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莫邦富的視点
印象に残った2つの広告
莫 邦富(Mo Bang-Fu)

更新日:2010年07月06日

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 知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続ける莫氏によるコラムです。
 小さな女の子が空に向けてまっすぐに伸びるお父さんの足の上に乗って、両手を広げて飛行機が空を飛ぶような真似をしている広告を目にした。何か熱いものがこみ上げてきた。印象に残る広告はやはりいい。時間が経ってもその味わいは変わらないと思ったという。


 
莫邦富氏
 
 
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「靴下屋」の広告に熱いものがこみ上げた

この原稿の締め切りはちょうど父の日の数日前だった。消費低迷とデフレに苦しんでいるだけに、デパートやスーパーなどは今年の父の日の商戦に特に力を入れているような印象を受けた。

どこもあの手この手を使って、父の日ギフト用商品を提案し、アピールしている。名前入りのイモ焼酎もあれば、スポーツ用品ギフトもある。カラフルなステテコを提案するところもあれば、父の日に贈る花としてひまわりを定着させようとする業者もある。

そんななかで一枚の広告が私の目に止まった。小さな女の子が空に向けてまっすぐに伸びるお父さんの足の上に乗って、両手を広げて飛行機が空を飛ぶような真似をしている。背景となる空のスカイブルーと女の子の無邪気な笑顔が心に焼きついた。「靴下屋」などのブランドをもつ靴下の専門企業であるTabioが出した全面広告だ。そのキャッチフレーズもうまい。「空を飛ばせてくれたお父さんの足へ」。思わず大学院を卒業したばかりの娘が幼かった頃の遊びを思い出し、熱いものがこみ上げた。

しかし、コラムで取り上げるかどうか躊躇した。というのは、すこし前に朝日新聞のコラムでほかの企業の広告を紹介したばかりで、また広告ネタで原稿を書くことにやや抵抗を覚えたからである。

数日後、新聞でこの広告を再び目にした時、やはり感動を覚えた。自分の気持ちに素直に原稿を書こうと気持ちを変え、Tabioのこの広告を取り上げることに決めた。

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著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/