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アリババが無人化ビジネスモデルに突入
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2017年10月31日

しばらく前に、中国で無人スーパーが開業したことが話題になったが、無人化の動きは、様々な業態を巻き込み、急速に進められているという。
 

無人ガソリンスタンドの登場

車の無人運転がいろいろなところで研究されているなか、その「無人」というキーワードに惹かれ、どんどん新しい無人化ビジネスに挑戦する企業がある。中国浙江省杭州に本社を置くアリババだ。

しばらく前に、無人スーパーが開業したばかりだったが、すぐに無人自動車ディーラーの構想も発表して、人々に衝撃を与えた。

今度はガソリンスタンドがそのターゲットになった。10月に杭州で初の「アリババ スマート ガソリンスタンド(阿里智能加油站)」が設立される。

この「アリババ スマート ガソリンスタンド」を利用する手順は次のようになる。

その1: ガソリンスタンドに車が入ると、ナンバープレートが自動で識別される。
車種、タオバオアカウント(タオバオとはショッピング専用のネットプラットフォームのことを言う)、入れるガソリンの種類が全自動で識別される(事前にアリペイかタオバオで車両とナンバープレートの情報を設定しておく必要がある)。
その2: 所定の枠内に停車すると、カメラが自動車の位置をロックオンする。
その3: 赤外線カメラを搭載した「ロボット」(ロボットアーム)が給油口を開けてくれる。
その4: ガソリンを選んで給油し、満タンになったら給油キャップと給油口を閉めてくれる。
その5: 車がガソリンスタンドから出るときに、アリペイかタオバオのアカウントから自動で料金が引き落とされる。

順番待ちもなく、自ら手を動かさずともよく、料金精算もなく、レジ係もいない。入れるガソリンを間違えたり、現金がなくて支払いができないといったこともなくなる。

車と無人化ビジネスの関係

これは完成型かと思うと、違う。中国メディアの報道を総合すると、その戦略の概略が次のように見えてくる。

しばらく前にオープンした無人スーパーと一緒になる可能性がある。つまりガソリンスタンドと隣り合わせになるスーパーが登場して、給油も買い物も精算まで徹底的に無人化される可能性が大だ。領収書をもらうのも無人化されるのだ。

中国は2020年に携帯電話の5G時代に突入する。その5G時代が到来すると、身の回りのありとあらゆるものがインターネットにつながる世の中となるだろうと思われる。そのため、多くの企業はその5G時代の競争に備えて今から動き出すのである。

アリババの作戦プランは自動車をインターネット多接続の重要な次元のひとつと捉え、現在のスマートフォンのように、将来的に争奪戦が繰り広げられる重要な舞台と見ている。だから、同社は最近自動車にまつわる大きな策を次々と打ち出したのだ。

アリババの構想のなかでは、自動車製造、販売、給油を完全な産業チェーンにするという戦略はすでに表面化している。

1.自動車製造
アリババは9月27日にAliOSという新しいOSを発表している。新しい自動車用OSでインターネットカーに参入しようとしている。アリババによる自動車製造は業界の秘密ではなく、すでに上海汽車集団と提携してアリババのOSを搭載したインターネットカーを続々とリリースしている。

2.自動車販売
電子商取引で事業を起こしたアリババが自動車販売業を放棄するはずがない。無人自動車ディーラーを年内には正式にオープンする。従来の自動車販売店とは違い、スマートフォンのTモールで注文し、アリペイで支払い、無人自動車ディーラーから納車される。
車の購入までわずか20分しかかからず、大部分をオンラインで行う。全ての情報はクリアで、心配が残ることはない。人手が要らないためコストを節約でき、従来の自動車販売店と比べて価格が大幅に安くなる。
現在、芝麻(ゴマ)信用ポイントとも手を組み、750ポイント以上の顧客なら、ローン審査を瞬時にパスすることができ、1割の頭金を支払えばすぐに運転でき、毎月の返済はアリペイで行う。

3.給油
無人ガソリンスタンドはこうした背景のなかでオープンしたのである。これはアリババ一企業の動きだと思うのは間違いだ。これから中国の企業はどんどん無人化ビジネスに挑戦するだろう。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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