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莫邦富的視点
「康師傅(カンシーフ)」のインスタントラーメンはなぜ売れたのか
莫 邦富(Mo Bang-Fu)

更新日:2009年11月18日

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 知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続ける莫氏によるコラムです。
 日本でさえ、関東と関西ではインスタントラーメンの味付けに差がある。広大な中国では、その差は広範であり、また多様なものとなる。地域差を無視しては、食品ビジネスは思うに任せぬことになるという。

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『鯛と羊』のヒント

一部の評論家は統一の失敗の原因を「中国本土市場は台湾に遅れている。だから、台湾で売れる商品を中国本土にもっていけば間違いなく市場を制覇できる」という奢りに求めている。

確かにそういう一面があったかもしれないが、私はそうとは思わない。中国の北方では醤油煮の牛肉味が喜ばれるが、もしこのインスタントラーメンの競争が福建省や広東省でスタートを切っていたら、統一のシーフード風味のインスタントラーメンが市場を制覇していたかもしれない。競争の舞台が北方にあるということの意味合いを統一側は十分理解していない。それが失敗を招いてしまったのだ。

広い中国では、南と北がもつ意味の重さは日本や台湾では想像もつかないほど違うものだ。拙著『鯛と羊』の中で、「日本と日本語は、海洋文化の薫りを受けている。対して、中国文化と中国語は濃厚な牧畜文化を有する環境のなかで発達してきた」と指摘している。

たとえば、日本のことわざ「腐っても鯛」を中国語に訳すと、「痩死的駱駝比馬大(やせて死んだ駱駝は馬より大きい)」となる。ある事柄を説明する場合、ともに漢字を用いる中国語と日本語だが、いっぽうは海の魚、いっぽうは陸地の動物(家畜)をもって表現する。

こうした言語による表現の差異は、文化的背景または文化的環境の相違に由来するものだといってよい。つまり、日本の文化が「海洋文化」で、中国の文化が「牧畜文化」だ、ということである。

しかし、中国の南に行くと、牧畜文化の色合いが薄くなり、その分、海洋文化の色彩が濃厚になってくる。中国で商品を開発・販売する時は、こうした文化の違いを意識に入れないと、失敗する恐れがある。

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プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』『日中「アジア・トップ」への条件』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/