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「Japan+1」と世界の工場である中国の変化
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2011年06月15日

 世界の工場と呼ばれる中国であるが、近年環境汚染に厳しくなり始め、汚染工場は立ち退きを求められることがあるという。
 


 
莫邦富氏
 
 
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日本以外にも製造基地をもつべきだ

東日本大震災によって、被災地が多大な被害を受けたばかりではなく、製造工場の被害で部品供給が止まり、グローバルにビジネス展開する日本企業の日常生産にも大きな打撃を与え、自動車をはじめとする多くの分野で地震の影響が色濃く出ている。注文してくれたお客さんに迷惑をかけてはいけないと思って、多くの企業は代替生産ができる工場などを探していた。

こうした需要を見て、多少でもお役に立てばと思い、銀行系のコンサルタント会社を通して、世界の工場と呼ばれる中国の地方企業の現状などを紹介する緊急講演会を行なった。案内を出してから講演会が行なわれるまでの期間が短かったにもかかわらず30社近くが来てくれた。

6月中旬、このコラムの掲載媒体の経営母体WizBiz株式会社でも同様の講演会を開催することになり、6月7日の時点ですでに80社以上の申し込みがあった。市場ニーズの強さを肌で再確認することができた。

以前、日本には、「China+1」ということを主張した人がいた。海外投資をすべて中国に集中するのは危ない、中国以外にも投資すべきだ、という主張だ。その政治的意図などはさておいて、投資の原理から考えればまっとうな主張だと思う。

しかし、今の日本に必要なのは、ひょっとしたら「Japan+1」というような発想かもしれない。日本以外のどこかにもう一つの生産拠点をもつことは、企業のグローバル展開にとって非常に重要な保障要素になると思う。

立ち退きを求められた一部の製造業

ところで、世界の工場と呼ばれる中国だが、その中国では近年、製造業に対してかなり厳しい目を向けるようになっている。世界の工場というと、人々は珠江デルタと長江デルタの開発区や工場群を思い浮かべる。広東省の深せんや東莞、浙江省の温州や義烏、江蘇省の蘇州と無錫周辺などの地域がその代表選手だといえるだろう。

5月末、私は蘇州市にある昆山を訪問し、そこの花橋開発区を視察した。その開発区のトップは、私たちは製造業を一切誘致しない、現在開発区にある製造業の会社も工場ではなく研究開発センターをここに置いている、と言い切っている。

東莞も環境保護のため、同市に進出した多くの香港系の製造業をほかの地域に移転させた。今年の年末までに、さらに30数社の企業に立ち退きを求める。ここ5年、すでに90%の汚染工場を倒産させたり、移転させたりしてきた。おそらく今度の立ち退き要求で同市からは汚染程度の重い企業が一掃されることになる、と指摘されている。

立ち退きを求められたこれまでの企業の業種を見ると、製紙、メッキ、革製品の製造、染色、プリント、酒造、大規模な養殖、廃棄物リサイクルなどである。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモンド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。
博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/