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事業を通じ、自己実現の場を提供したい
有限会社 トライ 代表取締役社長 近藤展幸(こんどう・のりゆき)

更新日:2012年01月25日

 逆境や苦い経験が人を成長させる――そんな言葉を体現しているのが、トライの近藤展幸社長だ。19歳で1000万円の借金を背負い、大学を中退という逆境から這い上がり、23歳でクイックマッサージ店を開業、今では、16店舗を展開するまでになっている。借金返済のためのアルバイトやインド滞在で培った人生哲学をどう経営に活かしているのか、近藤社長に聞いた。
 


 
 
 近藤社長
「楽しいことより、悔しい経験が人を困難に立ち向かわせ、成長させるということを実感した」と語る近藤展幸社長
 
 
ゆめみしのサイト
クイックマッサージの「京の癒し処ゆめみし」。現在、京都と大阪で14店舗を展開している
 
 
店舗外観
バリ風の内装が特徴の「アラム・バリ」は、カフェとスパの複合業態
 

1000万円の借金を抱え、大学を中退

――御社の事業の概要を教えてください。
リラクゼーションサロンの「京の癒処 ゆめみし」を14店舗、スパとカフェの複合店である「アラム・バリ」、ビューティーサロンの「RATU」をそれぞれ1店舗運営しているほか、美容関連のグッズ販売やクイックマッサージの施術者を育成するスクールを運営しています。

――最初に起業したのは、学生時代だったそうですね。
大学時代、最初に入った体育会系サークルでイベントを企画したことがキッカケで、本格的にイベントを企画・運営する組織を仲間と立ち上げました。若いこともあり、とにかく、楽しいことは何でもやってみようと、旅行やパーティー、音楽イベントなどを企画し、大阪城公園の音楽堂で4000人を集めるような大規模イベントも成功させました。

――すごいですね。
メンバーもどんどん増えて、一時は、200人もが在籍する大きな組織になりました。しかし、所詮は、学生の遊び。扱う金額が大きくなると、お金の件で行き違いやトラブルが増え、気がつけば、19歳で1000万円もの借金を背負わなければならなくなっていたのです。そうなると、人も離れていき、結局、最後まで残ったのは、わずか1、2人でした。人が信じられず、自暴自棄になり、半分乞食のような生活もしましたね。

――借金は、どうやって返済したのですか?
仕事を掛け持ちして返しました。1つ目の仕事は、アルバイト雑誌の営業で、完全歩合なので、大きな収入になると思ったからです。もうひとつは、クイックマッサージ。これは、技術を身につければ、それで食べていけると考えたからです。それだけでは、足りないので、水商売のアルバイトもしました。幸い、これらの3つの仕事の客層が重なり、うまく回ったため、借金も、1年足らずで返済することができました。

悔しさと友だちへの思いが支えたハードワーク

――若いとはいえ、3つの仕事を掛け持ちするのは、大変だったでしょう。そのエネルギーの源は、何だったのでしょうか?
当時は、1カ月、400〜450時間働いていましたが、それができたのは、「絶対見返してやる」という強い思いがあったからだと思います。友だちが進級するなか、自分は、借金返済のために大学を辞めざるをえなかった。「負けたくない」という思いが、当時の自分を支えていました。それからもうひとつ、親友の存在もありました。当時、人間不信に陥っていた僕は、彼のことも信用していませんでしたが、彼は、ずっと変わらない態度で僕に接してくれたのです。彼の器の大きさに感動し、留学先のアメリカから彼が戻ったら一緒に仕事がしたい、そのためにも腐らずに頑張ろうと考えたのです。

――その努力もあり、99年3月には、クイックマッサージの1号店を開業されました。
当時、知り合いのマンションの1室で営業していたのですが、常連のお客さんから、「2年間だけ使える空き店舗があるので、やってみないか?」と声をかけられ、挑戦してみることにしたのです。それが最初の店でした。お金もないので、ホームセンターに行き、必要な備品などを買い、自分で取り付けて、開業しました。お客さんが、テレビが見たいと言えば、テレビも用意し、煙草が欲しいと言えば、煙草を買いに走りと、とにかく、お客さんの要望に応えるサービスを一生懸命工夫しました。その甲斐もあって、店の業績も伸びていきました。

――1号店の開業からほどなくして、ショットバーなど、別事業も始められましたね。
業績がよくなると、なぜか、また人も集まってくるようで(笑)、一緒にやろうと声をかけられたことから、学生をサポートするイベントを始め、また、学生のたまり場として、ショットバーも開業したのです。しかし、今度は、人がついてこなくなりました。3つの事業を1人で見るとなると、どうしてもそれぞれに目が届かなくなる。すると、スタッフも怠けるようになったのです。

ある時、スタッフから、「なんでこの仕事をしているのか?」と聞かれ、愕然としました。それまで、事業の意義など考えたことがなかったのです。そこで“癒し”とは何か、何のためにこの事業をやっているのかということをとことん考えてみました。その結果、“癒しとは、人を元気にすること”という結論に達したのです。これを機に、“癒し提案元気創造業”という事業定義を打ち出し、同時に、ショットバーからもイベント運営からも手を引き、リラクゼーション事業に専念しました。すると、社員の意識も高まり、市場の拡大に合わせ、次々に店舗を出店しましたが、サービスの質を落とすことなく、事業を拡大することができたのです。

インドで見つけた自分の人生の目的

――その後、自分を見つめ直しにインドに行かれたそうですね。
実は、一緒に事業をやろうと思っていた親友に、断られてしまったのです。ずっとそれを励みに頑張ってきましたから、本当にショックで、何のために自分が仕事をするのかわからなくなってしまいました。それで、別の友人に勧められ、わずかなお金だけ持ってインドに行ったのです。

――インドで何か得たものはありましたか?
インドでの経験は、強烈なものでした。着く早々、タクシーに乗ったら山の上に連れていかれて、帰りの料金として法外な金額を提示されたので断ったら、そこに置き去りにされてしまった。道を歩けば、10人に声をかけられ、9人にだまされる。路上には、貧しい人たちがあふれている。何ていう国だ!と憤慨すると同時に、人々のたくましさに圧倒されました。やがて所持金が尽きたので、助けてもらおうと思い、マザーテレサが運営していたマザーハウスに行ったのですが、ここでは別の感動がありました。

次から次へと運ばれてくる患者をかいがいしく世話するボランティアたちの姿に心を打たれたのです。世界中から自腹でやってきて、「助けた相手が元気になればうれしいから、ボランティアをする」と語る彼らの言葉を聞きながら、自分の無力さを痛感すると同時に、自分は、何のために生きるのかと真剣に考えました。

その結果、導き出した結論は、「若い人たちの自己実現のステージを提供するために、生きよう」ということでした。自分は、これまで、若い人たちと何かを実現することが楽しかったし、彼らの自己実現を支えるのがうれしかった。であれば、これを自社の企業理念に掲げ、続けていこうと決めたのです。

理念に共鳴した社員が主体的に動く組織に

――具体的に、どのようなことをしたのですか?
自分の考えをまとめた冊子を社員に配り、こういう思いで会社をやっていきたいということを伝えました。人事評価にも、経営理念に沿っているかという視点を採り入れました。

――成果はありましたか?
会社のカラーがはっきりし、判断基準が明確になったことで、共感してくれる人間が会社にいてくれるようになったのです。そして、何よりもうれしかったのは、僕が社内にいなくても皆が自主的に動いてくれ、管理がいらなくなったことです。

――いろんな経験を重ね、社長も会社も成長してこられたのですね。では、最後に今後の事業展望を教えてください。
クイックマッサージ業界は、ここ数年、飽和状態にあります。こうした中で生き残るためには、お客様の期待に応える高品質なサービスに特化することが重要だと思います。また、ネイルやエステなどのトータルビューティーの事業を更に展開していきたいと考えています。もうひとつ、これは自分の個人的な夢なのですが、将来は、経営者を育てる学校を作りたいですね。スキルやノウハウを教えるのではなく、思いや考え方を育む教育の場を作っていければと考えています。

プロフィール&会社概要

有限会社 トライ 代表取締役社長 近藤展幸(こんどう・のりゆき)
1975年生まれ。京都府出身。大学在学中に手掛けたイベント企画や携帯電話販売事業で借金を背負い、大学を中退。借金返済のために始めたクイックマッサージで1998年に起業後、2002年1月にトライを設立。

会社名:有限会社トライ
設立:2002年1月
所在地:京都府京都市中京区三通烏丸西入る御倉町85-1 烏丸ビル6F 
電話: 075-229-6140
URL:http://try-iyashi.com/