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高知との不思議な縁が観光振興につながった
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2012年04月25日

東京の事務所に駆けつけた高知県観光振興部の久保博道部長にやる気を感じた著者は、その後、二人三脚の共同作戦で、安徽省旅遊局の胡学凡局長の高知訪問を実現し、両省県の観光分野での協力について最初の一歩を踏み出した。
 


 
莫邦富氏
 
 
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 JALの支店長の手に乗ってしまった私

安徽省旅遊局一行を案内して高知県を訪問した。友好省・県として安徽省と高知県との間で交流の強化を宣言するいくつかの覚書が交わされた。そのなかでもっとも内容が新しいのは安徽省旅遊局の胡学凡局長と高知県観光振興部の久保博道部長が調印した覚書だろうと思う。友好省・県関係が結ばれて18年。両省県は初めて観光分野での協力について最初の一歩を踏み出した。

会場の下でその光景を見ていた私は、思わず目頭が熱くなった。努力の甲斐があったと喜ぶと同時に、ここまでたどり着いた道のりを振り返ってみると、いろいろな方の陰での努力や苦労を思い出した。

まず、第一功労者は私を高知県に結ばせた日本航空高知支店の五十嵐武支店長だと言えよう。インバウンド先進地である北海道から高知に転勤した五十嵐支店長は、ある種のあせりを覚えた。高知のインバウンド事業に活を入れようと考えた彼は、私を破壊力のある爆薬として使った。

そうとは知らない私はまんまとその手に乗ってしまい、坂本龍馬ばかりを売り込む高知県の観光行政に集中砲火を浴びせた。それがおそらく高知県観光行政の中国を見る目がよりリアルになったきっかけになったかもしれなかった。

問題の指摘ばかりではなく、私を「ほにや」という会社の社長にも会わせた。わけがわからないまま、ほにやの泉真弓社長と会った私はすぐに泉社長が率いるよさこいのチームとその踊りにはまった。海外へのアピールはこれだと流れが決まった。おそらくそこで五十嵐支店長は私の情報発信力を綿密に計算しただろう。

こうして私は縁もゆかりもない高知に特別の思いを持つようになった。

やる気満々の観光部長

そこで観光振興部の久保博道部長(当時は副部長だった)の登場だ。東京のわが事務所に駆けつけた彼に、私はやる気を感じた。そこで高知再訪となり、久保部長が私の馬路村の訪問などを自ら案内し、かなりの時間をかけて意見交換をした。そこで築かれた信頼関係は安徽省旅遊局の胡学凡局長の高知訪問につながった。信頼関係なしではとてもできなかった二人三脚の共同作戦が安徽省政府代表団の高知訪問中にも実を結んだ。

高知県が主催した歓迎レセプションが終わった後の夜9時半に、久保部長の要請で、急遽、安徽省旅遊局と高知県観光振興部との共同会議が開かれた。30分ほどの会議だったが、具体的な話に入り、観光交流の地平線が見えた。

そこでハプニングが起きた。安徽省側の関係者たちが歓迎レセプションの席上で交流に夢中になり食事をそれほど取れなかったという情報をキャッチした。相談を受けた久保部長は即座、庶民に親しまれている地元の観光スポット「ひろめ市場」に安徽省側の関係者たちを案内した。

6700万人の安徽省はひとつの国ぐらいの規模だ。その「ひろめ市場」で開かれた一風変わった「二次会」に集まった安徽省の参加者は「大臣」クラスの大物だらけだった。普段ではなかなかできないもう一つの観光プロモーションを敢行したようだ。

市民からの反応もよかった。Facebookには、「知らない国、土地でひろめのような場所に案内されると、相手の家に招かれたような親近感がわくでしょうね。作戦大成功ですよ!」との評価が来た。

こうして五十嵐支店長と久保部長との交友で、私も知らず知らずのうちに、高知と結ばれた。人との縁は不思議なものだ。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/