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中国のスマホ・メーカー、小米科技(Xiaomi、シャオミ)を解剖する
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2015年01月28日

創業からわずか5年で売上高1兆円を達成し、中国市場でサムスン電子を抜いてシェア1位となった中国のスマホ・メーカーがある・・・。


 
莫邦富氏
 
 
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小米はインターネットタイプの企業だ

国境の壁を越えられない。これは日本の携帯電話メーカーを悩ませている大きな問題だ。しかし、一方で、創業からわずか5年で売上高1兆円を達成し、中国市場でサムスン電子を抜いてシェア1位となった中国のスマホ・メーカーがある。それは急成長している小米科技(Xiaomi、シャオミ)だ。

小米は、2010年に創業した会社で、翌年にスマホの第一号製品を発表し、価格の割に性能が良いと人気を集め、たちまち大ヒット商品となった。以降、新製品を出すたびに話題になり、あっという間に中国最大のスマホ・メーカーという頂点に上り詰めた。中国国内でも海外でもSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)とネット販売を徹底的に活用するのも同社の特徴だ。たとえば、2014年9月、インドで、ネット販売を通してわずか4.2秒で用意した4万台を完売した。10月に、再度挑戦し、同じ4秒で今度は10万台を販売できた。

中国では、小米はアップルに似た企業だと思う人が多いかもしれないが、実際にはアップルとは全く異なっている。小米はむしろオンライン・オペレーション能力を駆使して多くの分野に業務範囲を広げているのだ。

だから、小米は自らのことをインターネットタイプの企業だと解釈している。その創立者である雷軍(Lei Jun)氏は以前、インターネットタイプの企業の特徴について次のように書いている。

「インターネットタイプの企業はサービスで稼ぎ、サービスは業務の安定成長を決定する」

現在の小米はまさにこのモデルに完全に合致した企業である。

サービスの付加価値で存在感を誇る

しかし、小米はどうして信じられないほどの低価格でかなり高性能、高品質の商品を市場に供給できるのか?

一つは、低価格でハードウェア製品を作る点においては、中国企業には恵まれたアドバンテージがある。製造拠点に近いし、中国企業も利益率がかなり低く抑えられた環境下でも生存できるからである。

後者については、中国国内ではそれほど感じないかもしれないが、北アメリカから中国を見たときに非常にはっきりと、低利益は中国のあらゆる業種にあまねく存在していると感じるであろう。小米は中国でしか生まれ得なかった企業である。それほど蓄積のない状況で合併買収を頼みとし、産業連鎖の上流下流を利用して製品を完成させ、なおかつ非常に低い利益率のもとで長く生存している。

受け入れやすい価格で、平均をはるかに上回るクオリティでありながら、業界第1位を求めない製品を提供することが、小米のハードウェア製品の製品価格戦略である。

これは小米オリジナルというわけではなく、ビジネス競争ではよく見られるモデルだ。アメリカのサウスウエスト航空や中国の春秋航空など、どの業界にもこうしたビジネスモデルで運営している企業はある。

中国企業は低い利益率のもとでの生存に長けており、そのため中国のインターネットタイプの企業は付加価値サービスで利益を出すことを得意とするようになった。以前のように海外へ廉価な中国製品を輸出していた従来型の製造企業とは違って、こうしたインターネットタイプの企業は自らの顧客グループによって利益モデルを生みだすことができ、価格の安さは単なる表面にすぎず、サービスや規模によって利益を出すことが核となる。

小米はその種の企業の一番先を走っている企業というだけである。

著者略歴

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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