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あっさり味が好まれる上海で香辛料が強いウイグル族レストランがなぜ繁盛するのか
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2015年02月25日

筆者の実家の近くにウイグル族レストランが開店した。あっさりとした味を好む上海人として香辛料がたっぷり入る料理に対してはある種の抵抗感があり、関心を払わなかったのだが……。


 
莫邦富氏
 
 
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関心を払わなかった少数民族の店

上海の実家の近くに、もともと家具を販売していた店があった。2年前からか、新疆系のレストランに変わった。

普段、自分の生活圏にこうした変化があると、私は好奇心に駆られて、わりと早いうちにチェックしに行くと思う。しかし、耶里夏麗(イエリーシャーリー)という店名からして今度は羊の肉がメインというイメージが強いウイグル族料理だとわかる。あっさりとした味を好む上海人として香辛料がたっぷり入る料理に対してはある種の抵抗感も覚えるし、漢民族とウイグル族のトラブルがよく発生しているご時世でもあるので、このレストランのオープンにほとんど関心を払わなかった。

上海出張の際、時々、開店前にこの店の従業員たちが店の前で整列して朝礼をしているのを何度か目にしたことがあった。店員が予想していたより多いという印象とそれなりにやっているなあ、といったぼんやりした感想しかもっていなかった。

人気レストランで灯台下暗しと反省する

今度の中国出張ではスケジュールが超高密度に組まれていたため、飛行機を降りたところから、いろいろな打ち合わせをしなければならなかった。ある弁理士事務所の関係者との会合も到着した直後に、セッティングされていた。弁理士事務所の方たちが気を使って、実家近くで会うことにしてくれた。出発前にその場所についての知らせが届いた。なんと例のウイグル族料理のレストランだった。少し引っかかった言葉がある。案内のメールに「有名なレストラン」という枕詞があったからだ。しかし、そこまで深くも考えずに飛行機を降りた私はそこへ直行した。

間口の狭い店に入ると、一瞬、電撃に撃たれたような思いに襲われた。店内は非常に広いだけではなく、人が溢れていたからだ。入り口のところで順番を待っている人たちも大勢いた。店員たちが忙しそうにお客さんを席まで案内したり、料理を運んだりしていた。店の人気ぶりは紹介を聞かなくても、一瞬に体感できた。

その日の会合は仕事の話以外は、全部この店に関する話題だった。弁理士事務所の方たちが事前に予約を取ろうとしていたが、断られてしまい、約束時間の1時間前から列に並んで席を確保した話を聞いた私は、「灯台下暗し」ということわざを思い浮かべずにはいられなかった。そして、自分の不勉強に強く恥を感じた。

一歩入ればアラビアンナイトの世界と言われるこの店がなぜそこまで人気を確保できたのか、中国市場を理解するうえで結構な実例ではないか、とも思った。

次回、上海出張のとき、もっと時間をかけてこの店を研究しようと密かに次の作戦を考えた。

著者略歴

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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