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複合カフェ業界
ベンチャー・リンク2008年6月号

更新日:2008年08月07日

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曲がり角にさしかかり新規顧客の獲得が課題



男性客はマンガやネット
女性客は友達と遊ぶため


学生街として知られる東京・高田馬場。駅に隣接する大型商業ビル「ビッグボックス」に2007年10月、570坪もの広さがある都内最大級の複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」が開店した。リクライニングチェア、小上がりマット席、2人がけソファなど総座席数は466席。ネットカフェエリアの一般席なら1時間500円で、5万冊のマンガ、インターネット、ダーツ、ビリヤードなどを自由に楽しめ、多種類のソフトドリンクが飲み放題となっている。ほかにカラオケルームが27室、シャワー室もあり、24時間営業だ。複合カフェとは、大まかに言えば、コーヒーやジュースなどのソフトドリンクとともに、漫画本や雑誌の閲覧、インターネットの利用などを提供する時間消費型レジャー施設だ。

滞在時間および時間帯に応じて客が料金を支払う仕組みで、基本的に1時間の定額料金が設定され、別料金を要する一部サービスや商品を除き、各種サービスを自由に利用して時間を過ごすことができる。昼間の3時間パックや深夜から早朝までのナイトパックなど、割安のパック料金を設けている場合も多い。店内の座席は間仕切りによってまわりの客の視線が気にならない個室感覚で利用でき、マンガやネットで暇をつぶす個人の若い男性客が主流だったが、最近では客層を広げつつある。

「自遊空間」は平日でも利用客であふれ、女性の姿が目立つ。これまで女性から敬遠される理由となっていた「薄暗く、清潔感がなく、不安」のイメージを払拭し、「明るく、きれいで開放的な空間づくり」を進めた成果だ。仕事の合間に1人でマンガを読んでいる女性もいれば、ダーツを和気あいあいと楽しむ女性グループもいる。

「この店舗に弊社が目指すすべてが詰まっている」と胸を張るのは、「自遊空間」を経営するランシステム(東京都豊島区)の田中千一社長だ。同社は複合カフェのパイオニアを自任し、直営店とフランチャイズ(FC)店を合わせて全国に182店舗(07年12月31日現在)を展開している。会員登録の手続き、入退場から精算までを完全自動化したシステムと設備一式は、自社開発によるものだ。利用者がわずらわしく感じる手続きを簡易にしたことも女性客の増加につながり、会員数は700万人に達した。
「ここまで自社開発が可能な同業他社はないでしょう。だからこそ、弊社は市場ニーズの目まぐるしい変化にいち早く対応できるのです」(田中社長)


「ネットカフェ難民」による
イメージ低下の改善が課題


新規顧客の開拓を積極的に進めているのは、他社も同様だ。01年頃に誕生し急激に市場を拡大した複合カフェ業界も、客数が伸び悩み、曲がり角を迎えている。
複合カフェの原型は、70年代に誕生したマンガ喫茶にある。名古屋の喫茶店業界で飲み物と軽い朝食セットのモーニングサービスを提供し利益率の向上を図る「モーニング戦争」が起き、付加価値としてマンガの蔵書を増やした店が登場したのが発端だ。その後、飲食よりもマンガに比重を置く店が現れて成功し全国に広まった。さらに90年代後半、インターネットに接続したパソコンが利用できるインターネットカフェが誕生。いずれも時間消費型ビジネスであることから、両者を統合し、さらに多くの遊戯サービスを加えた複合カフェが生まれた。

「市場はまだ拡大の余地があると思いますが、近年は足踏み状態に陥っているようです」と分析するのは、富士経済東京マーケティング本部(東京都中央区)の上田周作主任だ。店舗数はまだ増加傾向にあるが、人口密集地域への出店が一巡したほか、サービスの多角化により初期投資額が増大し出店コストが高まったのが理由という。加えて、「ネットカフェ難民」という言葉が流行語大賞候補になるほど広まったことも、業界に打撃を与えたと上田主任は指摘する。家賃の不払いや家出などで住居がなく、昼間は日雇いの派遣アルバイトとして働き、夜はネットカフェで過ごす若者たちが「ネットカフェ難民」と呼ばれるようになり、業界のイメージが低下した。

このマイナスイメージを塗り替えて利用客数を増やそうという動きが顕在化してきた。現状の複合カフェは、やはりマンガとインターネットがサービスの柱で、20〜30代の男性客が最も多い。そこで、女性客の取り込みや中高年の男性や女性に訴求する新しいサービスも出てくるなど、大手各社の間で激しい競争が繰り広げられている。

 

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