需要の中心層となっているのは、団塊の世代だ。彼らが住宅を購入したのは約30年前で老朽化しているうえ、子供の独立や定年退職など、家族構成や生活環境が変化する時期を迎えている。「住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する第4回調査」(住宅リフォーム推進協議会06年調べ)によると、リフォーム需要が最も高いのは50代で、建て替え、住み替えよりも使い勝手の改善を望む傾向がある。この需要を取り込もうと、各住宅メーカーは新企画を続々と立案し、リフォーム事業の強化に乗り出した。


住友不動産(東京都新宿区)の「新築そっくりさん」は、完全定価制で事業を拡大している。顧客の希望による変更がない限り、費用は「坪単価×床面積」のみで、概算では建て替えの半分の金額で済む。年間受注は07年3月期で6892棟にのぼり、08年3月期は7500棟で売上高810億円を見込む。

三井ホームリモデリング(東京都新宿区)は基本工事が6万3000円/平方メートルのマンション向けリフォーム「M-スタイリング」を提案している。決められた仕様から選ぶのではなく、床や天井、間仕切り壁を取り除き、水まわりなどの間取りも変更できるスケルトンリフォームが特徴だ。

総合マーケティング会社の富士経済はリフォーム市場が拡大傾向にあると見る。03年に7兆3000億円、04年は7兆4730億円と低迷期から回復し、05年は悪質リフォーム業者の影響で停滞したものの、06年は7兆5620億円と持ち直した。10年には8兆1700億円に膨らむとの予測だ。とはいえ、中小企業にとっては決して楽観視していられる状況ではない。

同社の小野昌夫・大阪マーケティング本部主任が説明する。「中小の工務店は、壁紙の張り替えや床板の取り替えといった工事が中心で、新築住宅が一定年数を経た後に行なわれるものを手がけています。現在、新築販売が落ち込んでいるので、今後は中古物件の修復需要が減少してくるでしょう。このため、特に地方の中小工務店は厳しくなると予想されます。一方、大手住宅メーカーのリフォーム事業は堅調に推移すると思われます」

大手住宅メーカーが有利なのは、自社の新築物件の購入客を数多く蓄積しているためだ。積水化学工業(東京都港区)の場合、リフォーム事業は社内カンパニーの「セキスイファミエス」が担当しているが、受注量の100%が自社物件だ。ある程度の築年数が経った自社物件購入者への営業を強化し、06年3月期は住宅リフォームで618億円を上げている。

住友林業の子会社でリフォーム事業を請け負う住友林業ホームテック(東京都千代田区)は、営業拠点を増やして事業拡大を図る。現在の49拠点に加えて、10拠点ほど増やし、営業人員も5割増の400人に拡大する予定。自社物件に加え、古民家(旧家リフォーム)や全面マンションリフォーム商品「Ma:Ri(マリ)」などで顧客を増やす構えだ。


耐震性強化や環境配慮など付加価値を高めて需要開拓

ミサワホーム(東京都新宿区)は住宅リフォームの営業体制を拡充し、現在870人の営業人員を約3割増やす。07年3月期のリフォーム事業の売上高は527億円。営業力強化で11年には700億円を目指す。デザインリフォームや全面改装リフォームなどで01〜02年のグッドデザイン賞を獲得したデザイン力を生かし、多面的に商品を提案していく予定だ。
最近は環境に配慮したリフォームも増えてきているという。「当社は太陽光発電システムやオール電化などを提案していますが、『屋根かぶせ工法』もエコ商品といえます。新しい屋根を既存の屋根にかぶせて耐久性を高めるので、廃材を極力出さず、環境にもやさしいのが特徴です」(ミサワホーム・ホームイング推進部ホームイング企画グループの沼尻正和マネージャー)

同社は、再生木材による新素材「M-Wood」も開発している。木質パネルの端材やノコギリくずなどを粉末状にして樹脂と配合した建材で、自在に成形できる。同社の住宅展示場の内装に使用しており、見た目は木と変わらないが、耐久性や耐水性などに優れ、水まわりにも使われている。もう1つ力を入れているのが耐震リフォーム「MGEO-R」だ。

壁内に制震パネルを入れることで建物の揺れを半分に抑えることができるという。「MGEO-Rは、2年間で約150件の実績があります。耐震性に問題があるとされる家屋は全国におよそ1150万棟あるといわれ、本格化するのはこれからです。リフォーム件数は着実に伸びているので、耐震補強とセットで売り込んでいきたいですね」(沼尻マネージャー)

一方、パナホーム(大阪府豊中市)は、エコロジーとコンサルティングをキーワードにリフォーム事業を進めている。元々住宅購入者を対象にリフォーム、メンテナンスに取り組んでいたが、02年頃から主力事業の1つとして位置づけている。省エネ給湯システムなどの導入に加え、健康や環境に配慮した建材も開発した。珪藻土(けいそうど)を使用し調湿性、脱臭性に優れた壁材「エコかべくん」だ。施工しやすい点もリフォームに適している。

コンサルティング面では顧客と綿密に打ち合わせをして、きめ細かい提案を心がける。「イメージを形にするうえで大切なのはお客さまの要望をよく聞くこと。ご家族それぞれの暮らし方や将来の夢を1つひとつ確認しながら、ライフステージに応じた提案をすることがリフォームの基本と考えています。」(リライフ事業推進部・武智久美子さん)

同社は新築購入者や新規リフォーム客の「家歴システム」を作成し、設計図、仕様書などをデータベース化している。リフォーム要望に対して迅速に対応するためだ。リフォーム客は同社の住宅購入者が80%、他社が20%の割合で、団塊世代が中心となっている。各メディアで「リフォームの匠たくみ」として紹介される著名建築家とのコラボレーション(協力)による設計提案も好評だ。武智さんは「松下グループのショールームを中心に事業展開しているため、オール電化住宅などを提案しやすいのも強み」と指摘する。今後は、売上高500億円体制を確立するため営業を強化する計画だ。

 

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