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産業としての農業を確立したい
株式会社 オリザ 代表取締役 藤井 優(ふじい・ゆう)

更新日:2014年10月17日

小規模な家族経営が中心であるために、生産性の低さが課題になっている日本の農業。さらに、農業従事者の高齢化が進み、農家の数も減少している。
オリザの社長、藤井優氏は、「農業経営者が、きちんと収益を得られ、社会にも貢献できる農業を育てたい」との思いから、仲間2人とともに起業した。
 


 
株式会社 オリザ 代表取締役 藤井 優
「農家が誇りを持って取り組め、経済的にも安定した農業を確立したい」と語る藤井氏
 
 
高糖度トマト
高糖度トマトは、品種や栽培方法を細かく指定して契約農家に栽培してもらい、それをオリザが販売する
 
 
トマト以外にスイートコーンやアスパラの契約栽培
トマト以外にスイートコーンやアスパラの契約栽培も行なっている
 
 
 
 
 
 

高糖度のミニトマトを生産・販売

――御社は、農業ベンチャーということですが、具体的な事業内容を教えてください。
ひとつは、当社が指定した品種や栽培方法で契約農場が栽培した農作物を当社が一括して販売する契約栽培事業です。現在は、高糖度のミニトマトの栽培でこの事業を行なっています。このほか、農業用資材の共同購入サイトを開設し、資材の販売も行なっています。さらに、新規就農希望者と土地の提供者、大学の研究者と農家などを結ぶネットワークづくりにも取り組んでいます。

――取引先の生産規模、販売先の数は、具体的にどれくらいになりますか。
現在、契約農場は6つで、総面積は3ヘクタール(1ヘクタール=10000平方メートル)ほどになります。ここでは、トマト以外にコーンやアスパラも栽培しています。このほか、ロマネスコ(ブロッコリーの一種)など、珍しい農産物を仕入れる先が20〜30軒あり、取引先の農場は、北は北海道から南は鹿児島まで、全国にあります。
一方、販売先は、都内の百貨店の青果売り場や高級スーパー、産地に近いスーパーマーケットで、現在、50店舗ほどが当社の農産物を販売しています。

――ミニトマトは、生産する農家も多く、すでにブランド化されている商品もあります。そうしたものとの差別化をどう図っているのでしょうか。
トマトは、量販店の野菜販売のうち4分の1を上げる重要な商材で、店にとっては、1年を通じて扱いたい商材です。しかし、基本的に、農産物は産地ベースでの取引となるので、年間を通じて扱う場合は、いくつもの産地から仕入れなければなりません。その点、当社は、仕入れる産地が全国にあるため、年間を通じて安定的に商材を確保したい小売店のニーズに応えることができ、それが強みになっています。

農業の勉強会仲間で起業

――この事業を始めたきっかけを教えてください。
私は、農学部の出身で、以前から農業に興味があったのですが、就職先として考えられるような大きな農業法人はなかったため、食品業界に就職しました。就職してからも農業にまだ興味があったので、農業の勉強会を立ち上げ、実際に農業をやっている人に話を聞いたり、農業体験をしたり、資材会社の人に、ビジネスになりそうな農業の話を聞いたりしていました。そのなかで、ミニトマトの栽培モデルならうまくいくのではないかということになり、事業化を決めたのです。

――具体的にどのようなプロセスで事業化を進めたのですか。
まず、当社の役員である浅井と小平が2007年に合同会社としてオリザを立ち上げ、高糖度トマトのおいしい栽培方法を確立しました。その方法で契約農場に栽培してもらい、できた作物を当社が流通させるビジネスモデルを展開すべく、2010年に株式会社化するタイミングで、私が代表取締役として参加しました。現在は、浅井と小平が農場経営に従事し、私が東京で販売先を開拓する方法で、事業を運営しています。

――おいしいトマトの栽培方法を確立したとのことですが、トマトの味は、品種で決まるのではないのですか。
トマトは、同じ品種でも栽培方法によって味が異なります。ただ、施設園芸で環境をコントロールする方法を知れば、誰でもおいしいトマトをつくれます。契約農場には、当社の仕様で栽培してもらっていますが、生産者の方たちからもフィードバックをしてもらい、有効な情報は、契約農場全体で共有しています。

――契約農家は、どんな人たちなのでしょう。
新規参入の人が多いですね。量販店や建設業、運送業、肥料メーカーなど、業種はさまざまですが、法人が中心です。地域で土地が余っているので、高齢化する従業員の仕事として農業を始めたいというところや、リサイクル業者が、自社の堆肥の用途として始めることもあります。
ただ、施設園芸は、ハウスなどの設備が必要になり、30アール(1アール=100平方メートル)で1億円ほどの資金が必要になるため、誰でも参入できるわけではありません。当社が支援して新規参入するケースも、今のところ、年に1、2件程度です。

農業を国際競争力のある産業に

――事業を展開する上で、苦労している点はどんなところですか。
農家との信頼関係をどう築くかが課題ですね。契約農家が生産を、オリザが販売をそれぞれ担うのですが、ちょうど、メーカーの製造部と販売部門のように、お互いの立場を理解できないと衝突してしまいます。とくに、契約農家は全国にあり、距離が離れているので、なかなか顔を合わせられないため、そういう環境下で信頼関係をどう構築するかに頭を悩ませています。現在は、我々が農場を訪問したり、契約農家の人に店舗を見てもらったり、売り場の声やバイヤーの声を聞いてもらったりしながら、コミュニケーションを深めることに努めています。

――今後の取り組みについて、教えてください。
2007年に合同会社として設立しましたが、本格的な事業展開は、2010年に株式会社化をしてからです。現在、ようやく各契約農場の生産能力が安定してきて、販売ネットワークも拡がってきたので、これからは、一農場当たりの規模を大きくしたいですね。それから、契約農場だけでなく、オリザ自身も一つの生産法人として自立できる規模の農場を作って行きたいと考えています。

――ご自身が描く農業のビジョンを教えてください。
日本の農業というと、高齢者がやっている家族経営の農業のイメージが強いのですが、これからは、就職先として考えられるような規模で、事業として利益がしっかり確保できるような農業にしていく必要があると考えています。また、食品の安全面からも、しっかりとした管理がされた農産物が増えるべきだと思っています。日本の農産物は、国産だから安心だというイメージがありますが、食品流通に携わった経験からすると、海外に比べて安全基準が緩いのが実情です。
こうした点を改め、家業ではなく、産業としての農業を確立することが、国際競争力をつけることにつながります。我々は、それを実現する一プレーヤーであると同時に、そうしたプレーヤーが育つための支援をする事業にも取り組んでいきたいと考えています。

プロフィール&会社概要

株式会社 オリザ 代表取締役 藤井 優(ふじい・ゆう)
兵庫県出身。京都大学農学部卒業後、食品専門商社入社。 その後、食品メーカーを経て、2010年4月、株式会社オリザ代表取締役に就任。

会社名:株式会社オリザ 
設立:2007年10月
所在地:東京都渋谷区渋谷3-6-2 4F
電話:03-6869-9350
URL:http://www.oryza-i.com/