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「中国のIBM」を猛烈に追いかけるトヨタの「中国豊田」
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2013年04月17日

トヨタが中国での呼称を「豊田中国」から「中国豊田」へと変えた。著者はこのことにトヨタの中国でのビジネス意識の転換を感じたという・・・。
 


 
莫邦富氏
 
 
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「IBM in China」から「China's IBM」へ

2004年、博報堂の幹部研修に同行して上海を訪れ、IBMの市場研究部を見学した。大中華圏を取り仕切るゼネラルマネジャーの耿艶さんは、中国でのIBMの歩みを紹介してくれた。彼女が最後に強調した言葉が強く印象に残った。

「これからのIBMは『IBM in China』から『China's IBM』に変身し、中国経済の一部になる決意です」

管理職の現地採用を実現するだけでなく、会社そのものが中国社会に溶け込むことを目標としているという。

「IBM in China」から「China's IBM」へ。一見、言葉遊びのようだが、「中国のIBM」への変身を決意するIBMの対中国戦略がそこから見えてくるような気がした。

当時、中国に進出した日系企業になかなか見いだせなかったこうした発想や行動に、私が感動し、さらに、その感動を連載が続いていた朝日新聞のコラムにも書いた。

「豊田中国」から「中国豊田」へ

10年近くの歳月があっという間に過ぎ去った。昨年11月秋、トヨタの幹部が、同社の中国に設立した会社の呼び方をこれまでの「豊田中国」から「中国豊田」に改めることにした、と発表した。同社の幹部が、その呼び方を変えることは決して一つのスローガンのためではないと強調した。

ハイブリッド車の開発コストを下げるために、中国に技術開発センターを設立したり、高級管理層に中国人幹部を初めて抜擢したりしているのも、トヨタのブランドを中国に根付かせるためだ、とトヨタ(中国)の責任者がアピールしている。

昨年9月、島の領有問題により、日中間が激しく対立し、中国では日本に対する大規模な抗議デモが発生し、トヨタなど日系の自動車メーカーは大きな打撃を受けた。その直後に発表されたトヨタのこの措置は、デモなどから見られた反日感情への一種の対策と言われても仕方ない一面があるが、中国に進出した当時、横暴という意味しかない「覇道」という中国語を車名にしたトヨタとしては、信じられない姿勢の転換だと理解していいだろう。

IBMよりは10年近くも遅れて、IBMが歩んだ道をようやく歩き出したとはいえ、やはり中国市場に揉まれながらも成長したと評価していいだろう。そのトヨタの意識の転換には、拍手を送りたい。

たしかに、トヨタ(中国)の幹部が指摘した通り、「豊田中国」から「中国豊田」へと呼び方を変えることは、決してスローガンの変化ではない。そこには、やはり多国籍企業としてのトヨタの企業文化と企業戦略がある。今度は先に一歩を踏み出したトヨタに、どの日系企業が追い付いてくるのか。私は興味津々にその動きを見守っている。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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