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顧客ニーズをとらえ、外国人観光客を惹きつける店づくりを実現
有限会社スズヤ 取締役社長 鈴木 明子

更新日:2013年01月22日

常に観光客でにぎわう浅草寺。最近では外国人観光客の姿を見ることも珍しくないが、その仲見世通りを直進し、寺の入り口に差し掛かる手前にスズヤはある。鉢巻をまいている人形が目印。店前には色とりどりの半纏にハッピ、着物にゆかたが所狭しと並んでいる。とにかく目を引く店だが、目の前を通る人がよく足を止めて商品を手に取る。その中には外国人観光客も多く、購入するのは外国人のほうが多い。
 


 
 
 スズヤ
鈴木 明子社長
 
 
英語で商品を紹介したPOP
英語で商品を紹介したPOP
 
 
 外国人観光客
じっくりと商品を眺める外国人観光客。目線の先はPOP
 
 
 スズヤ
店前を通る多くの外国人観光客が足を止める。これだけの商品が陳列されていると圧倒される。
 
 
 

店が大変身!そのきっかけは…

25年前は踊りの衣装やハンドバックを販売している小売店だった。当時店舗の敷居は一段と高くし、靴では上がれないようにしていた。しかし、外国人は土足で店に上がり、着物を欲しそうに見ていた。そこで、試しに刺繍のガウンを置いてみたところ、喜んで買っていった。そこで思い切って踊りの衣裳の取り扱いをやめたのだった。衣裳の代わりに並べたのは『一番』と書かれたTシャツだったが、その商品がまさに大ヒットし毎月倍々で売れていった。

そのヒットから、『浅草』、『東京』というTシャツも作ったところ大変な売れ行きであったため、周囲にはスズヤのような商品を販売する店も増えていった。そこで、Tシャツだけではなく、扱いやすいポリエステル製の着物も作って並べたが、これもTシャツと同じように売れた。

生まれ変わったスズヤには様々な国の観光客が店を訪れるようになった。イラン・イラク戦争の前は中東の観光客、フォークランド紛争前にはメキシコ、ベネズエラなど中南米の観光客が多く来店し商品を購入していった。数年前には、ブラジル人が帰国する前に店に立ち寄ってくれてお土産を買っていった。最近はインドネシアの観光客が多く、品物を購入してくれる人も多い。韓国人はなかなか購入してくれないが、中国人は子供への土産として甚平をよく購入しているという。

メイン商品は、着物や浴衣、Tシャツであるが、綿やポリエステル、シルクなど様々な素材で作られている。暑い国の人のために、冬でも浴衣を販売している。生き残るためには、スズヤでしか買えないものをできるだけ多く揃えなければならないため、たくさん商品を作らないようにしている。最近のヒット商品はステテコ。浴衣の生地で作ったところ、そのまま外にも行けるとのことで好評だった。

スズヤのこだわりは、商品だけではない。商品の見せ方にもこだわっている。どんな小さな商品でも値段をつけていると手に取ってもらえるため、商品には必ず値段をつけている。また、英語で商品を紹介したPOPも掲示しているが、手書きでとても温かみを感じる。

工夫していることは、商品だけではない。花火大会を見に行くといって来店したタイ、台湾の観光客には店で浴衣を着せた。その時に撮った写真をフェイスブックにも載せたところ、自分の写真が載ると嬉しいのでスズヤのこともクチコミで広がっているという。また、商品を好きになって購入してもらいたいとの思いから、漢字の意味をプリントして渡すなど、きめ細やかな気遣いも忘れない。

3年前からインターネットでの販売を始めた。サイト利用者を増やすために購入者にポストカードを渡しているが、このような宣伝にはお金をかけている。以前から通信販売を行なっているが、カード決済ができるようになり海外からの注文にも楽に対応できるようになったため、積極的に取り組んでいる。

繁盛の秘密は社員

スズヤには6名のスタッフがいるが、売り場は担当制にしている。仕入れは担当者に任せており、仕入れや売り場のバランスを最終的に判断するのが社長の仕事だ。

スタッフのモチベーションは非常に高い。月の売上目標を掲げると、自分達で一日にどれくらいの売上が必要かを算出し、毎日の売上を鈴木社長にメールで報告してくる。日々の報告のおかげで、店舗の状況を把握しやすく次の手も打ちやすい。

鈴木社長は手の空いているときはスタッフのためにランチをつくり、帰りに夜食を持たせる。同じ釜の飯を食う、とはまさにこのことであるが、これにより組織に一体感が生まれ一人が休んでも全員でカバーできるようになっている。給与だけではなく、『気持ちの分けっこ』をすることを大切にしている。今後はスタッフの自発的な取り組みを促すべく、売り場の拡大やフロントの商品陳列、ディスプレイの変更などの意見は上げるように伝えている。

新たなチャレンジ


戦争や為替変動、ウイルスによる感染症の流行は店に大きな影響を与えてきた。震災以降、外国人観光客が減ったため、店頭でコメや野菜を売ったこともあった。生き残りを図るためにリハビリ用の衣服や小型の放射能検知器なども販売してみたが、当たらなかった。そこで、改めて自分の店は土産物屋でなければならないと悟ったという。現在の取扱商品は欧米人が好むものをメインにしているが、ニュースをみて最新の消費者動向をキャッチしていないといけないと考えている。

店の売上の90%を外国人に頼っていたが、最近は70%程度にしている。外国人だけではなく、日本人もターゲットにするようになった。ずっと浅草にいたのでは井の中の蛙になってしまうため、大阪にも出かけて景気を伺うようにしている。

スカイツリーができて観光客が流入するのでよかったと思ったが、今のところ相乗効果はない。スカイツリーでお金を使ってしまうため、浅草に来てもお金を落とさない。

景気が一度悪化すると1回で戻ることはないことを痛感している。スカイツリーに沸いているが、いつか飽きたころに戻ってくるのかもしれない。まだまだスズヤの挑戦は続く。