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島国型企業からの脱皮を迫られる日本の中小企業
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2012年02月29日

日本ではあまり知られていない江蘇省常州市武進区と浙江省杭州市蕭山区(しょうざん-く)。中国の都市ランキングとしては最下級の県級市に当たるが、経済改革・開放が進む長江デルタにあり、発展が凄まじいという。
 


 
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重い腰を上げ始めた中小企業

海外進出というと、日々の経営に追われる多くの中小企業の経営者にとってはどうしても遠い話に聞こえてしまう。日本経済の行方や会社の既存の経営形態と方針に対する不安が心のどこかにあるにしても、人材的にも資金的にも弱い多くの中小企業はなかなか海外進出には踏み切れない。

しかし、この頃、筆者の周りを見るかぎり、腰の重い中小企業がどうもいよいよ動き出したようだ。その動きの一部をダイヤモンド・オンラインに筆者のコラム「日本経済の足腰・中小企業が依然減少動き出した自治体の海外進出支援に期待」ですでに取り上げているので、ご参照いただければ幸いである。

コラムに取り上げられた墨田区や大田区だけではなく、このサイトを運営しているWizBiz社も同様だ。これまで日本国内での活動がほとんどである同社は、2月下旬に筆者とともに江蘇省常州市武進区と浙江省杭州市蕭山区(しょうざん-く)を回った。

中国では、都市を直轄市(例:上海など)、副省級市(例:青島など)、地級市(例:蘇州など)、県級市(例:昆山など)の順に等級づけている。武進と蕭山は都市ランキングとしては最下級の県級市に当たる。都市化が進むことにより、これらの県級市の一部が地級市に区として編成されるケースが最近目立っている。武進区と蕭山区もまさにその典型例である。

ところで、日本ではあまり知られていないこの武進区と蕭山区は、実は中国では相当注目される存在だ。まずはその豊かさだ。経済改革・開放が進む長江デルタにあり、発展が凄まじい。一人当たりGDPを見ると、上海と引けを取らないほどだ。教育レベルも高く、武進では、大学生や専門学校生が年間2万人も卒業する。そのためか、コマツなどをはじめ、日系企業の進出も目立つ。

WizBizよ、企業サポートの舞台を海外へ広げろ!

2月24日付日本経済新聞によれば、雑貨店の「フランフラン」を運営するバルスは4月までに香港に本社を移転し、持ち株会社の傘下に日本や中国、シンガポールなどの拠点が入る。中国本土を中心とする今後のアジア出店に備えるのがその狙いである。海外の売上高を現在の約15億円から、5年後に現在300億円強もある日本国内の売り上げを上回る水準まで引き上げるという方針を打ち出している。

こうした動きからもわかるように、多くの日本企業は中国を製造基地として捉えると同時に、本世紀最大の市場としても捉え始めている。実際、日本の経済産業大臣に当たる商務部長の陳徳銘氏も2010年7月、次のように指摘している。

「近年、中国国内の消費市場がGDPの成長速度を超えた、年間17〜18%というハイスピードで成長し続けている。その規模は15年に日本を超え、20年に米国に取って代わり、世界最大の消費市場となるだろう、と予測されている。」

一方、日本の市場は少子高齢化が進んでいるため、委縮していく傾向を見せている。その意味では、ユニクロを経営するファーストリテイリングの会長兼社長を務める柳井正氏の言葉を借りれば、「今、日本企業にとって最大のリスクはむしろ日本にとどまることにある」という。

もちろん、中国市場を攻め落とすためには、その市場を見通せる眼力が求められるし、失敗のリスクもある。海外に進出し、世界を舞台にしてビジネスをすることはリスクとの戦いでもある、ということを理解しなければならない。柳井さんの指摘に耳を傾けるべきだと思う。「一度の失敗で進出を諦めてはいけません。挑戦には失敗がつきものです。失敗から学ぶこともたくさんあります。すぐ隣に世界一の市場があるのですから、このビジネスを逃す手はないでしょう」

一方、こうした海外進出のリスクをすこしでも減らすためには、企業の経営活動をサポートすることを業務とする会社、たとえば、WizBizのような会社もそのサポート業務を海外ビジネス舞台に広げるべきだ、と筆者は思う。WizBizの武進、蕭山視察はまさにその第一歩を踏み出そうとしている。同社のこれからの動きに、多いなる関心を寄せたい。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)

1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。
博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/