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川床料理と流しそうめん
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2013年07月31日

京都には、一年間しか住んでいなかった。しかし、私に与えた影響は一年の生活以上の重みと厚みがあった。
 


 
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味よりも日本的情調

京都には、一年間しか住んでいなかった。しかし、私に与えた影響は一年の生活以上の重みと厚みがあった。

盆地である京都は、夏は暑く、冬は寒い。底冷えという言葉も京都の生活を通して、その言わんとする意味を肌で理解できたのだ。夏は夏で鴨川のせいかもしれないが、非常に蒸し暑い。だから、夏の京都旅行はあまりお勧めしたくない。

しかし、夏でしか味わえない京都のよさもある。貴船の川床料理だ。正直に言うと、貴船の川床料理は値段が高いうえ、味はまずい。だが、それでも勧める。川面の上に敷かれた座敷と滔滔と流れる川の水、山肌から伝わってくる涼しさに、何とも言えない快適感がある。

赤い和傘に赤いカーペット、竹垣に茅葺の屋根、そして浴衣姿の女性たち。これらの小道具が醸し出す濃厚な日本色彩に、多くの外国人が陶酔する。その場に身を置くと、料理の値段が高かろうが、味がまずかろうが、そこまで関心を払う心的余裕はない。目も心も目の前に広がる京都の夏の風物詩に酔いしれる。

中国からの視察団や取材班を何度も連れて貴船の川床料理を体験した。毎回、何を食べたのかみな覚えていない。おそらく冷静に運ばれてくる料理に評価用の点数をつけている外国人は私のような変わり者だと思う。

手ごろな夏の風物詩


手ごろに楽しむ京都の夏の風味もある。流しそうめんだ。

昼間に貴船の川床に行くと、流しそうめんを食べられるところがある。半分に割られた青々とした竹が山の上から泉水を運び、そのなかを細いそうめんが流れてくる。席にいたお客さんがそのそうめんをそれぞれ箸で捕捉して、薬味たっぷりのそうめん汁につけて食べる。手頃で楽しい。しかも涼意満点である。

中国人訪問者を連れてその流しそうめんを食べに行くと、みんな大興奮してはしゃいでいた。童心を取り戻したかのような喜びぶりを見て、私はつくづくと感心した。京都はやはり観光の町で、観光客に喜んでもらえるような演出がうまい、と。

春夏秋冬、日本には時折々の美しさと情緒がある。日本人の心のひだに触れるような風物詩は外国人の訪問客をも同様に陶酔させることができる。

今年で私が来日して28年になる。京都は最初の一年間しか住まなかった。冒頭に書いた通り、「しかし、私に与えた影響は一年の生活以上の重みと厚みがあった」のだ。それはやはり日本の文化と風土が付随しているからだ。その意味では、日本の商品、製品を海外に紹介するには、単なるその性能、機能だけではなく、これらの商品や製品を育んできた日本の文化と風土もきちんと取り上げるようにしないといけない。

京都・貴船の川床料理と流しそうめんがくれたヒントだ。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/