経営者の味方「0円ビジネスマッチング WizBiz(ウィズビズ)」

WizBiz:HOME >  ビジネスマガジン >  起業家インタビュー  >  サプライズで記念日を演出するカップル向けサービス  詳細


サプライズで記念日を演出するカップル向けサービス
有限会社Anipla(アニプラ) 代表取締役 田中彩子(たなか・あやこ)

更新日:2014年02月18日

突如ひらめいた事業アイデアがビジネスコンテストで優勝。大学生で起業した田中彩子氏は、「好きなことを仕事に」日々邁進してきた。だが、ある中学生からのメールに大きく心を揺さぶられ、会社を大きくすることを決意。新たな夢の実現に向けて、再スタートに乗り出した。
 


 
代表取締役 田中彩子(たなか・あやこ)
「ひとの人生の流れのなかで、折々のアニバーサリーをお手伝いしたい」と語る田中彩子社長
 
 
部屋をデコレーションしたり、お姫様に変身したり、サプライズ演出ができる
オフィスも兼ねた西麻布の一軒家には、貸切可能な2つの記念日専用プライベートルームがあり、部屋をデコレーションしたり、お姫様に変身したり、サプライズ演出ができる
 
 
マリーアントワネットの別宅プチトリアノンをイメージして作ったホワイトを基調としたお部屋
マリーアントワネットの別宅プチトリアノンをイメージして作ったホワイトを基調としたお部屋
 
 
3階のパーティードレスレンタルルーム
3階のパーティードレスレンタルルーム
 
 
 
 

ビジネスコンテストで優勝し、学生ベンチャーに

――大学生で起業したということですが、経緯を教えてください。
大学3年生の夏、そろそろ就職活動が始まるという時期でした。友人と一緒に歩いていて、「記念日は英語で何て言うの?」と聞いたら「アニバーサリーだよ」と教えてくれて、次の瞬間、いきなり「アニプラ」という言葉が頭の中でひらめいたのです。アニバーサリープランナーのアニプラです。当時は、ベンチャー企業と就活生をつなぐ学生団体にスタッフとして参加していました。またホリエモンが活躍するなど、ベンチャーブームでもありました。そういった周囲の環境もあって、私も起業してみようと思ったのです。

すぐに、ドリコムのビジネスプランコンテストがあると聞いて、1人で参加しました。強制的に組まされた3人の中から1つのプランしか提出できなかったのですが、他の2人は「プランはない」と言うのです。書類審査で3分の1に絞られたメンバーなのに、おかしいなとは思いましたが、逆にチャンスだとも思いました。私のプランでプレゼンすることができて、しかも優勝することができました。

――コンテストで優勝できたポイントは、何だと思いますか。
プレゼンは、ビジネスの内容、ターゲット、広告方法、売上予測などを説明して、ついてはいくら出資してください、というスタイルでしたが、私のプランは「事業化するのにお金は必要ありません。出資はいらないので、お客さんになってください」というものでした。それが面白かったのかもしれません。

そのときの審査員は、ドリコムの内藤社長のほか、ネットエイジの西川社長、グリーの田中社長でした。実際、2位になった方のプランのほうがビジネスとしては現実的でした。なんといってもその人は、「歩く1億円」と言われている与沢翼君でしたから。私の場合は、ひょっとしたらブレイクするかもしれないという、期待を込めての1位だったのだと思います(笑)。優勝賞金の100万円は、プレゼンしたメンバー3人で分けました。

――事業化するにあたって、まずはどのように行動されましたか。
事業は1人で立ち上げるつもりでしたが、中・高・大学と一緒だった友人と、たまたま将来について話す機会があって、そのとき彼女を誘って2人で起業することにしました。彼女の夢は、たとえば浜辺で結婚式を挙げるなど、新郎新婦の希望をかなえてあげたいというものでした。私のビジネスプランは、誕生日や記念日、プロポーズをサプライズで演出するというものですから、近いものを感じました。そしてなにより、夢を語るときの彼女の目がキラキラと輝いていたのに惹かれました。

2006年4月、大学4年生の春に、友人が150万円、私が350万円出資して会社を設立しました。出資金は、自分の貯金とコンテストの優勝賞金、そして親からの借金で賄いました。人に頼むとお金がかかるので、司法書士の無料相談を利用したり、税務署に行って教えてもらったりして、設立手続きも自分たちでやりました。場所は、大学のゼミ室を借りました。パソコンやコピー機も使い放題で、先生たちもいろいろとバックアップしてくれました。あとサイトの立ち上げは、学生の友人に頼んで10万円でやってもらいました。

初年度の売上1000万円、でも利益は50万円!?

――具体的に、どのようにしてサービスを作り上げたのですか。
アニバーサリープランナーとして、どのようなサプライズを演出するか、友人とプランを出し合いました。そして、思いついたプランをもとに、直接会社に交渉に出かけていきました。いま考えると大胆ですが、当時は、人と会うのにアポイントが必要だという考え自体がありませんでした。学生で、しかも女の子ということで相手にされなかったり、「人のフンドシで相撲を取るようなことはするな」と言われ、泣いて帰ったこともありました。

そのようななか、あるリムジン会社が販売窓口になることを認めてくれて、それを柱に、初年度は1000万円を売り上げました。にもかかわらず、利益は50万円。しかも、それが粗利ですから、いかにお金に無頓着だったかわかるでしょう(笑)。学生のうちはそれでもよかったのですが、大学を卒業するとゼミ室も使えなくなるので、経営のことも真剣に考えなくてはなりません。オフィスは、知り合いの経営者の方が、空きスペースがあるからと無料で間借りさせてくれました。2人とも実家暮らしでしたから、とりあえず給料を7万7770円にしようと決めて、利益もきちんと上乗せするようにしました。

――無料でオフィスが借りられたのは、ラッキーでしたね。
当時、学生ベンチャーブームということもあって、私の周りにも起業家の方がたくさんいました。その起業パーティーで知り合った年配の経営者の方が、自分も若いときに苦労したからとサポートしてくださったのです。渋谷にあるそのオフィスには、他にも同じような起業家たちがいました。4〜5年お世話になりましたが、途中で一緒に起業した友人が別の夢を実現したいからと辞めることになって、1人になったのです。そこで、自分が何をやりたいのか、もう一度見つめ直すことにしました。

思いついたことは、ホームページの掲載内容にまとまりがないということ。なぜなら、私はカップル向け、友人は結婚式をメインにサービスを考えていましたから。これも、私がきちんとした柱を持っていなかったからだと気づき、ターゲットをカップルに絞ったら、自分のやりたいことがはっきりと見えてきました。すると、お客さんも増えてきて、事業も軌道に乗り始めたので、渋谷のオフィスを出ることにしました。

「会社を大きくする」と決意させたメール

――どんなことがやりたいと思ったのですか。
それまでは、代行業ということで、実際にお客さんの顔を見ることはありませんでした。だから、お客さんと接する場所が欲しい、サプライズを演出できる場所を提供したいと思いました。それで、ちょうど売りに出ていた西麻布の中古住宅をローンで購入して、オフィス兼用のサプライズ空間を所有することにしたのです。そこには、プロジェクター付きの部屋、キッチン付きの部屋、そしてドレスを選んでお姫様になれる部屋があります。

いま、会社は妹と一緒にやっていて、忙しいときは母にも手伝ってもらっています。もともと、うちの家系には個人事業主が多くて、だから私も1人でやっていくか、せいぜい家族経営くらいのイメージしか持っていなかったのです。でも、昨年5月にテレビ番組でアニバーサリープランナーとして特集されたら、放送後すぐに100数十通ものメールが届いて……。

メールは、「自分もアニバーサリープランナーになりたい」というものばかりでした。そのなかの「夢を持てなかった自分にも夢が持てた。夢をくれてありがとう」というある中学生のメールを目にしたときは、思わず涙が溢れてしまいました。それと同時に、このような人たちに仕事の場を提供することも、私の使命なのだと思いました。そのとき、会社を大きくしていこうと決意したのです。

――実際に、人を採用したのですか。
はい。昨年(2013)の夏から募集を開始して、最終的に3人採用しました。でも、そのうち中途採用の2人は数カ月以内に辞めてしまいました。結局は、こちらがやってほしいことと相手のやりたいことがかみ合っていなかったり、時間が合わなかったりというのが理由です。いま残っている1人は、今年3月に大学を卒業する新卒採用です。

人を雇うことは、本当に難しいですね。私は、プランナーとしての才能はあると感じていますが、経営者としての才能はないなぁと、つくづく思います。社会に出たこともないし、ずっと身内でやってきたから、なんでも自分でやってしまいがち。それでは、誰もついてきてくれませんよね。

じつは、採用活動を始めたとき、マクドナルドで朝マックしながら面接の仕方について悩んでいたら、「マックでバイトしなさい」という声が降りてきて、それでいま、本当にバイトしています(笑)。

会社経営しながら、マックでアルバイト


――会社を経営しながら、マクドナルドでアルバイトですか?
はい。実際に面接を受けて、採用されて、接客のアルバイトをしています。会社が12時からなので、午前中、週1〜2回だけですけど。最初は、面接の仕方を学ぶのが目的だったのですが、たまたま勤務先がモデル店ということもあって、接客のクオリティーも高く、先輩たちの働く姿勢からも多くのことが学べるので続けています。衛生管理やクレーム処理などマニュアルがしっかりしていることも経営面で参考になります。

――なかなかのアイデアですね。
学ばせていただいているのにお金をいただけるなんて、ありがたい気持ちでいっぱいです。じつは私、これまで自分の人件費というものを考えたことがなかったのです。24時間365日働いている感覚で、休みたいという願望もありませんでした。仕事自体が趣味の延長線上にあるからかもしれませんが、それで、休みを欲しがる妹とよく喧嘩になりました。

営業時間外でも携帯に転送されるようにして、夜中でも早朝でも電話を受けました。お客様がいなかった時期もあるから、素直に電話が来るのが嬉しいという気持ちからでしたが、そうやっていると、次に同じ時間に電話に出られなかったときにクレームになります。マックでのアルバイトでは、時間になったらすぐに終わるように言われます。それで、人には「時間」があるのだなと、あらためて気づくことができたのです。

妹の休みは、月1回から週1回にして、私も無理にでも休んだほうがいいのかなと思っています。これまでは、ただ目の前の仕事に追われる日々でした。ずっと走り続けてきたから、一度立ち止まってみようと、3月いっぱいまですべての広告を停止しました。

記念日を祝うのがあたりまえの文化に

――活動を休止するのですか。休んで、何をしたいと思いますか。
ホームページからのお客様や既存のお仕事は続けますが、営業活動はいったん停止します。そして、いただいた名刺やメールの整理をしたいですね。お恥ずかしい話ですが、これまで何千人というお客様に利用していただきながら、顧客管理をまったくしていませんでした。ファイルも紙ベースのもので1つしかありませんから、パソコンで共有できるようにしなければなりません。

そうやって、お客様のすべての記念日を把握して、こちらからアプローチできればと考えています。これから会社を大きくしていくためには、マニュアル化やシステム化は絶対に必要ですから、目先の売り上げは諦めて、将来に投資したいと思います。

――最後に、これからの夢や目標を教えてください。
ハワイに支社を持ちたいですね。それから、記念日といえばアニプラ、という存在になりたい。誕生日にケーキがあたりまえのように、記念日を祝うのもあたりまえという文化を築いていきたいです。

人の一生には、多くの記念日があります。その人生の流れのなかで、折々のアニバーサリーをお手伝いできる会社になっていきたいと思います。たとえば、人生の最後にお葬式でサプライズ。リムジンでプロポーズした旦那様が、亡くなったあとのお葬式で奥様にリムジンを用意している。そんなサプライズのご提案もできればと思っています。

プロフィール&会社概要

代表取締役 田中彩子(たなか・あやこ)
1984年生まれ。大学在学中、株式会社ドリコムのビジネスプランコンテストに優勝したことをきっかけに、2006年4月、友人とともに有限会社Anipla(アニプラ)を設立。学生ベンチャー、女性起業家として、テレビや雑誌などメディアにも数多く取り上げられている。現在は、妹と会社を経営。

会社名:有限会社Anipla(アニプラ)
設立:2006年4月
所在地:〒106-0031 東京都港区西麻布2-26-6
電話:03-5467-8607
URL:http://www.anipla.jp/