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高級タワーマンションを作る某総合不動産会社系列の管理会社が住民から解雇された
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる

更新日:2011年10月12日

高級マンションの共有スペースにマンション管理組合からの委託で営業している喫茶店がある。その営業実績について管理組合が尋ねても教えてくれない。マンションの管理会社が情報封鎖をしているのだった。。。


 
莫邦富氏
 
 
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某総合不動産会社とそのアメニティサポート

某総合不動産会社(以下A社)。Bというブランドの高級マンションを建設する会社として知られる。東京で建設されたそのBブランドのマンションにはそれぞれの地名が入っている。いうまでもなく「Bブランド東京」というネーミングのタワーマンションになると、A社にとっては会社のブランドとイメージを大きく左右する旗艦店的存在である。だから、「Bブランド東京」タワーマンションが売り出された当時は、世界的に有名な映画俳優をテレビCMに起用し、完売された後もテレビCMを打つなどして宣伝していた。

この大事な「Bブランド東京」タワーマンションの日常管理業務は、日本の慣例通り、A社の子会社であるA社アメニティサポートという管理会社が担当してきた。600世帯以上の人々が住む同マンションは、ある意味、マンションではなくひとつの町だ。その町の管理会社を務めることがA社の売上高と利益の確保に大きく寄与していることも自明のことだ。

しかし、おそらくすでにお気づきになった読者もおられるだろうと思うが、私はここで過去形の「担当してきた」という表現を使った。理由は、A社アメニティサポートが「Bブランド東京」タワーマンションの管理組合から、いや住民から解雇されてしまったからである。

サービスの悪さに住民は愛想を尽かしてしまった

解雇された最大の理由はサービスの悪さと情報の不透明さだと思う。

例えば、マンション内には住民を相手に営業している喫茶店がある。多くの住民が住んでいるとはいえ、やはり限られた対象を相手に商売するのに不利なところもいろいろあるだろうと考え、マンション管理組合では場所、水、電気などを提供する形でその商売を支えてきた。しかし、その喫茶店が儲かっているのか、それとも赤字に苦しんでいるのか、管理組合の担当理事が尋ねても「業者との契約に守秘義務がある」という口実で、その実情を頑として管理組合に教えてくれない。

管理組合の委託で喫茶店業務を外部の業者に依頼したのに、その発注元である管理組合に対しては情報封鎖が行なわれていた。まったく信じられない問題だった。こうした問題の積み重ねがあまりにも多かったため堪忍袋の緒が切れた管理組合は、やむを得ず管理会社を換えるという行動に踏み切った。

こうしてA社アメニティサポートは、親会社にとって最も大事と見られるお客さんを失ってしまった。

「Bブランド東京」タワーマンションの日常管理業務はH管理会社に委譲された。例の喫茶店の運営スタイルも大きく変わった。まずこれまで週1回あった休みの日がなくなり、毎日開店するようになった。営業時間も長く伸び、もっと利用しやすくなった。しかも、取り扱う食品や飲み物の種類が増えたばかりでなく、販売価格も安くなった。わずか1カ月しか経っていないのに、おそらく多く住民はなぜこれまで管理会社がここまでやってくれなかったのか、と疑問に思っている。A社またはA社アメニティサポートは今度の契約解除から教訓をきちんとくみ取るだろうか。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)

1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。
博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/