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中国のどこに進出すべきなのか
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2011年09月14日

 中国進出を考えている企業は多いことだろう。しかし上海、杭州、蘇州、無錫など、日系企業に人気のある進出先はすでに飽和状態。今回は、進出先を選ぶに際し、考慮すべきいくつかのチェックポイントあげている。


 
莫邦富氏
 
 
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日系企業の静かな脱出ブーム

「3・11」震災後、日本社会は原発事故による電力不足に悩まされている。多くの企業は製造基地を海外に移転させるスピードをあげた。とあるメガバンクの上海支店によると、4月から6月末まで、上海支店に新規口座の開設を申し込んだ法人顧客は300以上で、年末には新規口座の開設数が800以上となるだろうという。

これはあくまでも一支店レベルのデータだ。中国に営業拠点を構えるその他の銀行の支店などを考えると、日本企業には新しい中国進出ブームが静かに沸き上がっていると言っても過言ではないかもしれない。

しかし、上海、杭州、蘇州、無錫など、日系企業に人気のある進出先はすでに飽和状態にあり、新規参入の敷居がかなり高くなっている。労働力不足問題も大都市ほど深刻だ。新しい進出先としての地方都市を開拓する必要がある。無数にある中国の地方都市からどのように進出先を選びだすか。これが進出企業の今後の発展にかかわる重要なポイントだ。

その意味では、拙著『中国最新市場22の地方都市』(海竜社)は私の独断と偏見によるものだが、一部ながらその回答を出している。

ここでは、進出先を選ぶいくつかのチェックポイントをご参考までに提示しておきたい。

進出先を選ぶいくつかのチェックポイント

1.長江デルタを最優先に考える。

上海を中心とした長江デルタには、日系企業の人気が集中している。そのため、日系企業の進出密度も高い。成熟した地域として労働者の確保問題も日増しに浮き彫りとなっている。それでも、その長江デルタにはまだ穴場的な地域が残っている。これらの都市(地級市、県級市や区)はまだ蘇州、杭州ほど進出の敷居が高くない。

2.長江沿岸都市を優先的に考える。

長江デルタは陸上交通や鉄道などが非常に発達する地域だが、輸送コストなどの問題を考えると、水運も軽視してはいけない。だから、水運ができる長江沿岸に工場を作ったほうがよい。
一方、付加価値が低い労働集約型の企業には、長江デルタはよい進出先とは思わない。むしろ、人件費が大幅に安い内陸地を勧めたい。

3.産業の伝統を調べる

伝統産業の隆盛を極めた歴史があるかどうかもチェックポイントである。それが地元の住民のビジネス意識の成熟度と関連してくる。言うまでもなくビジネス意識の成熟度が高ければ、契約、納期、品質などを守る意識が比較的芽生えやすい。

4.政府役人をチェックする

いま、企業誘致においては、中国各地の優遇策はほとんど同じである。甲乙はつけがたい。人材や交通インフラ、ビジネス意識度の成熟さなどをチェックする以外に、地元の政府関係者の人となりもチェックしておく必要がある。やり手かどうか、政策に対する理解度をもっているかどうか、など能力面のチェックが必要だが、親身になって問題の解決に当たるかどうか、腐敗の度合などもやはりしっかりとチェックしておく必要がある。

地元の政府役人と1回か2回くらいの接触で、その人となりを判断しようとしても判断材料が少なすぎるが、それでも人間はある種の「におい」をもっており、その「におい」を直感で嗅ぎ取れることもある。
もちろん、中国進出にとっては最重要なのは、地元に信頼できる人材をもつことだ。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)

1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモンド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。
博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/