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ニューヨーカーに伝統的な着物文化を伝えたい
カエデNYC

更新日:2016年10月20日

かつてのニューヨークには旅館の浴衣のようなものを着物だと思っている人が多かったが、日本文化が知られるようになるにつれ、着物を見事に着こなすニューヨーカーも着実に増えている。日本の着物はどこまでファンを広げるだろうか。
 


 
カエデNYC
カエデNYCのホームページ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

着物に対する興味が高じて

──日本の着物ビジネスをスタートさせることになった経緯についてお聞かせください。
私はトリニダード・トバゴの出身ですが、この国にはインド、中国、アフリカ、シリアなどからの6、7の異なる民族が住んでいるため、この国の人は異文化を探求する国民性を持っています。トヨタの工場もあり、日本人も多く住んでいたので、私は日本の文化にも自然に親しみを覚えるようになり、着物にも興味を持つようになりました。あいにく私のサイズに合う着物がなかったので着物を着るのは断念しましたが、自分の結婚式では三三九度の儀式を取り入れたんですよ。

──着物の何が魅力だったのでしょうか。
私にとっての着物の魅力は、訪問着や振り袖などの着物や帯の柄です。グラフィックデザイナーでもあるので、帯の柄を写真に撮って、作品の背景に使ったりします。また、友人の結婚式やさまざまなイベントに着物を着て出かけたりもします。

日本文化に対する関心があったこともあり、ニューヨークに移住した後、2012年に、日本人の友人、台湾人の知人の女性と3人で着物のオンラインショップを始めました。(のちに一時ビジネスを休止した後、ひとりで再開)

カエデNYCを設立した創立者のレイモンド・モングロー氏
着物に魅せられてカエデNYCを設立した創立者のレイモンド・モングロー氏。グラフィックデザイナーとして、特に帯の柄に興味があるという

──会社設立当初は、試行錯誤が多かったそうですね。
20着の着物でスタートしたカエデは、1年後にはその数を100着に増やしましたが、そのうち80着は浴衣でした。また、着物の知識が乏しかったので、最初は失敗を繰り返しました。着物のクリーニングの経験がない近所のクリーニング店に依頼して着物をダメにされてしまったり、逆に高い料金を請求されたり。今は、クリーニングはその都度日本に送っています。高くつきますが、結局そのほうがいいとわかりました。

着物業界や着物に詳しく、ビジネスマネージャーとしての経験もある日本人着付け教師をビジネスマネージャーに迎えてからは、彼女のアドバイスで着物を着るシーンごとにレンタル着物をそろえていきました。七五三や結婚式用の着物も扱うようになり、着付け教室も始めました。

コスプレ用だけではない伝統的な着物への関心の高まり

──客層についてお聞かせください。
最初のビジネスパートナーのひとりが台湾人だったので、1年目は中国人客が多かったですが、現在は顧客の75%が日本人です。顧客の10%はコスプレイベントなどでレンタルする人ですが、日本人以外でも結婚式に着物を着たいという人もいます。残りの15%ほどがテレビや映画などのメディア。最近ではネットフリックスのシリーズで、当社の着物が使われました。また、さまざまなイベントで使いたいからと、芸者スタイルの着物やアバンギャルドな着物の問い合わせなども来ます。

日本人以外では中国人の着物に対する関心が高いですね。それもコスプレなどではなく、伝統的な着物を好む人が多いようです。また、その時はやっているショーやアニメの影響もあります。「アフロサムライ」というアニメが流行ったときは、伝統的な着物を求める黒人客が増えました。インドネシア人やフィリピン人も日本の着物文化に対して関心が高いです。

私個人としては日本人の若者にコスプレの着物ではなく、もっと伝統的な着物に関心を持ってもらいたいという気持ちがあります。それで、当社では、ハロウィンに、伝統的な着物を着ているアニメキャラクターのコスプレコンペティションを予定しています。コスプレを通して日本の伝統的な着物文化や着物の美しさに関心を持ってもらうことが狙いです。若い人たちに継承していってもらわないと、伝統文化は廃れてしまいますから。着物とは言えないような代物を、「これが着物だ」と思っている人はまだたくさんいるんです。カエデNYの使命のひとつは、正しい着物文化を伝えることだと考えています。

100ドル以下のパッケージを用意

──着物に慣れない外国人が、着物をひとそろいそろえるのは大変だと思いますが。
日本の着物専門店から古着の着物を送ってもらっています。通常は着物や帯は別売りしていますが、だれでも気軽に楽しめるように、古着の小紋の着物と名古屋帯や腰紐などをセットで100ドル以下で販売しています。レンタル用の着物は振り袖から留袖までそろえています。

テレビや映画へのレンタルは予算がタイトなのに、汚れて戻ってくることが多く、あまり利益が出ませんが、今後は丸洗いできる着物を増やして行こうと思います。

──売り上げ目標についてお聞かせください。
初年度の投資額は3万ドル。そのほとんどが着物の購入と送料に消えましたが、中国人の富裕層の利用が多かったので、投資した分は売り上げることができました。前述したようにしばらくビジネスを休止したのち、再構築して再開しましたが、その後、売り上げは順調に推移しています。来年はセールスだけで5万ドル、レンタルはその倍を売り上げて、トータルで20万ドルの売り上げを達成したいですね。

着物、帯、腰紐などをセットで100ドル以下で販売
着物を手軽に楽しんでもらえるようにと、着物、帯、腰紐などをセットで100ドル以下で販売している。

プロフィール&会社概要

レイモンド・モングロー
カエデNYC創立者/グラフィックデザイナー
トリニダード・トバゴ出身。日本人や日本文化に触れることのできる環境で育ち、日本文化、特に着物や帯に関心を持つ。ニューヨークに移住した後、2012年に着物が好きな友人たちと3人でカエデNYCを設立するが、着物ビジネスの経験者がいなかったためにうまくいかず、ビジネスをいったん休止。その後、着物に詳しいスタッフを迎えてビジネスを再構築し、事業を再開する。

社名/カエデNYC
設立/2012年
所在地/45 W 34th Street #1107,New York,NY 10001
電話/(347)450-5692
URL/http://kaedenyc.com/