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莫邦富的視点
「製造業立国・日本の終焉」のご一読をお勧めする
莫 邦富(Mo Bang-Fu)

更新日:2009年04月01日

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知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続ける莫氏によるコラムです。
「中央公論」4月号に掲載された三菱UFJ証券のチーフエコノミスト水野和夫氏の論文と、Googleで「中国経済」を検索した時に表示される関連キーワード。まったく関係なさそうな両者から、日本経済の実態を読み解き、その先行きを憂う。


 
莫邦富氏
 
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アジアと中国の内需を組み入れるべきだ

「中央公論」4月号に掲載された、三菱UFJ証券のチーフエコノミストである水野和夫氏の論文「製造業立国・日本の終焉」のご一読を強くお勧めしたい。読んで目から鱗が落ちる思いがする。

日本を世界一に押し上げたのは、電機、自動車、工作機械、精密といった機械工業で、日本の成長寄与率から見れば、機械工業は70年代から80年代にかけての20%程度から、02年から07年までの景気回復期においては81%に達した。
水野氏は、以上の事実をふまえたうえで次のように述べる。

80年代までは、機械工業が成長すれば日本国内の他の産業にもすべて恩恵が広がっていくというメカニズムがあった。しかし、グローバル化したいまはそれが断絶してしまった。だから、大企業・製造業が成長率を維持しているが、流通、小売、建設、不動産などの中小企業・非製造業は一貫して下降トレンドにある。

この長期不況は構造的なものだ。近代化のバロメーターでもある鉄の使用量は、日本を含む先進国では1974年まで毎年増えていた。しかし、それ以降は止まったままである。物のゼロ成長時代を迎える。

消費者に商品をたくさん買わせるために、多機能、高級化路線を走る。本来なら耐久性から10年の買い替えサイクルの製品を、多機能で早く買い替えさせ、さらに高級化で販売価格を吊り上げ、ローン依存の状態を作り出す。それが今度の金融危機の底流をなす原因となる。

しかし、新興国の台頭で、資源を安く買って工業製品に付加価値をつけて高く売るという大英帝国が生み出したシステムが通用しなくなった。中国などの勃興で、工業製品は安く販売され、逆に食糧や資源の値段が上がる構図となった。

工業製品を新興国の消費者にも買ってもらうため、先進国の大手メーカーが工場を海外に移転した。そうなると、日本国内での雇用が確保できなくなる。

本来なら、中国をはじめ21世紀の市場となるアジアの内需を日本の内需に組み入れるべきなのに、日本はそのために産業構造の転換を図ろうとしなかった。経済圏形成のために政治的行動を取ろうともしなかった。その意味では、「小泉政権登場の2001年以降こそが、日本にとって本当に失われた10年となった可能性がある」と警鐘を鳴らす。

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プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』『日中「アジア・トップ」への条件』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。
http://www.mo-office.jp/