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阪急百貨店が中国寧波へ進出
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2014年11月11日

ここ数年、中国の百貨店業は危機的な状態に陥っている。41の上場した百貨店の営業利益を見ると、約三分の一の百貨店の利益がマイナス成長になっている。そんな中、阪神百貨店などを展開するエイチ・ツー・オーが江省寧波市に阪急百貨店を出店する……。
 


 
莫邦富氏
 
 
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私が最初に訪問したのは阪急百貨店

次のニュースを読んだとき、かなり驚いた。
阪急百貨店、阪神百貨店などを展開するエイチ・ツー・オー(H20)リテイリングは中国の浙江省寧波市に阪急百貨店を出店することになっている。2018年春にオープンするそうだ。H20としては海外での本格的な百貨店の出店は初めてだという。中国現地では、アパレル事業などを手掛ける杉杉投資集団有限公司など数社がその協力相手だ。

総投資額は約500億円。地上6階地下1階の約16万平方メートルの大型商業施設で、寧波最大の開発プロジェクト「東部新城開発」の中心地となる「寧波中心」に立地する。日系百貨店としては中国で規模最大を誇る。

1981年、はじめて訪日したとき、私が個人の自由行動を禁じられたルールを破って秘かに訪問した百貨店はほかならぬこの阪急百貨店だった。京都外国語大学に留学していた頃も、古都のあの表現しにくい雰囲気が苦手だった私は大阪にはよく逃げ込んだ。京都の大宮から阪急電車で大阪梅田に降りたあと、いつも足に任せて入っていた百貨店も阪急百貨店だった。その意味では、阪急百貨店の中国進出については喜ぶはずだ。しかし、このコラムの冒頭にある「驚いた」という表現は、嬉しいニュースに接した意外さからの驚きではなく、むしろ想定外の事情が発生したとき感じたあの意外さからの驚きだ。

百貨店受難の時代が始まったのか?

というのは、ここ数年、中国の百貨店業はたいへん危機的な状態に陥っている。今年は特に悲惨だ。

中国のメディアの報道によれば、不完全な統計によっても、今年上半期だけで15の百貨店が閉店し、史上最悪を記録した。しかし、このデータを更新し続けている。7月に、百盛商場北京東四環店が閉店し、王府井百貨広東湛江店が営業停止状態に入り、8月末、華堂商場北京北苑店もドアを閉じた。

こうした傾向は2013年にすでにはっきりと現われている。売上額を公開している41の上場した百貨店の営業利益を見ると、約三分の一の百貨店の利益がマイナス成長になっている。黒字の企業でも1桁の成長しか確保できなかった。百貨店業界も人件費、店舗賃料などのコスト高騰に大きな圧力を感じた。昨年同期と比べて、人件費は20%高騰している。

上海に進出した伊勢丹や高島屋も悪戦苦闘しているなど、百貨店をめぐる環境の厳しさを知っている人間としては、阪急百貨店の中国進出にやはりある種のリスクを覚えた。阪急百貨店はこれからの試練を果たして乗り越えられるのか、応援しながら見てみたい。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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